こんにちは、編集長の福田です。
ーー土地って値引き出来るんですか?
ーー正しい方法とマナーで交渉すれば出来ることもあります。
ーーじゃあ、どのくらいの金額まで値引きできるんですか?
確かに土地の値引き可能な金額ってむずかしいですよね。いくらぐらいまで安くなるのか、どのくらいまでなら交渉しても良いのか。
今回はそんな土地の金額と交渉について考えてみましょう。
大前提として正しい方法とマナーを守ること
まず大前提として、正しい方法とマナーを守って交渉することが大事です。
正しい方法とマナーというと、簡単にいうと、売主さんが嫌な気持ちになるような交渉の仕方をしないということです。
具体的に言うと、最初の問い合わせで、
「安くなりますか?」
と聞いたりするのは、マナー違反です。
交渉するからには、もし、こちらの提示した条件を相手がOKしてくれたら、どんなことがあっても必ず購入するということが重要です。
このルールが守れない人は絶対に土地の値引き交渉はしてはいけません。
ですので、土地購入をするのに、そのための資金、住宅ローンの審査も終わらせていないのに金額交渉をするなどはマナー違反です。
交渉するからには、必ず購入できるだけの資金の準備をしてから話さないといけません。
また、住宅ローンの審査をするには、家と土地の総額のお金の資金計画が出来ていないといけませんので、住宅会社で資金計画を作成してもらわないといけません。
こういったことをしていないのに、
「この土地、安くなりませんか?」
と聞くのは完全にマナー違反です。
売る側の人もいくらまで値下げしても良いか悩んでいる?
売る側の立場になって考えてみることはすごく大事です。
例えばこの動画が非常に分かりやすいです。
不動産仲介の会社の出している動画なのですが、これは一般人の売主さん、地主さん向けの情報ですね。
(この動画ですと、土地じゃなく分譲マンションなどが多そうですが)
一般人が直接売るのは難しいので、不動産屋さんが仲介に入って売るという形です。
そう、不動産を売る側の人も普通の一般人で、
「値引き交渉されたら、いくらぐらいまでなら応じても良いんだろう?」
というのは思っているケースは多いのです。
特にこの動画のように仲介で一般の人が所有している不動産を売る場合には、普通の人ですからね。
言うなれば本質的には買う人も売る人も同じで、これまで不動産売買をした経験のない普通の一般人なのです。
自ら売主物件は??
これに対して、自ら売主物件というのは、不動産屋さん自身が売っています。
つまりプロが自分で売っているという意味です。
プロなので、
「どこまで安くしても良いんだろう?」
という悩みはありません。
プロですから、この土地は定価のまま売る、こっちの土地はいくらまでは値下げしても良いと、あらかじめ決めています。
そして、仮に値下げしてもOKの土地でも、当然ですが、定価で売る方が利益は大きいので、そう簡単に値下げはしないのが一般的です。
あるいは会社によっては、あらかじめ値引きする前提で金額設定してる会社もありますし、逆に全ての土地を一切値引きしないという方針の会社もあるでしょう。
この辺は、会社や地域性によります。
これはプロに限らず、仲介の物件でも、
「少し高めに設定しておいて、そのまま売れればラッキー、いくらか金額交渉してきたら、少し下げるふりをして、当初の予定の金額で売ろう」
という考えの売主もいれば、
「最初から低めの金額で書いておいた方が早く売れるだろうから、あまり高い金額設定にせず、代わりに値引きはなしで」
という考えの売主もいます。
プロが売主の物件は値引きが難しいか?というとそうでもないのです。
プロが特に分譲地を売る場合、
分譲地全体で利益を考えます。
例えば、A〜C区画が南道路で人気が出そうだけど、D,Eはすぐ売れるかわからない、Fはなかなか売れないだろうな、と思ったら、A〜Cはかなり高めの金額設定にして、そこでしっかり利益を出して、F区画だけものすごく安い金額をつけて、
『新規分譲開始 〇〇万円〜』
という目玉の金額にしてしまう方法もあります。
A〜C区画できちんと利益は確保するという考え方です。
こういう場合、A〜C区画はすぐに売れたものの、
「ラスト一区画、さくっと売り切ってしまいたいな」
「でも、この区画だけ日当たり悪いんだよな」
「しかも、車も入れにくいし」
「どうやって売ろうかな」
という悩みがあることもあります。
特にラスト一区画の場合、他の区画が順調に売れていればすでに利益は確保できている場合も多いです。
だいたいですが、分譲地の売主の利益は2〜3割程度に設定されることが多いと言われています。あくまで目安ですが、元の畑などの土地を購入するための資金が2割程度、そこに道路や上下水道などの造成工事に5〜6割程度、売主の利益が2〜3程度が業界の相場と言われています。
(※本当に目安です。実際の数字はケースバイケースです。)
なので、本当に売れなくて困っている土地で、すでに十分利益が出ている土地なら1〜2割くらいは安くなっても買ってもらう方が助かるというケースもあります。
逆に、分譲地でまだまだ売り出したばかりで、たくさん区画が残っているのに、値引きしてといっても、それは難しいでしょう。
そういう時はしばらく待ってみて、ラスト1区画から、狙うのも手です。
南道路の良い区画はするするっと売れた、でも、最後の1区画、北道路のどんつきの、車の転回が難しい、日陰の土地。はたまた1区画だけ旗竿地になってしまった。これが1年以上経ってもどうにも売れない。
こういう場合、いくらか安くしてもきちんと買ってくれるお客様なら、不動産屋さんとしては歓迎という場合もあるのです。
一番困るのは売れないこと
仲介の一般人の売主さんにせよ、プロの不動産屋さんが売主が困ってしまうのは、いつまでも売れないということです。
特に、ネットに出ている情報=売りたいと思っているのでネットに出しています。
不動産というのは売れないと、税金もかかります。
売れないよりは、ある程度の値段でも手打ちにしてしまいたいというのが、本音という人は多いです。
いくらまでなら安くしても良い?
かと言って、極端に安いと、困ることもあります。
例えば、その売却資金を具体的に何かに使うと決めている場合は、それより安く売るわけにもいきません。
あるいは、全くお金には困っていないので、急いで売る必要もなく、値引きは絶対しないというという人もいます。
ただ、この辺りの匙加減は売主さんの都合次第なので、実際に聞かないと分かりません。
ただ、いくらまで安くしてくれますか?と聞いても、答えてはくれません。
当たり前ですが、安くしたくないのです。
売れるなら高い方が助かります。
だから希望の金額を伝えるしかありません。
大きい値下げ幅だと、断られる可能性も高くなります。
でも、希望の金額が800万円なら、そう伝えてみるのは価値があります。たとえ、その土地が1300万円で売りに出ていたとしてもです。
さすがに500万円の交渉は難しいのが現実ですが、それでも800万円以上は予算が出せなくて、それ以上お金を払えないなら、その金額で聞いてみるしかありません。
ダメならダメで仕方ないのです。
逆に、「いや、ぶっちゃけ、1200万円くらいまでなら買っても良いと思っているんですよね」ということであれば、800万円で交渉して断られると、その土地を買いづらくなってしまいます。
「○○万円の土地だから、いくら安くしたい」ではなくて、自分たちの人生の中で、家と土地にかけても安心な金額を考えて、その中で土地はいくら以内で購入したいという明確な指標を作ることが重要です。
仲介で長期間掲載されていて一見条件の悪い、他の人が買いたくないと思う土地は大幅値引きの可能性??
こうしてみていくと、大きな値引きが成立する可能性のある土地というのは、一言でいうと、定価じゃ売れずに残っている土地です。
特に、誰も目をくれず、購入の交渉なども一度も入っていないような土地なら可能性は高いでしょう。
例えばですが、
・旗竿地
・日陰になりやすい
・車が止めにくい
・隣がお墓
・利便性が悪い
・古い家が残っていて、その解体が必要
などです。
条件だけ聞くと、
「嫌だな」
と思う人が多い土地こそチャンスです。
ただ、本当に嫌な土地を嫌なまま買ってはいけません。
デメリットを理解した上で、それでも買う価値があると思えば買うというのが大事です。
例えば、分かりやすいのが旗竿地です。
旗竿地じゃない区画と比べると微妙ですよね。
それでも、隣の土地よりも、300万円安かったらどうでしょう?
300万円違えば、大金ですよね。
もちろん、通常だと、そこまでの金額差にはなりません。ただ、交渉次第でそういう金額も可能性としてありえます。
(実際に私が相談に乗らせて頂いた方で300万円近い金額差の事例はありました)
そういう一般の人から聞くと条件の悪い土地も、実際に住んでしまえば、住めば都じゃないですが、案外慣れるものです。
もちろん、ケースバイケースですが。
土地が見付からなくて、仕方ないので予算をじわじわ上げていって、何百万円も高い土地を買って、家もあれこれ希望を詰めて高い家にして。合計すれば家と土地で500万円くらい差がついてしまう人や。
いつか良い土地が出たら良いなと言って、アパートの家賃をずっと払い続けているよりは。
思い切って、一般的には人気のない土地をうまく交渉して安く買って家を建てるのも、人生戦略じゃないかなと思います。
まとめ。いくらでも安くなるわけじゃないけれど
土地って値引きできるの? いくらくらいまで値引きできるの? そういうお話でした。
もちろんですが、1円も安くならない土地も多いですし、値引きするのが当たり前というのも違うのですが。
ただ、家づくりをする時の悩みで一番多いのが土地探しです。
そして、土地探しで一番多い悩みが金額です。
良いなと思う土地はあるけれど、金額が折り合わない。
そういう時には値引き交渉をしてみるのも一つの方法です。