亜麻仁油を塗料として塗って木を長持ちさせる?蜜蝋ワックス、キシラデコールとの違いは?

住宅

こんにちは、福田です。

今回は木を長持ちさせるお話です。

近年、外壁の板張りや無垢フローリングなど、本物の木を希望されるお客様が増えたように思います。その中で必ず出てくるのが、
「本物の木だと傷んだり、長持ちしにくいんでしょう?」
というお話です。

今回は亜麻仁油(あまにあぶら)で簡単に木のメンテナンスはできるんですよ、というお話です。

実際に亜麻仁油を塗っている杉のウッドデッキ

それでは、まず分かりやすく画像で亜麻仁油の効果です。
亜麻仁油の効果は雨が少し降った後などをみると分かりやすいです。

↑亜麻仁油がきちんと濡れているところ。水が弾かれて球状になっています。

↑いまいち塗り方が甘かったところ。
水が弾かれず、ベターとなっていますね。
それでも、一応は塗っているので、べっちゃりという感じではありません。

↑実際にぬった亜麻仁油。茅野のAコープで買ってきたもの。普通の食用。だいたいどこのスーパーでも売っています。
広い面積を塗る場合は塗装用のものの方が大きくて安いです。
違いとしては、食用のものは清潔というくらいで、亜麻仁油は亜麻仁油です。

我が家の場合、そんなにしょっちゅう塗るわけでもないですし、必要になったら買うくらいの感覚なので、食用のものが便利です。あまったら食べてもいいですし。

木の塗料。亜麻仁油、えごま油。蜜蝋ワックス。キシラデコール。

防腐など木の耐久性を狙うという意味では、大きく分けると、自然系の塗料と、ケミカルな塗料に別れます。

亜麻仁油は言うまでもなく自然です。
蜜蝋ワックスなんかも自然ですね。

これに対してキシラデコールなどの木部用塗料はケミカルです。

プロが塗る場合には、基本的にケミカルが多いです。
というのも、耐久性が長いです。
でも、一般の人が塗る場合は亜麻仁油なども楽で良いです。

亜麻仁油のメリット、デメリットなど

亜麻仁油、えごま油のメリットは塗るのが楽

まず、亜麻仁油、えごま油の最大のメリットは手が汚れないということです。
何せ食用ですからね。
手についたって平気です。
もちろん、色などもつきません。

ハケなどを用意しなくても、布やペーパータオルに染み込ませて手で塗れば良いだけです。
非常に簡単で楽ちん。

木についても、色はつかないです。木の色が深くなるようなイメージですね。

亜麻仁油、えごま油のデメリットは長持ちしないこと

亜麻仁油やえごま油は塗るのが非常に簡単なのですが、問題点として長持ちしないということです。
最初の写真のように雨が降ったりした時の様子や、水を垂らしてみて様子をみて、切れてきている場合、塗ってあげましょう。

なので、家を手入れしたりするするのが好きな人には向いています。
愛着が湧きます。

しかし、そういうの嫌という人の場合は、亜麻仁油などで塗装することはおすすめじゃありません。

亜麻仁油以外の普通の胡麻油やサラダ油、エンジンオイルは??

油なんでも使えるの?
という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

というのも、亜麻仁油やエゴマ油はちょっとお高いんですね。普通のサラダ油なんかが使えると安いですよね。
でも、ダメなんですよ。

ポイントは乾くかどうかです。

サラダ油はキッチンなんかで使っていても、キッチンがベトベトになりますよね。空気に触れても乾かないんです。
オリーブオイルなどもそうです。
車のエンジンオイルなんかもそうですね。乾いて硬化してしまうと困ります。

これに対して、亜麻仁油やエゴマ油は乾性油と言って、乾いてさらさらになります。
こういう乾く油じゃないと塗料としては不向きです。

蜜蝋ワックスは??

木に使える自然塗料ですと蜜蝋ワックスも人気があります。

亜麻仁油などは液体ですので、木材の中まで染み込みます。
これに対して蜜蝋ワックスは、固形、温めれば溶けますが、あくまでワックスです。中に染み込むと言うよりも表面に膜を作るようなイメージです。

それでも、ケミカルなワックスやニスなどと比較すると割と木の中にも染み込んでいくような感じですし、パリッとした膜を作るような感じではありません。

亜麻仁油などを塗装した上に蜜蝋ワックスというような使い方をするのが理想ですが。
DIYの範囲でしたらそこまではしなくても良いかな、とは思います。

YouTubeで見られる家づくり勉強会

また、後述するキシラデコールなどのケミカルな塗料と比較すると、蜜蝋ワックスもやはり長持ちはしませんので、定期的に塗る必要があります。

蜜蝋ワックスはベタベタするので塗るのはちょっと大変?

蜜蝋ワックスも塗るのは楽です。
自然のものなので、素手で布などを使って塗ったって問題ありません。

ただ、亜麻仁油などと比べるとちょっと面倒です。
亜麻仁油は液体なのでよく伸びます。

さらに亜麻仁油はドバッと出てしまってたくさん塗っても表面を拭き取るといいますか、ぐいぐいっと塗り込むような感じにすればOKです。
蜜蝋ワックスは多く塗りすぎるとベタベタして厄介です。
しっかり薄く塗り伸ばすのが大事です。

この薄く塗り伸ばすというのがちょっと面倒なのです。

あとは乾く時間が亜麻仁油と比較すると少々長いので、その間、ウッドデッキが使えないのがデメリットです。

それでも、蜜蝋ワックスも塗りムラなどもさほど気にならないですので、使いやすい塗料です。

キシラデコールのメリットはとにかく長持ちで強いこと。

亜麻仁油や蜜蝋ワックスなどの自然系の塗料に対して、キシラデコールに代表されるようなケミカルな塗料の良いところは、とにかく長持ちします。

余談ですが、外人のベジタリアンの友人の名言に、
「Science Wins!!」
という言葉があります。
彼女はベジタリアンですし、自然素材などが好きなのですが、やはり化学調味料は美味しいということをScience Wins!!と表現したのです。

やっぱりケミカルなもの化学物質というのは便利です。
さらに安いです。

キシラデコールは塗料としては少々高級な類になります。
それでも、亜麻仁油などはかなりの頻度で塗装しないといけないので、長期的に見るとキシラデコールの方が安いでしょう。

キシラデコール以外にも化学系の塗料はありますし、もっと安いものもあります。

それでも、防水性や防虫性など総合的に考えても、やはりキシラデコールは人気ですし、信頼があります。
私自身、若い頃は山小屋で働いていて小屋にキシラデコールを塗っていました。山小屋というのは冬は雪に埋まりますし、山の中で虫や獣もいます。それでも、何十年経った板張りの小屋でも、美しく保たれています。

木部の塗装で迷ったらキシラデコールを使えば間違いないと考えても差し支えないでしょう。

キシラデコールのデメリットは手軽さとしてはいまいち?

そんなキシラデコールですが、デメリットはやはり塗りにくさです。
決して塗りにくいわけではないですが、亜麻仁油などと比較すると、手につくと落とすのも厄介です。
当然ですが、ハケが必要です。布やペーパータオルで塗り込めば良いというものではありません。

ペンキ缶と、ハケ、そして汚れ防止のためのビニールヤッケなどを一通り揃える必要があります。
さらに、窓などに付着しても厄介ですので、マスキングテープなどで養生する必要もあります。

色のついていないクリアタイプでも、やはり周囲に散るとよろしくないです。

特に油性のものは厄介です。
油性の方が長持ちしますし強いですが。

長持ちする、耐久性があるということは落ちにくいということでもあります。

もちろん、DIYでも可能なのですが、狭い範囲を気楽に塗るなら亜麻仁油のような手軽さはありがたいです。

普通の白いペンキは??

キシラデコールのような木部専用の耐久性のある塗料ではなく。普通の白いペンキはどうでしょう?

普通の白いペンキは、木材の防腐などの効果は少ないです。
表面を覆うので、全く塗らないよりは良いのですが。
キシラデコールのように木材の中に浸透するのではなく、表面に色を付けるのがメインの目的です。

白ペンキはアメリカ西海岸のようなイメージでかわいいのですが、防腐の効果は低いです。
特に雨がかかったり、屋外の場合には、一度はキシラデコールのような防腐、防水を目的とした塗料を塗って、その上で色を付けるために表面を塗る方が長持ちしやすいでしょう。

まとめ。自分でちょくちょく気楽に塗りたい、自然塗料にこだわりたいなら亜麻仁油。

木部の塗装のDIYについてでした。
特に亜麻仁油とそれ以外の塗料についての話でした。

個人的には亜麻仁油大好きです。
何より気楽です。
元々は我が家は無垢のテーブルの手入れ用に蜜蝋ワックスと亜麻仁油でした。
無垢の無塗装の家具は、時々、手入れする必要があります。
しかし、無塗装のものはやはり手触りが良いのです。
それで、亜麻仁油を使っていたのですが、ウッドデッキや無垢の床などもちょっと塗ってみようかというところから、いろんなところに亜麻仁油を使うようになりました。

特に屋外のウッドデッキについては雨にも塗れますし、防虫、防水ともに必要なので、当初は5年に一回くらいキシラデコールを塗ろうかなと思っていました。
(一応、ノーメンテでも長持ちする加工をした木ですが、外見的な美しさを考えるとやはり定期的に塗る方が長く美しく使えますので)

しかし、亜麻仁油を使い始めてから、非常に簡単に手軽に塗れて、デッキがしっかりと水を弾いてくれるので、お、これは良いぞ、キシラデコールじゃなくても良いんじゃないか、となりました。

キシラデコールは確かに強いのですが、何か塗料を塗っている感じが非常に強いのです。
(クリアもあるので、もしかするとクリアを使えばナチュラルな感じがするのかもしれませんが)
出来るだけ、木のそのままの色、経年劣化の自然な色が出てくれると良いなと思っていたので、亜麻仁油がピッタリでした。

今回はウッドデッキの写真でしたが、無垢のフローリングに何か落としたりして傷ついた場合でも、亜麻仁油をぬると、周囲と色が馴染んで目立ちにくくなります。
木の手入れなら、万能に手軽に使えます。
亜麻仁油は長持ちしないというデメリットもありますが、スーパーでも買えますし、塗るのも簡単なので、気になる人はぜひ試してみて欲しいです。

※亜麻仁油も一応は油なので、夏場などは塗った後の布が太陽にあたって高温になって自然発火する可能性もゼロではありません。使い終わったペーパーや布は水につけるなどして、気を付けてください。

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