こんにちは、福田です。
住宅のお仕事をしていますと、家や土地の適正予算を明らかに失敗している方を見ることがあります。
私が仕事で大事にしていることとして、ご相談頂いた方の人生に役に立てるよう率直なアドバイスをすることにしています。
ですので、
「いや、そのお金の考え方は危険だと思いますよ」
と率直に伝えるのですが、
「福田さんは失礼な人だな、私たちはそのくらいの金額払えますよ!!」
ということで、少々無理をしても高額な家を建てたいと考える方もいます。
家は一生住むので、確かに安すぎるのも考え物ですが、無理をするのもやはりよろしくありません。
今回は、家や土地の適正予算について、また昨今言われるようになったFIREについてなど、お金のことについて考えてみましょう。
高収入=高い予算をかけても良い??
一般的に適正予算を考える時には、収入に対しての住宅ローンの支払いの率、返済負担率を考えます。
でも、それだけではダメです。
考えてみるとすぐ分かるのですが。
都市部と長野県のような地方では、土地の金額が1000万円近く違います。かといって、収入がそんなに違うわけでもありません。
家を買う時に、
「僕たちの収入ならいくらまでなら使っても良いね!!」
という数字は、都市部と地方では本来違うはずなのです。
当然ですが、都市部の方がお金は多くかかります。
例えば、以下の支出のことを考えてみましょう。
・車(購入、維持のコスト)は必要?
・ガソリン代、電車代
・土地価格
・生活費
都市部と地方では、支出も違います。
さらに言えば、給料が上がるかどうかも職種によって随分と違います。
典型的なのが、同じ25歳でも、
・3交代勤務の工場
・研究職
を見てみると分かりやすいでしょう。
25歳の時点だけみると、3交代で工場で働いている人は、夜勤なども付くので、結構収入は高いです。
しかし、年を取って、次第に三交代はしんどいとなってくるかもしれません。
対して研究職の人は、大学院を出たりしていると、25歳時点では、入社して3年以内ですので戦力になってきたぐらいの頃、まだそんなに高い給料をもらえていない場合が多いでしょう。
もちろん、研究職だからといって給料が増えるとも限りませんが、今現在の収入だけじゃ分からないです。
重要なことは、今の収入だけで家や土地の適正金額を考えることは危ういということです。
FIREを狙うなら、家と土地のお金が重要。
FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったものです。
「経済的自立」と「早期リタイア」、つまりは、40歳くらいまで働いて、そこまでに稼いだお金で残りの人生を過ごすということです。
(別にFIREすることが良いわけでもないですし、私自身、特にFIREを狙ってもいないのですが)
FIREと言わずとも、お金がカツカツの人生よりは、お金に余裕がある方が良いと思う人が多いでしょう。
FIREをする上で重要なのが、高所得ではなく、支出の少なさです。
FIREの原理としては、
仮に年間の支出が300万円の人なら、
資産が1億円作れたら、年利3%で運用できれば年間300万円は働かずに作れます。
(実際には税金とかありますが)
でも、1億円の貯蓄を作るのは、かなり難しいです。
でも、5000万円くらいならどうでしょう?
毎年150万円貯められたら30年間で4500万円です。
年利3%で貯めていけば、5000万円に届きますね。
年間150万円なら、例えばですが、夫婦共働きなら、どちらかの収入を全て貯金に回すなど、かなり現実的な数字です。
決して簡単ではありませんが、現実的な数字と言えます。
5000万円を年利3%で回せたら、年間150万円です。
年間の支出を150万円以内に抑えられる人なら、FIREできますね。
支出が少ない人の方が、FIRE達成に必要な資産は少ないのです。
さらに、支出が少ない=貯蓄もしやすいです。
家と土地にモリモリお金をかけてしまうと、現実的にFIREは不可能といっても良いでしょう。
逆に、人生の早い段階で、賃貸で家賃に払うお金を卒業して、
住宅をコストを抑えて手に入れられたら、
FIREとまでは言わずとも、お金に余裕のある人生がきます。
「お金持ち」じゃなくて「時間持ち」の時代。
特にこれからの時代は「お金持ちになりたい」と言うよりは、
・時間に余裕があって、自分のしたい趣味などができる
・やりたくない仕事をしたり、ストレスを抱えながら生きるのは嫌だ
・だけど、お金を稼がないと、生活が・・・
という人は多いんじゃないでしょうか。
お金持ちになって高級な車を乗りたいとかではなく。
言うなれば時間を自由に使いたい、
自分の人生、自分の好きなことをやりたい、
そういう価値観、人生観が増えているんじゃないでしょうか。
言うなれば、お金持ちではなく、時間持ちです。
FIREは典型的な時間持ちですよね。
完全なFIREじゃなくても、正社員でフルタイムじゃなくて、パートタイムでも十分暮らせるというのも、
時間持ちと言えるでしょう。
車と家でローンがモリモリの人生は典型的な時間貧乏
典型的な時間貧乏の生き方として、車と家のローンがモリモリの人です。
でも、その生き方は、一昔前は良い生き方とも言われていました。
たくさん稼いで、良い車に乗って、良い飯食って、良い家に住む。
たくさん稼いで、たくさん使う。
傍目に見ると華やかですよね。
もちろん、たくさん稼いでいて、たくさん使うのもバランスが取れていて、本人が納得していれば、今の時代でも良い生き方です。
問題なのは、ローンがモリモリで無理が出るだったり、当人がつらい、しんどいと感じる場合です。
クレジットカードやローンなど。
多くのものを分割払いができる時代です。
分割払いの代表的なものが、スマホでしょう。高いですよね。最近のiPhoneは10万円以上しますね。
ノートパソコンも高いですね。昔と違って、一家に一台ではなくて、一人一台の時代です。
分割払いという、未来の自分からお金を借りることの多い時代とも言えるんじゃないでしょうか。
ファミリー向けの大きな車、ハイブリッド、バワードア、新車。
家も土地もローンが組めるだけぎりぎりで組む。
もちろん、それも人生の価値観です。
でも、車は中古車で、
市街地から少し離れた安い土地に、
コンパクトな家で、
代わりにお金には余裕がある人生。
FIREまで言わずとも、ストレスで心をすり減らして生きる必要のない人生。
そういう価値観も増えて来ているんじゃないかと思います。
適正予算は今の年収ではなく、暮らし始めた後の支出と人生観
家と土地の予算を間違えると、残りの人生、ずっと支払いが辛くなります。
逆に、ただ安くだけで考えると、
「ここの部分はもう少しお金をかけても良かったな」
と思うかもしれません。
家に限らず、服一枚買うにせよ、日々のスーパーでの買い物でもそうですが。
高いものを買えば幸せとは限りません。
全てにたくさんお金をかけるのは不可能です。
自分が本当に大事だと考えるものにお金をかけるためには、別の何かを調整しないといけません。
極端な話ですが、全てにお金をかけようと思ったら、昼も夜も働き続けることも不可能ではありません。
昼は会社で、夜は牛丼屋で、3時間睡眠で働けば、収入は2倍です。
だけど、本当にそれで良いのでしょうか。
人生の一部の期間はそういう無理な働き方をするのも良いかもしれません。
ただ、人生ずっと、ローンがカツカツっていうのは、どうかなと思います。
ただ、確かに出世や昇進などもありますので、今よりも収入は上がるかもしれないのも事実です。
だから、今の年収で考えるだけでなく、暮らし始めた後の支出、その後の人生から適正予算を考えないと、
「あの時、もっと冷静にいろいろ考えるべきだった。あと30年もこんなに高いローンを払い続けるのか。。。」
となってしまいます。
長い人生、未来をよく考えて適正予算を考えてみることが重要です。