こんにちは、編集長の福田です。
注文住宅で間取りを考える時にみなさん悩むことの一つに収納があります。
収納の面積の最適な広さはどのくらい?何%くらいあれば足りる?という質問は多いですね。
今回は収納について考えてみましょう。
収納に百万円使う?
まず、収納を考える上で重要なこととして、収納も家の一部ですので、収納を広くすればその分、家も大きくなり、家の金額は高くなります。
一番分かりやすいのが、ウォークインクローゼットですね。
3〜4畳程度のゆったりしたウォークインクローゼットは人気ですが、4畳=2坪。坪単価が80万円のハウスメーカーの場合、4畳のウォークインクローゼットは160万円なんですね。
坪単価50万円程度の地域工務店でも100万円です。
同様に昨今人気のシューズクロークも通過型のものですと2〜3畳程度なので、これもやはり100万円近くすることもあります。
収納は多ければ多いほど嬉しいのですが、無闇に付けるとお金がかかるばかりです。
そして、収納はたくさん作っても余ることがないです。
収納があれば、その分、物を溜めてしまうのは人間の習性とも言えるでしょう。
家を建てるのをきっかけに片付け、整理整頓、思い切って断捨離することで、収納を少なくして、物を増やさないように決める方もいます。
収納の面積の割合は?
収納の面積の割合の目安は戸建てで12〜15%、マンションで8%以上という数字が一つの目安と言われています。
でも、この数字っておかしいと思いませんか?庭に物置などが置ける戸建ての方が、どうして収納の数字が大きくなっているのでしょう。
一般的にマンションの方が間取りの関係上、収納が少ない場合が多いこと、家全体の面積、つまり母数が小さい場合が多いからなど、いくつか理由はあるようです。
それでも、マンションも戸建ても人間の住居である限り、必要な収納量がどちらかだけ少ないというのも変な話です。
やはり、あくまでも目安の数字ということですね。一般的に、戸建ての方が家全体の面積も大きく、収納にさく割合も大きく取りやすいので、収納という面では戸建てはゆったりしている場合が多いです。
面積だけじゃなく、歩く場所や奥行きも考える
また、同じ面積でも、ウォークインクローゼットは歩いて入る通路部分には物が置けないので収納としては効率が良くないなど、同じ面積でも収納の効率の良し悪しがあります。
ウォークスルー(通過型)の収納も人気がありますが、通路部分+出入口が2つ必要でそこにはモノが置けませんので、収納の効率としてはあまりよくありません。
また、歩いて入らない収納でも奥行きが深過ぎたり、浅すぎる収納は効率は悪いです。階段下収納でも、一番奥は使いにくいなどが分かりやすいでしょう。
一応、収納の面積の割合など目安の数字はあるものの、あくまで目安程度でしかないということです。
具体的にどんなものをどうしまうか考えて、欲しい収納をイメージするのが重要です。
家族の人数、今の暮らしから具体的な収納量を考える
ポイントとしては今現在の収納量をベースに新居での収納も考えるという方法です。
一番、分かりやすいのはご夫婦の収納でしょう。今の収納の大きさを見て不足しているかどうかを見ると分かりやすいですね。難しいのは子ども部屋の収納ですね。大きくなるにつれてものが増えるかまで考えないといけないので、大変です。
収納をたっぷり余裕を持ちたいという人には、一人あたり2畳あれば安心と言いたいところですが。
実際に今日までの人生を生きてきて、アパートで暮らしている人の場合、一人当たり2畳も収納を持っていたという人は少ないんじゃないでしょうか?
実際には、一人暮らしのワンルームなら収納は0.75〜1.5畳程度、二人暮らしなら2DKで1〜1.5畳の収納が2つ。そんな感じじゃないでしょうか。
多くの人がそのくらいの収納で実際には生きてきているのです。
大人については1人1~1.5畳、子どもについては1人0.5畳程度あれば、上手く片付ければ入らないことはないのです。
そうは言っても、やはりせっかく家を建てるなら収納には余裕を持たせたいという人が多いですよね。
単純に面積で考えない。どこのどういう収納が欲しいか考える
収納を考える上で大事なのは、それぞれの役割を考えることです。
例えば、玄関近くの収納は便利と言われることも多いですが、自分のものは自分の部屋にしまいたいと言われる方もいらっしゃいます。
何でも玄関近くの収納にしまおうと思うと、やはり無理があります。
衣類一つとっても、肌着やタオルは洗面所においておきたい、コートは玄関近くが良い、その他の服は自室のクローゼットが良いと行った具合で、それぞれに最適な場所があります。
シューズクローク、土間収納
シューズクローク、土間収納は何を収納するか考えることも重要です。
「コートもかけたい」
と言われることもありますが、靴や足のにおいのするところにコートをかけるのってどうでしょう?気にされる方もいれば、気にならない方もいますよね。
もし、コートなどは置かずに靴だけなら、シューズクロークという形で分けなくても、大きめの靴箱にすることでも解決します。
逆にゴルフバッグやスキー用品などは、玄関収納(シューズクローク)は便利です。
特に高級な物やこだわりのものを使っている方の場合、外の物置に置くといたむのが嫌だという方も多いでしょうから、シューズクロークは効果的と言えるでしょう。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットは昨今、非常に人気があります。
でも、クローゼットの中に歩いて入る必要はあるでしょうか?歩いて入るスペースは無駄とも言えます。
しかし、コタツやストーブなど、季節のものをしまいやすいという意味ではウォークインクローゼットは便利でもあります。
とは言え、ほとんどのものが普通の一畳サイズの収納に片付けられるのも事実です。
ウォークインクローゼットは納戸、物置のような使い方が出来るのが便利なポイントですので、具体的にどんなものを中に入れるか想像すると失敗しにくいでしょう。
また、ウォークインクローゼットは位置も重要です。
2階の夫婦の寝室の奥のウォークインクローゼットは、大きい物を収納するにも、わざわざ家の一番奥まで運んで来て収納しなくてはいけなくなってしまう場合もあります。
しかし、奥様の衣類や宝石など、子どもに触らせたくない物を収納するという点では便利な配置でもあります。
家族それぞれの部屋の収納は最低限コンパクトにして、広めのウォークインクローゼットを家族共用で使うというように、別の収納とバランスを取って使うと便利になることもあります。
この場合は夫婦の寝室ではなく、誰でも入りやすいように廊下などに配置すると上手くいくでしょう。
一階のほんのちょっとした収納
二階建てだと、どうしても一階には、玄関、トイレ、洗面、風呂、キッチン、リビングと生活に必須のものが来るので1Fにたくさん収納を取るのは難しい場合も多いです。
それでも、理想を言うと一階に収納があると非常に便利です。
帰ってすぐにコートだけでもかけられるよう、玄関近くに小さくて良いのでクローゼット。
脱衣所のところに、タオルや下着、パジャマの置けるちょっとした棚。
リビングにちょっとした物をしまっておいたり、上に羽織るものなんかをかけておける収納。
面積は大きくなくても、暮らしがぐっと便利になる小さい収納というのがあります。
2階の自室にわざわざ行くのは面倒くさい、ちょっと置いておくのに便利な収納が一階に少しでも作れると便利です。
もちろん、何でも一階に収納しようとすると、一階に物が溢れてしまいますので、ほんの少し収納できる場所というイメージで収納をバランスよく配置して行くと上手くいきますね。
パントリー、書斎は必要?
奥様から人気なのがパントリー。旦那さんから人気なのが書斎ですね。
夫婦でも、それぞれ自分のゾーンは作りたいと言う方は多いです。
パントリーについては、アパートよりも一戸建てのキッチンは広く、食器棚もかなり収納量が増えますので、本当に必要か改めてじっくり考えてみて下さい。
食品のストックだけなら床下収納でも足りるかもしれません。
書斎については、昨今はテレワークも増えていますので、需要の高いところでしょう。
テレワークのための書斎のポイントは何時に使うか?ということも考慮すべきでしょう。
昼に使うのであれば、寝室の一角にデスクを置いて使っても良いでしょう。
リビングの一角のカウンターをワークスペースとする人もいますが、やはり音が気になる方も多いでしょう。
階段ホールの吹き抜けに面する部分にカウンターを作って、書斎スペースとする人もいますが、吹き抜けはとにかく家中の音が抜けます。
家族の雰囲気を感じられると言う点では良いのですが、集中して仕事をすると言う点ではいまいちです。
完全に書斎、ワークスペースとして作る場合、デスクの幅が仕事の効率を考える上で重要です。
本当にパソコンが置けるだけのインターネットカフェくらいの大きさだと、一日中、テレワークをする空間としては無理があります。
書斎のためだけに大きい部屋を独占するのは抵抗があるという場合はウォークインクローゼットの一角を書斎スペースとして作るなども人気があります。
家族のものが多い時期には収納ゾーンとして使うということまで見越して計画できますね。
外の物置に置いて良い物?
外の物置にしまっても問題ないものは、外の物置にしまうのも重要です。
それこそ、外物置のものを全部家の中にしまおうと思うと、ほとんどの家が収納不足になってしまいます。
家の中に収納を作るのと、外に物置を置くのだと、外に物置を置く方が遥かに安いです。
特にシューズクロークがそうですが、外の物置で何とかなるものは外物置に任せましょう。
暮らしをイメージするのが収納のポイント
収納に関してでした。
全体の面積に対しての割合の目安もありますが、収納は想像力です。
一番オススメなのは、無駄なものは取っておかずに捨てて下さい。当然ですが家の中に一生分の思い出を溜め込むのは無理があります。
新築は断捨離のチャンスです。
無駄なものは捨てて、その上で、本当に必要な収納量を考えて、余分で付けたい収納をイメージするのが大事ですね。
特に注意して頂きたいのが、昔はなかった間取りです。シューズクローク、ウォークスルークローゼット、スタディスペース、スキップフロア、ロフト、パントリー色々ありますね。
上手く使うと便利ですが、昔はなくても問題なく暮らせていたスペースです。特にシューズクロークは昨今の流行りですけど、ご実家にシューズクロークがあったご家庭は少ないんじゃないでしょうか? ウォークインクローゼットはどうでしょう?
(ウォークインクローゼットは昔は納戸としてありましたし、シューズクロークも昔の日本の家は土間が広かったですね。パントリーじゃなくて土間にある炊事場から中庭の方に出られたり。実は昔もあったけど名前が変わっている間取りはあります)
横文字系のお部屋、収納はみなさん憧れもあるので、付けたい方も多いですが、家全体が大きくなって予算が上がりやすい部分でもあります。
それでも、用途が明確になっていると、とても便利です。
大事なゴルフバッグをしまうためのシューズクローク。
実家からお米や野菜をもらえるので、それをしまうためのパントリー。
意図的に寝室や子供部屋などの個人の部屋を小さくして、その代わりに家族だれでも使えるゆったりしたスタディスペース。
そういった収納スペースは規格住宅にはない注文住宅の魅力でもあります。
理想の暮らしをイメージして、担当者としっかり相談して、使いやすい収納を配置するのが大事ですね。