ハウスメーカーの長期保証は安心?工務店の保証は?

住宅

こんにちは、編集長のふくだです。
今回は家を建てた後の保証について、

小さい工務店よりハウスメーカーの方が保証があるから安心ですか?」

という質問を頂いので、家を建てた後の保証についてのお話です。

保証とは言うけれど、住宅を無料で点検、修理してくれるの?

家の長期保証で気を付けたいのは、
保証って言ってるのにお金がかかるの?!
っていうことにならないように気を付けるのが大事です。

一般的な家電製品などでは、保証の範囲が広いので、保証期間内であれば大抵の不具合は無料で交換してくれますが、住宅の場合、ちょっと違います
他の商品で言うところの無料保証とはイメージが違うというのを理解しておくのが大事です。

家の保証は大きく分けて2種類

家本体の保証には大きく分けると2種類あります。
法律で決まっている必ずしないといけない保証。
住宅会社ごとに独自でやっている保証。

法律で決まっている方のものについては、どこの住宅会社も必ずしています。なので、この部分での保証については、考えなくても大丈夫です。
これに対して、会社ごとに独自でやっているものについては、どこまでを無料でやってくれるかが大きく分かれます。

ハウスメーカーがしている60年などの長期保証は、この会社ごとの独自の保証になります。保証とは言うものの、実際には点検などでお金がかかる場合もあるので注意が必要です。

さらに家本体の保証じゃなく、設備メーカーなどの保証もあります。たとえばキッチンやお風呂などですね。
これについては、一般的な商品の製品保証に近いです。最初の2年間程度の期間で、初期不良があれば修理、交換しますよ、というものですね。
メーカー、製品によって違いはあります。

住宅品格法で決まっている新築住宅の10年間の瑕疵担保責任

まず、法律で義務になっている10年間の保証が、瑕疵担保責任です。
住宅品格法という法律で義務になっているので、全ての会社が最低限やっている保証と考えていいでしょう。

瑕疵ってなに?!」
と思いますよね。瑕疵とはカシと読みます。隠れた欠陥といった意味です。
引き渡しの時には分からないような隠れた欠陥があって、10年以内に雨漏りして家の柱が腐ってしまったりすると困りますよね。
(特に雨漏りは、暮らし始めてすぐじゃ分からない欠陥です。実際に暮らして、雨に降られないと分かりません)
どこまでを瑕疵と呼ぶかが一般の人には難しいところですが、法律では構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分となっています。

なので、壁紙がはがれてきたという場合には、構造耐力上主要な部分ではないので、保証にはなりません。
先ほどの雨漏りについては、雨水の侵入を防止する部分の欠陥ですので、適応されることになります。
極端な話ですが、10年以内に突然何もないのに柱が割れて家が傾いたとなれば、これは当然ですが構造耐力上主要な部分の欠陥ですので対象です。

厳密な部分についてはケースバイケースとなりますが、法律で定められている瑕疵担保責任は、「家として生活がどうにも出来なくなる欠陥」というイメージで考えると良いでしょう。

一般の人が家を欠陥住宅を売りつけられないよう、ちゃんと法律でも保護されているということですね

瑕疵担保責任は新築で10年間、それ以外は2年

新築住宅では引き渡しから10年間については、作った人、売った人が瑕疵担保責任、つまり弁償しないといけないと法律で決まっています。

瑕疵については住宅以外でも、様々な製品にも言えることです。
ただ、住宅が特殊なのは期間が10年間と長いことです。
住宅は他の製品に比べ、住む期間が長いことと、瑕疵が分かりにくいという事情があるため、消費者を守るために10年と長い期間になっています。

新築住宅以外では、10年ではなく2年と短くなります。
なので、中古住宅を買う時などには注意が必要です。
中古住宅を買う場合には、2年以降に不備が分かって悲しいことにならないように、購入時にインスペクションといって住宅の欠陥がないかをプロに調べてもらう方法もありますので、利用すると良いでしょう。

なお、2020年の民法改正で瑕疵担保責任から契約不適合責任と変わったことで、現在、まだ判例などが少ないため分かりにくい部分もありますが、新築住宅の10年間の瑕疵担保責任については消費者に有利になっていると考えて良いでしょう。
以前は瑕疵=隠れた欠陥でしたが、契約不適合=売買契約の際に約束していたことと違う内容となっています。

問題になるのは10年以降の独自の保証

最初の10年については法律で守られているので良いのですが、問題は10年以降です。

大手ハウスメーカーでは60年などかなり長期の保証が付きますが、これが少々くせものです。

というのも、10年以内の保証については、法律の義務でしたが、それより後の部分は各会社の独自の保証なので、無料ではないという場合が大半です。

特定のハウスメーカーの名前を出すと問題になりますので本記事では出しませんが。
多くの会社では、まず、保証を受ける条件として、定期点検が必要というものです。この定期点検が有料か無料かが問題になります。
さらに、この点検を受けた際に指摘された修理部分を修理しないと保証の対象にならないとなります。この修理についてはほとんどの場合、有料になります。

「60年保証だから、最初はちょっと高いけど安心!」と思っていても、実際には点検、修理にお金がかかってしまい、ガッカリするという人もいます。
実際に建築を検討している住宅会社の保証がどこまで無料なのかについてはきちんと調べておいた方が良いですね。

地域工務店の10年保証でも、有料の点検、修理を受ければ20年まで保証が伸ばせることも

ハウスメーカーの保証じゃなく、地域工務店の法律で決まっている10年保証についても、実は有料の点検と修理を受ければ20年まで保証が伸ばせるシステムもあります。

また、長期に渡って家を維持したい場合には、長期優良住宅に対応してもらえるか聞いてみるのも良いでしょう。
長期優良住宅では、建てる時の基準を満たし、一定期間ごとの点検修理を行うことで、家の寿命を伸ばすことが可能です。

また、長期保証、長期有料良住宅じゃなくても、自動車などと同じで、点検を定期的に行って、事前に修理していくことで、家は長く快適に住むことが出来ます。
10年に1度など、家を建てた会社に点検を依頼して見てもらうようにすると良いですね。

有料でも点検を提案してくれる安心と捉えるか?保証じゃなくてリフォーム営業と捉えるか?

長期保証が良いと考えるかどうかは、長期保証についてどう捉えるか、人によって価値観が違うということです。

自動車の保証を考えると分かりやすいかもしれません。
保証に入って買いたいという人と、不必要な保証はいらないと判断する人と分かれると思います。

定期的な点検は確かに安心ではあるのですが、点検って実は修理を仕事にする職種では営業活動でもあります
車でも点検に出せば、怪しいところは交換をオススメされます。だから、車のディーラーはせっせと「そろそろ点検の時期ですが、いかがですか?」とハガキなどを送ってくるわけです。

点検を受ける側も安心して使っていけますし、店も儲かるということで、良いことではあります。

しかし、60年保証なのに点検費用を払わないと点検してもらえない。保証を受けるために点検のお金を払い続けて、その度にどこかの修理を有料でしないといけない。
「それなら、別に保証に入らなくても、定期的に有料の点検を依頼して、悪い部分を修理してもらえば良いんじゃないの?」
と考える人もいるでしょう。

無理に保証に入らなくても、調子が悪い、不安だから見に来てください、必要なところを修理して下さいと言えば、どこの会社も修理だって利益の出るビジネスですから、見てくれるはずです。

ただ、長期保証の場合、自分でお願いしなくても、定期的に向こうから点検してくれるので、分かりやすいというのがメリットです。

長期保証が良いと考えるかどうかは、自動車の保証と同じで価値観次第でしょう。

まとめ。長期保証は0円で直してくれるわけじゃない

人によってはハウスメーカーの長期保証と点検を安心と言う人もいます。
小さい工務店でも気になるところがあれば依頼すれば点検、修理に来てくれるので、そんな保証は不必要、という考えの人に分かれるでしょう。

保証については、保険と考え方は似ています。
保険は加入者からお金を集めて、統計学的に無理のない金額を病気になった人に支払います。
病気になる人が少ない、確率が低い方がもらえる保険料は多くなります。

保証についても、無料での修理が付くものなどは、あらかじめ保証料のお金が製品の金額に含まれています。
故障の確率を統計学的に出して、無料で修理が出来るように保証料を計算します。

ただ、家の保証については少々不思議なもので、10年を越えると無料での修理などがなくなるものが多いです
保証というより60年間、有料の定期点検と有料の修理をしにいきますよ、という予告という方が正確な気はします。

とは言えど、あまりに小さい工務店だと、点検部隊、修理部隊がいないところがあるのも事実です。
小さい工務店で保証について不安な場合は、
「建てた後も修理などはしてもらえますか?」
と聞いてみると良いでしょう。
これに対して、はっきりした答えがもらえれば問題はないでしょう。
基本的に修理も利益の出る仕事なので、修理は一切したくないという会社は少ないと思います。

また、リフォーム業者は世の中にたくさんあるので、実際には建てた会社に頼らなくても、修理料金を払えば修理はしてもらえます。
特に今はリフォームでも一切見積もりが取れるようなサービスも増えています。
とは言え、建てた会社は図面も持っていますし、1番スムーズに話は進みます

住宅の場合、保証という言葉の意味が他の製品とは少しニュアンスが違いますので、注意が必要です。