どっちが暖かい?床断熱と基礎断熱。プロが解説!!

住宅

こんにちは、長野県茅野市の工務店エルハウスの滝沢です。
快適な室内環境を得るためには断熱材の施工がとても重要です。断熱材はお家が完成した後には見えませんが、天井裏壁の中、そして床下にも使用されています。床下の断熱に関しては、床下を部屋の内部と考えるのか、それとも外部と考えるのかで断熱材の種類、施工方法が変わってきます。前者を床断熱、後者を基礎断熱と呼んでいます。
今回は床下の断熱方法として、床断熱」と「基礎断熱について、それぞれ紹介していこうと思います。

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断熱材の役割

既にご存じかもしれませんが、念のため復習です。断熱材部屋の中と外を熱的に隔離するためのものです。建物の内部と外部との境界となる部分に使用されます。

断熱材自身で断熱をするというより、自然界に存在する空気を利用しています。実は、空気はとても熱伝導率が低い、つまり熱を伝えにくい物質です。ただし、空気は温度差があると簡単に動いてしまいます。断熱材の役割としては、熱を伝えにくい空気を動かないようにその場に留まらせておくことになります。

床下は部屋の中?それとも外?

みなさんは床下と聞くと、部屋の中のイメージですか?それとも部屋の外のイメージですか?

昔の住宅は建物の壁に沿ってコンクリートを打つ布基礎が主流でした。そのため、床下には地面が露出しており当然、床下=外になりますので、床断熱という考えしかできませんでした。
今は、建物の壁部分だけでなく、床下全体にコンクリートの土間を打つ、ベタ基礎が主流になっています。床下がコンクリートで覆われているイメージです。
この構造では、床下も部屋の一部と考える基礎断熱という方法も可能になります。

床断熱とは?

床断熱とは、床下は部屋の外という考えで床のすぐ下に断熱材を施工する方法です。
この場合、床下は湿気がこもるものを防ぐために通気が取れるようにしています。昔の住宅だと基礎に通気口があったりしますが、今は基礎と土台の間に通気部材を入れる工法が主流です。多くの住宅では、この床断熱が採用されています。それでは、床断熱におけるメリット・デメリットを見ていきましょう。

床断熱のメリット

  • コストが安く、施工方法が安定している

古くからある工法なので、職人さんも慣れており勘所を抑えている方が多いです。そして、コストも安く抑えられます。広く普及するためのには、やはり施工性・コストが重要になります。ただし、後でデメリットにも上げますが、いい加減な施工では気密性が悪くなり、思ったほど断熱効果を得られなくなってしまいます。

  • シロアリの心配が少ない

シロアリは、湿気のある場所を好み、光や風を嫌う特性があります。床断熱工法では、基礎と土台の間に基礎パッキンという部材を使い、常に空気が動くようになっています。もちろん、床断熱であってもシロアリの被害に合うケースはありますが、基礎断熱工法に比べるとリスクは小さくなります。

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床断熱のデメリット

  • 気密性の確保が難しい

基礎断熱に比べて、気密性を確保するために処理すべき箇所が増えます。床下への配管部やユニットバス周りの気密処理を丁寧に施工しなければなりません。また、断熱材は大引きと言われる構造材の隙間にはめ込んでいくため、丁寧な施工をしないと隙間を発生させてしまいます。とは言え、しっかりとした施工方法が確立されている業者であれば特段、問題はないでしょう。

  • 基礎コンクリートの温度影響を受けやすい

冬場は、基礎コンクリートが冷たい外気でガンガンに冷やされます。その基礎コンクリートの冷気が室内に入り込む場合があります。また、夏場は床下が外気温より低くなり、コンクリートはヒンヤリしていますので、夏の暖かく湿った空気が触れることで、結露を起こす可能性もあります。

基礎断熱とは?

基礎断熱とは、床下も部屋の内部という考えで基礎で断熱をとる施工方法です。基礎の外側に断熱材を施工する方法と内側に施工する方法、外側・内側の両方に施工する方法の3パターンあります。断熱性能としては、基礎断熱の方が高いと言われます。基礎断熱のメリット・デメリットを見てみましょう。

基礎断熱のメリット

  • 気密性を確保しやすい

基礎コンクリートと土台の間や基礎を貫通する配管などに注意は必要ですが、床断熱に比べると気密が取りやすいです。気密性が高い(隙間が少ない)ことは、暖かい住宅を作るのに重要なポイントになります。気密性と断熱性はセットで考える必要があります。

  • 基礎コンクリートが地熱を利用できる

冬場は、コンクリートが室温や地熱の影響で蓄熱層となり、床下から暖めてくれます。逆に、夏場は外気温より地熱の方が温度が低く、コンクリートが冷やされます。その結果、床下の空気を冷やすので、床も冷やしてくれます。もちろん、地熱だけで十分な効果はないので、暖房機器を使用する必要はありますが、補助的な役割にはなりますね。

  • 配管の凍結が防げる

床下も部屋の内部という考え方のため、居室内との温度差も小さいです。そのため、床下にある給排水が凍結する心配もないです。床下断熱の場合、凍結を防止するために電気などで暖める凍結防止帯を作動させるため、電気代がかかります。

基礎断熱のデメリット

  • シロアリ対策が必要

基礎断熱が広く普及しない大きな原因は、シロアリのリスクが高いためです。
シロアリは光や風を嫌うため、自ら蟻道(ぎどう)という専用の通路を作って侵入してきます。床断熱であれば床下を目視すれば発見できますが、基礎断熱の場合、断熱材の中を通って柱や桁などに到達するケースもあり、気付くのが遅れるケースもあります。防蟻処理された断熱材もありますが、断熱材と基礎の隙間などからも侵入しうるのが怖いところです。
コストは掛かってしまいますが、基礎の周りにパイプを埋設し、防蟻薬剤を定期的に注入してシロアリ防除するシステムもあります。

  • 完成後、1~2年ほどはカビが発生しやすい

基礎コンクリートは完成後、すぐには乾燥しません。2年ほどの間は水分を蒸発し続けます。
そのため、床下の空気が停滞しないような工夫が必要です。住宅で義務付けられている24時間換気を床下を含めた換気経路で設計したり、室内と床下をつなぐ換気口を導入したりする方法があります。
除湿もできる床下エアコンを導入する住宅会社もあります。

床断熱と基礎断熱どちらが良いの?

基礎断熱北海道や東北地方など寒さが特別厳しい地域で始まったようです。その極寒地域でも採用率は30%程と言われています。全国的にみても基礎断熱を採用している住宅はあまり多くはないです。
それは、デメリットのシロアリ・カビのリスクが大きいのではないでしょうか。それぞれ対策方法も考えられていますが、コストとの兼ね合いもあり、簡単には導入できないのだと思います。暖かい地域の方は、広く普及している床断熱で十分ですしね。

まとめ

今回は床下の断熱方法として、床断熱基礎断熱を紹介しました。
生活していても普段見る機会はほとんどありませんが、床下を家の中と考えるか?家の外と考えるか?で構造も違ってきます。
住宅会社によっては、どちらの工法も対応できるので、自分たちでメリット・デメリットを理解しておくことは大切です。自分の住む家の構造くらいはある程度、理解しておきたいですね。
私たちが家づくりをお手伝いしている諏訪・松本地域も寒さが厳しい地域です。
エルハウスでは、通常仕様の住宅では床断熱、より断熱性能を高めたエコ住宅では基礎断熱を採用しています。

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