こんにちは、編集長の福田です。
「インスタやネットに載っている間取りでそのまま建ててもらうことは可能ですか?」
そんなご質問を頂きました。
昨今は「35坪 間取り」などで検索すると、本当にたくさんの間取りが見れる時代となりました。
特にインスタグラムのようなSNSでは実際に建築した写真なども合わせて載っていることもあり、イメージが掴みやすく、人気があります。
今回はインスタなどに載っている間取りを見るときの注意点についてのお話です。
プロが描いていない間取り
住宅会社などのアカウントが出している間取りはいいですが、一般の人、間取りの知識のない人がなんとなく描いている間取りも中にはあります。
土地に合っていない可能性が高い
家の間取りというのは土地の周辺状況が重要です。
極端な話ですが、都会の市街地の真ん中の間取りと、家と家の間があいているような地方のエリアでの間取りは考え方が違います。
窓など外に向かって開いている家が良いか、外から中が見えないようプライバシーを守れるよう閉じた家が良いか。
ライフスタイルや暮らしの希望と合わせて、土地の周辺状況が非常に大事になります。
なので、間取りだけを単品で拾って来ると、土地に合わない場合が出てきます。
間取りにもインスタ映えしても、実物は暮らしにくい間取りも
また注意しないといけないのが、インスタ映えなどです。
インスタ、写真で間取りだけ見るとオシャレだけれど、実際に建てて暮らすと、暮らしにくい、あまり便利でもない間取りもあります。
無意味な回遊動線
代表的なものに、回遊動線の間取りがあります。
家の中をくるくる回れるように、行き止まりが少ないように作る間取りです。
平面の間取りだけで見たり、家具を置いていないモデルハウスで見ると非常に便利そうに見えますが、実際には一般住宅程度の広さで迷路のような動線を作ってもかえって暮らしにくかったり、音や冷暖房が抜けてしまったり、荷物を置いて開かずの扉になってしまったり。
でも、平面の間取りだけ見ると非常に魅力的に見えます。
実際に暮らした時、そこが抜けられたらすごく空間が豊かになる移動のラインはあります。
ただし、良い回遊動線もあります。
コルビュジェのレマン湖畔の小さな家のように歴史的名作にも回遊動線はあります。
テレビとソファが近すぎる
インスタの間取りに限りませんが、あまりにテレビとソファの距離が近すぎる間取りもあります。
ソファの置き方を工夫すれば問題ない間取りもありますが、ちょっと無理があるという間取りも存在します。
収納が大きすぎる
また、収納が大きすぎる間取りもあります。
代表的なものに、玄関の土間収納、パントリー、ファミリークローゼットがそれぞれかなり大きく取っているものがあります。
一見すると便利そうですが。
あまりに大きすぎる収納は、不必要なものを溜め込みやすく、逆に無駄なものが増えて整理整頓しにくい家になることがあります。
狭い階段下トイレ
階段下をトイレとして使う間取りもありますが、中には十分な高さが取れていないものもあります。
値段の高い間取り
インスタの家や間取りは坪数が大きくて金額の高い家も多いです。
ランドリールームがあって、ファミリークローゼットもあり、大きなウッドデッキがある。
豪邸とまでは言いませんが、大きい坪数の家は多いです。
写真で他の人に公開したりするための家なので、仕方ないのですが。
無駄なところを削って、コンパクトに建てている現実的な家よりも、誰かに自慢できるようなゆったりしていて、高価になりやすいものが多くなりがちです。
間取りにも知的財産権がある
間取りにも知的財産権があります。
基本的には間取りを作成した人に著作権がありますので、作成者の許可を取るのが本来です。
しかし、家づくりの参考にして下さいということで掲載されているものについては、それをベースにして間取りを考えるのは問題ないとも考えられます。
そのままの丸パクリは法的にはどうか分かりませんが、倫理的によろしくないと言えるでしょう。
物理的に建てらない間取りも存在する
インスタなどに載っている間取りでも、柱がないので、構造的に建てるのが困難という間取りも存在します。特殊なやり方をすれば建てられる可能性はありますが、一般的な木造の住宅では難しい間取りもあります。
寒冷地と暑い地域でも考え方が違う
寒冷地と暑い地域でも家の考え方は違います。
日本の家は、夏を旨とすべし、徒然草ではそう書かれていますが、寒冷地では冬の寒さに重点をおいた家づくりが重要です。
逆に暑い地域では、寒冷地以上に日射への対策などに気を使うべきです。
特に吹き抜けや、階段まわりの考え方などが大きく違います。
まとめ
インスタなどの間取りは家づくりの情報として有効です。
しかし、あくまで情報として勉強になる、参考になるというところに留まるでしょう。
土地の周辺状況に合わせて、信頼できる会社と打ち合わせを重ねることが重要です。