大き過ぎる、広すぎる家のデメリットは?

住宅

こんにちは、編集長の福田です。
人間、予算に余裕さえあれば広い家が欲しいという人が多いです。特に昨今はリビングをとにかく広くと言われる方が多いです。
どうして人は大きな家が欲しいと感じるのか?という少し哲学的なことを考えてみて、大きな家のメリットは?大き過ぎる家のデメリットはあるのか?ということを考えてみようと思います。

大き過ぎる、広過ぎる家のデメリット?

実際に暮らすのにそんなに大きな家じゃなくても問題はない?

まず人間が生きるのには、さほど大きな住まいは必要ありません。もちろん最低限の広さは必要です。

私は仕事柄、多くの人の住まいに関することを聞くのですが、家って不思議なことに小さければ小さいなりに暮らしますし、それで特別、不便ということはないようです。
収納はいくらあっても片付かない家は片付きませんし、収納が少なくても断捨離してきれいにしている家もあります。
別に家が豪邸でも家庭内の関係が良くないところもあれば、質素な住まいでも幸せそうに暮らす家庭もあります。

特に子どもに関して言えば、豪華な家で育った子でも、広くないアパートで育った子でも、家のせいで子ども時代が悲しかったということはあまり聞きません。
大人の方は、家が立派かどうかというのは気にするものの、大人が教えない限り、子どもは気にしないことが多いです。大人になるにつれ、自分の家が貧乏なのだとか、裕福なのだとか分かってくるタイミングはあるでしょう。
しかし、
「自分の部屋がなかったから不幸な子供時代だった」
という人は聞いたことがありません。
両親の不仲で悲しい子供時代だったとか、極端に生活が困窮していたので不幸だったというケースはありえるかもしれません。
しかし、家がいくらか広かろうが、狭かろうが、その家族の幸福度というのは大差ないものです。

昔と比べると家は小さくなっている

一般的に昔と比較すると、今の家は小さくなっています。特に子ども部屋が昔は6畳が多かったですが、昨今は4.5畳+収納やもっと小さい部屋にする家も増えています。
また、昔は盆正月には一族が集まる、お葬式を家で行うという需要も多かったです。親族を呼んで葬式が出来るだけの広さとなると、やはり相当な広さが必要でした。

また昔は耐震や断熱などがなかったので、家本体の価格も安かったこともあります。

また町の土地の価格も上がって、昔のように庭を作って大きな家を建てられるような余裕のある土地を買うのが難しくなっていることもあります。

仮に家が広いと幸せだとしたら、昔の人の方が幸せだったということになります。
人の幸福の度合いは数字などでは表せませんが、昔と比べて今は家が小さくなったことで不幸になっているというのは少し考えにくいでしょう。

とはいえ、昔の日本家屋の縁側でスイカを食べるような暮らしの気持ち良さは、今のコンパクトな家には減ってきているのも事実でしょう。
その代わりに極寒で窓が凍っているという不便さはなくなりました。

お金があるなら大きな家が欲しい4つの理由

お金があって予算さえ許せば、大きな家が欲しいと感じる理由について考えてみましょう。

まずは単純に見栄です。
見栄というと響きは悪いですが、昔から権力者は立派な家に住むことで、自分の立場、権力を示してきました。
宮殿やお城など、大きなたてものに住むということは、権力者の象徴でした。
家に限らず、贅沢なものを身に付ける事で、権力を示すことは出来ます。その中でも家は一度建てれば長く住むものですので、権力を示すのに適しています。

2つ目の理由は、お客様を招く機会が多いということです。
今の日本では少なくなりつつあるかもしれませんが、盆や正月に親族が集まるために広さが必要ということです。
また昔ですとお金持ちの方が商談や社交などのために自宅にお客様が来ることは多かったでしょう。
昔の中国だったら食客を長期にわたって滞在させるなどもありました。今の時代に食客はないでしょうし、昨今は居候というのもあまり聞かなくなりました。
お金を持っている、力がある人は、人間関係も広く、家にお客様が来る機会が多かったのです。

3つ目の理由としてお金持ちの方が財産、所有物が多いということもあるでしょう。
ただ、これも現代社会ではあまり当てはまらないかもしれません。パソコンなど、多くのものがデジタル化されコンパクトになりました。
服なんかについても、お金持ちの方が、高級でこだわったものを厳選して所有していて、そうじゃない人は安いものをたくさん買っていることもあります。むしろ、貧乏性で捨てられないということで、不要なものをドンドン貯めこんでしまう方も多いでしょう。
所有しているものの数や量については、意外とお金持ちでも大差無い場合も多いです。

そして、4つ目が心配だからです。
これはお金持ちに限らず、誰しもそうですし、これが一番大きな理由でしょう。
本当に自分たちに必要な家の大きさが分からない。
家を建てたあとに広さが足りなくて困ったらどうしよう。
広くて困ることはないだろうから、広い家を建てようと人間は考えてしまうものです。
大は小を兼ねるという考え方ですね。

家が広くて良いこと4つのメリット

家が広くて良いことの1つ目は大きな家具を買えることです。
家具が好きで、大きくて立派な家具が欲しい方には良いですね。

2つ目の良いことは、趣味専用の部屋や、部屋を分けて作る余裕が出来ます。ゴルフバッグを置くための土間収納。一階の大きなウォークインクローゼット。セカンドリビングとして使える二階の広い階段ホールなど。プラスアルファの部屋を作ることが出来ます。

3つ目の良いことは、家族が増えても対応しやすい、来客が泊まりやすいということです。
三人目の子どもが双子で六人家族になったり、両親が一緒に住むことになったとしても、対応出来ます。来客の宿泊、居候、様々なことに対抗可能です。

4つ目は何となく心理的に良いような気がするということです。
これは本当に何となくです。
実際には暮らす家族の人数で置く家具の大きさ、量は決まってきます。それ以上の大きさは何となく心理的に安心感があります。

家が広くて困る7つのデメリット

逆に家が広くて良くないこともあります。
1つ目は耐震の観点です。構造計算、壁量計算などできちんと耐震性は確保しますが、壁のない大きな空間は耐震の面でよくありません。やはり壁、柱は多い方が構造的には有利です。

2つ目は掃除が面倒くさいということです。
とはいえ、昨今はルンバなどもあるのでさほど問題にはなりませんが。それでも、広すぎる家はお掃除や維持が大変です。

3つ目は動線が悪くなるリスクもあるということです。
あまりに広い家は移動が大変です。
コンパクトな2LDKの平屋などは生活は楽です。

4つ目は冷暖房費が高くなることです。同じ断熱性能なら、小さい家のほうが少ないエネルギーで冷暖房出来ます。

5つ目は固定資産税やメンテナンス費用が高くなることです。土地も広くなりますし、家の面積も多いので税金は高くなります。広い方が修理する箇所も多くなります。

6つ目は大きな家具は値段が高いということです。
大きな家具を買えるのはメリットでもありますが、値段も高くなりやすく、デメリットでもあります。

YouTubeで見られる家づくり勉強会

7つ目は、家も土地も値段が高くなります。

大事なのは空間の広さではなく、モノの量の比率

良い空間を作るポイントとして、空間を贅沢に適切に使うということがあります。
例えばですが、六畳の部屋に無理やり大きなソファと、テレビとテーブルを置くと、狭くてあまり良い空間じゃないと感じやすいです。
これは六畳の部屋が狭いわけではありません。
同じ六畳の部屋でも、一人がけのソファに小さいコーヒーテーブルだったら、ゆったりした良い空間と感じるでしょう。

空間の良し悪しは様々な要素がありますが、モノを置き過ぎず、適切に置くのが重要です。

大きな家具を置きたい人には、大きな家は良いです。
しかし、コンパクトな家でも家具を考えれば良い空間になります。

家具は生活の高さを揃えること、座る場所を決めること

また家具を考える時に重要になるのが高さです。
地べたに座って使う家具と、ソファなどの椅子の高さで使う家具が混ざっていると、部屋の統一感がなくなります。

日本の家でありがちなのが、食卓は椅子とテーブルなのに、リビングは地べたに座るスタイルです。
特にコタツの生活の場合に多いです。
高さが揃っていないので家具に統一感が出しにくく、また、ソファがあるのに地べたに座るほうが居心地が良いという状態になってしまいやすく、空間が乱雑で使いにくくなりやすいです。
どこに座って過ごすかを考えて、不要な家具は買わないようにするとさほど広くなくても上手く行きやすいです。

昔の日本のちゃぶ台スタイルは、非常に合理的な生活スタイルだったと言えます。
広くない居間に、ちゃぶ台とテレビがあって家族が集まって会話する。疲れれば座布団を枕にして、畳で横にもなれます。良く出来ています。
大きな家を必要としませんし、ソファでゴロゴロしながらテレビを見続けるという時間の無駄もなくせます。

ベッドか布団か、でも言えることですが、昔の日本の生活スタイルの方が、コンパクトな家でも快適に暮らしやすいでしょう。

ソファを置くなら地べたのコタツは置かないで、置くとしたらソファに座ったまま入れる高さのあるコタツにするのも良いでょう。
コタツを置くならソファは置かずに、ヨギボーなどの地べた系のクッションなどを組み合わせると良いでしょう。

どこにどの高さで座るか考えて家の広さと家具を考えるのは重要です。

家の中の空間と家の外の空間をつなぐこと

広さのある空間を家の中だけで作ろうと思うとものすごい広さが必要になります。
リビングを10畳増やすことは金額的に大変ですが、庭を10畳とるのは簡単です。
庭と家の中をゆるやかにつなぐことで、開放感、広さのある家ができます。

昨今は庭をしっかり作る家は少ないですが、リビングの窓から見える空間がしっかりしていると広々した空間を感じられます。
リビングに大きな窓があって、カーテンを開けたくなるような庭、その庭に気楽に出られるウッドデッキ、そこにガーデンチェアとイスがあれば、家は実際の広さ以上に気持ちの良い空間になります。

家にお金をかけるのも大事ですが、庭にお金をかけるのも重要です。外からの視界が入らないようなフェンスを立てたり、広いウッドデッキとシンボルツリーを植えるだけで、庭の気持ちよさはぐっと変わります。

スタディスペース、家事スペースは何箇所も必要?

広い家は用途を分けられるというのも人気のポイントですが、実のところ、そんなに、たくさん用途、部屋を分ける必要があるかを考えるのも重要です。
例えば、昨今人気のスタディスペースや家事スペースとしてのカウンター。
リビング学習でしたら、専用のカウンターを作らなくても、ダイニングテーブルでも問題ありません。
パソコンでの作業スペースについても、今のパソコンって薄くて小さくて軽いです。

テーブルの上が片付かないので勉強しにくいのであれば、テーブルの上を片付けるべきです。
また、勉強道具は片付ける習慣を子どもに身につけさせるのにも良いでしょう。
カウンターは便利なようで、どんどんモノを積んでしまいがちです。

書斎についても同様で、リビング学習で東大という説もあるくらいです。お父さんもリビングテーブルを書斎として使うのも良いですね。

洗面と脱衣を分けるのも昨今の流行りです。
理由はお風呂に入っているときに洗面を使って欲しくないからですが、お風呂には鍵が付いていますし、洗面所にも鍵は付けられます。洗面と脱衣所を分けなくても裸で家族が遭遇するということは多くありません。
お風呂に入っているときに歯磨きをしなければ良いだけです。

ランドリースペースについても、本当に専用のスペースが必要か?リビングに干すのはいけないのか?を考えるのも重要です。

何となく響きは良いのですが、本当に分ける必要があるのか?本当にそんなことが便利なのか?は考えてみる価値はあります。

基本的には、部屋を分けて大きな家を建ててもらう方が住宅会社は儲かりますので、いろんな間取りが流行ります。
流行りやネットの情報に流されず、自分たちの暮らしをイメージするのは重要です。
もちろん、流行りのものにも理由はありますし、生活をイメージした中で本当に必要なことは取り入れるべきでしょう。

お店や美術館、モデルハウスではなく、一般住宅の広さ

家づくりで間違えやすいことに、カフェと同じ広さの空間を作ってしまうことです。
カフェのような雰囲気の空間を作ることは良いのですが、カフェ、お店の場合、たくさんのお客様も来ますので、たくさんのテーブル、席も必要です。
一般住宅の場合、例外はあるにせよ、多くの場合、自分たちの家族以外は使いません。家族のメンバーが気持よく使える空間を考えることが重要です。
カフェのようなおしゃれな空間が欲しいと思えば、それは良いのですが、広さについては自分たちの家族の広さだけで十分です。
モデルハウスのように、大きな吹き抜けから手を振って「ヤッホー!」なんて実際に暮らすと叫びません。適度な広さがあれば、吹き抜けの縦に広がる空間としての役割は果たせます。

コンパクトな家が必ずしも良いわけではないですが、実際には今住んでいるアパートより広くなります。
漠然と心配だから、何となく大きな家は快適そうだからということで家を広くするのは考えものです。

広さの目安が分からない時には、ニトリなどの家具屋さんに行って、自分たちが気に入った家具、新居で実際に置きたい家具の大きさをメモして、間取りに書き込んでもらうのも良いでしょう。
広さを考えるときには部屋の畳数ではなく家具と壁の距離、空間が重要です。

流行りや雰囲気、営業トークに流されず、自分たちの生活に寄り添う住まいを作るのが大事ですね。

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