こんにちは、松本、諏訪地域の工務店エルハウスの福田です。
今回は土地のお話です。
長野県で土地を探す時、土地の良い悪い、高い安いってどう見極めれば良いの?ということについて考えてみましょう。
どんな土地が高い?安い?
まず金額の高い土地とはどんな土地か考えてみましょう。
土地には確実な定価はありませんが、不動産屋さんが間に入るので相場に合った金額で流通することが一般的です。
高い土地とは需要がある土地です。欲しい人が多ければ土地は高くなります。
松本駅周辺は金額が高いですよね。あとは商業施設が近い土地も高いですね。
また、駅から大して近いわけでもなくても高い土地としては、諏訪盆地の中では下諏訪なんかも高いです。下諏訪は諏訪湖と山の間ですので、平らな土地が限られているのですが、生まれ育った地区から離れたくないという人も少なからずいます。
少ない土地に対して欲しい人が多いということで、地価が高くなりやすいです。
▼土地の価格の相場、平均的な値段についてはこちらの全国地価マップも参考になります
坪単価が安くても広い土地は高い
広い土地は単純に坪数があるので高くなりやすいです。
坪単価自体は安くても坪数が100坪となると、それなりの金額になります。
例えばですが坪単価20万円の40坪の土地なら800万円、坪単価10万円の100坪の土地は1000万円。
一般的に坪単価が高い土地の方が利便性の高い土地である場合が多いです。
また、あくまで傾向ですが、坪単価が安い地域の方が田舎の場合が多いので、広い面積の土地が出やすいです。
安曇野や茅野の標高の高い場所、原村、伊那の市街地から離れた場所などは、坪単価は安くなりやすいですが、コンパクトな土地が少なく、結局、それなりの金額するということもあります。
道路の向きでも金額は変わる
道路の向きは南面道路の土地の方が高くなりやすいです。
これは、南側に建物があると、日陰にならないように庭などのスペースを取る必要があるため、広い面積を必要とする場合が多いからですね。
南側道路であれば、庭などを取らなくても日陰になる可能性は少ないです。
なので、南面道路は坪単価は高くなりやすいですが、コンパクトな土地でも日当たりを確保して家を建てやすいというメリットがあります。
安い土地ってどんな土地?
簡単に言えば、高い土地と逆の条件の土地は安いです。
形が良くない土地は建てられる家が限られるので安くなりやすいです。
また、災害に弱いエリアは安い場合が多いです。
特にハザードマップで危険ゾーンになっているところは、安い場合が多いですね。
ただ、長野県の場合、水害のリスクがあるエリア=平たいエリア=特に諏訪盆地では平たいエリアは貴重ということで、水害のハザードマップは良くないのに、そんなに安くないということもあります。
どういう土地が良い土地?安くても良い土地とは?
では、良い土地とはどんな土地かと言いますと、まず予算に入るということでしょう。
予算オーバーの土地は、建物を小さくしないといけなくなったり、予定以上に住宅ローンが高くなったりしやすいです。
かと言って、安ければ良いかと言うと、安くなるとその分、条件が悪くなりやすいです。
予算の中で、希望の条件が満たされている土地というのが理想です。
安い土地が欲しいのか、良い土地が欲しいのかを決める
その中で大事なのが、安い土地が欲しいか良い土地が欲しいかの優先を決めることです。
もちろん、可能な限り安くて良い土地が望ましいですが、金額、予算をどこまで優先させるか考えるのは重要です。
安い土地が欲しいという場合は、世間一般の一等地を狙うのはやめましょう。
一等地を狙うなら土地の予算の金額は上げるべきです。
家をコンパクトにして予算を調整するなどの方法があります。(過度に小さくしては不便になるので要注意ですが、多くの人が、最初は実際に必要以上に大きめの家に住みたいと思うので、コンパクトに出来る余地がある方もいます)
目標の期間を決める
土地探しで一番良くないのが、期間を何年もかけることです。
期間がかかる=現在のアパートの家賃がかかる、住宅ローンの払い終わりが遅くなる、理想の家に住める期間が短くなるということです。
金銭面でも暮らしの面でも、良いことはありません。
かと言って無闇に急げば良いというわけでもありません。
焦ると、土地購入の際に不動産屋さんとの価格交渉などでも不利になりやすいです。
「安くなれば買いたいけど、安くならないなら、焦らず別の土地を探します」
というスタンスもときには大事なこともあります。
「そうですか、じゃあ、他をあたって下さい」
と言われることもあるので、ケースバイケースですが。
いつまでにいくらの予算以内で土地を探す。
明確に目標を作らないと、もっと安い土地、もっと良い土地とキリがなくなってしまいます。
そのためには、まず第一の方向として、自分たちは安い土地を探しているのか、少々高くても良い土地を探しているのか、明確にしないといけません。
茅野市で安い土地を探した一例
あくまで一例ですが、茅野市で500万円の土地を探した方の場合のお話です。
こちらの方は、平屋が建てたかったので、ある程度の広さの土地が必要でした。
予算との兼ね合いから、二階建てにして600万円の土地を探すか、平屋にして500万円の土地を探すかということになりました。
二階建ての土地のほうが小さくても大丈夫なので、600万円なら茅野市であれば、少し山の方に登っていけば、さほど難しくないです。
これに対して平屋が建てられる広さの500万円の土地となると、結構大変です。
なので、この時は、平屋にする場合は必然的に立地条件が悪くなります。
二階建てにすれば、600万円、物凄く好立地は難しいにせよ、ある程度、探せば見付かりますので、選択肢はあります。
また、この方の場合、自己資金を工面して、予算を300万円伸ばすという選択肢もありました。
こうなると、二階建てなら土地で900万円ということで、駅の近くでも探すことが出来ます。
ただ、実際には、自己資金は貯金として取っておきたいこと、平屋にはなんとしてもこだわりたいということで、この方は立地などの条件よりも平屋で500万前後の予算で土地を探す決意をしました。
変形地、北側道路、坂の上の土地
そういう条件でしたので、土地探しは非常に難儀しました。
最後は、変形地、三角形の土地で、建物の形を工夫すれば何とかなる土地を見付けました。しかし、建物の形を工夫しても、庭はほとんど取れない土地でした。(だから、安かったんですね)
他にも北側道路、坂を登った立地の悪いところ、接している道路が細くて舗装されていない土地、予算を200万円多く頑張るなど、候補になる土地がいくつかありました。
どれもはっきり言って、他の方には良い条件とは言いにくい土地です。
なので、二階建てにするのはどうかという提案もしましたが、どうしても平屋にこだわりたい、そのためには立地などは目をつむる、平屋で車が二台置ければそれで良いから、ということでした。
デメリットを理解した上で外せない条件、妥協できる条件を明確にすることで、土地を探した一例です。
予算もそれなりにあるけれど上手くいかない土地選びの一例
逆に上手くいかない土地選びの一例もあります。
この方の場合、予算的には問題もありませんでした。土地に関しては現金で買うということで、お金の面での心配はほとんどなかったです。
さらにエリアが安曇野ということで、松本などと比較すると地価の安い地域でした。
条件は駅、スーパーが徒歩圏ということ。
安曇野でこの方の予算であれば、条件の合う土地はたくさんありました。
しかし、この方は土地が決められず、家づくりを断念してしまいました。
理由は、お得感のある安い土地にこだわり続けてしまったことです。
良い土地があっても、「金額的にあともう少し安いと嬉しい」あるいは「金額的には良くても他の高い土地と同条件の日当たり、道路などが気になってしまう」。
駅、スーパー徒歩圏という条件以外にも様々な条件を考えてしまい、さらに金額も徹底して安くということで探し続けました。
たしかに土地はいくらかの値引き交渉が成立することもありますが、その上に他の条件も増えていくと、上手くいきません。
不動産屋さんとしても、「その条件でその金額なら他の人に売ります」という話になってしまうんですね。
家を買わないという選択肢もある
難しい条件の中でも土地を決められた人と、客観的に見れば、そんなに難しくもない条件でも土地を決められない人の一例でした。
しかし、土地を決められないことが悪いことかと言えば、これは考え方次第です。
当人たちが納得しない土地なら買わずに、アパートで暮らし続ける決断をするのであれば、それも良いわけです。
前者は、納得があったからこそ、立地が悪い土地でも、念願の暖かいマイホームを手に入れることを優先しました。
後者は、どうしても土地に納得が出来なかったので、マイホームは諦めてアパートで暮らし続けることに決めました。マイホームを建てることよりも、全面的に気に入る土地を優先したんですね。
アパートだと老後、URや団地以外で貸してもらいにくくなるなどの問題も今のところありますが、将来的にはその問題も解決してくる可能性もあります。
家と土地を所有するということは、大きい金額の問題なので、決断力が必要です。
自分たちにとっての良い土地、良い家が手に入れられるかは、その決断力次第です。
住宅会社や不動産屋さんは土地の良し悪しのアドバイスなど、土地を探すお手伝いは出来ますが、その土地、家を購入するかの決定については本人がするしかありません。
家については同じ家を建てるにしても大手ハウスメーカーか工務店で大きく金額差があります。
しかし、土地については、条件が同じ土地は同程度の相場価格で出ます。
どの土地もメリットデメリットはありますが、土地で金額を優先させるときにはデメリットを受け入れられるだけの決断力があるかどうかが最後は決め手になります。
安くても注意した方がいい土地
デメリットを受け入れられる決断力と言いましたが、安くても注意しないといけない土地も中にはあります。
田んぼ、畑、傾斜地
田んぼ、畑については注意が必要です。
田んぼ、畑は農地転用という費用がかかります。
さらに、土がべちゃべちゃなので変えなくてはいけないこともありますし。
水道の引き込みも金額がかかります。
また農地に限らず地面に傾斜がある場合には、造成が必要になったり、基礎の高さを片側高くしたり、場合によっては擁壁が必要になることもあります。
この辺りの工事は結構お高いです。
地面の傾斜は見た目では分かりにくくても、実際には大きい傾斜になっていることもあります。
こういう土地は、プラスでかかる費用があります。
一般的には、プラスで金額がかかることも考慮して土地の金額は決められていますが、一見すごく安く見えても、買うと意外と安くもなかったということもあります。
災害に弱い土地、長野県の場合はイエローゾーンをどう考えるか
ハザードマップで危険な土地は安くても外しておく方が無難です。
基本的にはハザードマップで安全なところを選ぶのが基本です。
ただ、長野県の場合、山が多くて、平らな土地が少なく、平らな土地には大抵は川が流れているということもあるので、完全にハザードで安全な土地が少ないというのも特徴です。ですので、人によっては、土砂災害警戒区域、イエローゾーンでもある程度なら買うという人もいます。
(土砂災害警戒は通称イエローゾーン、土砂災害特別警戒区域はレッドゾーンと呼ばれます。レッドゾーンについては、危険ですし、住宅を建てるには規制があるのでやめておいた方が良いです)
一口にイエローゾーンと言っても、レッドゾーンに近いイエローゾーンもあれば、レッドゾーンから離れているけれど、ギリギリイエローゾーンにかかってしまうところもあります。
また、地盤の強さも重要なポイントです。
地盤が緩い土地には地盤改良工事をして上からの家の重さに耐えられるようにしますが、地震の際には横揺れもあります。地盤の柔らかい土地の方が、地震の揺れは大きく伝わりやすいです。
そういう観点では地盤が強い土地の方が比較すれば安全ではあります。
地盤は丘の上などの方が固い場合が多いです。
ただ、丘の上だと日々の生活が坂の登り下りで大変ということも事実ですし、斜面が近くて土砂災害警戒区域にかかる場合もあります。
特に山の多い長野県の場合、ハザードマップについては、バランスが重要です。
ただ、ハザードマップに関わらず、現地を見て明らかに危険と感じた場所についてはやめておいた方が賢明です。
まとめ。高い、安い、良い、悪いの基準になるよう土地の予算を決めてから
良い土地、悪い土地、高い土地、安い土地のお話でした。
そして、今回の話を活用するのに大事なことが、まずは土地にかけても良い予算を理解することです。
住宅、土地は金額が大きいのでどんぶり勘定ですると、基本的に予算オーバーします。
まずは住宅会社に行って、家本体とそれ以外の費用の予算を決めて、土地にかけていい金額を決めてから土地探しをしていくのが大事ですね。