こんにちは、松本、諏訪地域の工務店の福田です。
おうちを買おうと思って、住宅展示場などに行って話をすると、
「ご予算はどのくらいでお考えですか?」
ということを聞かれて困った人は多いんじゃないでしょうか?
家の金額は普通の買い物と違い、何千万円という単位になるので一般の人には分かりにくく、
正しい予算の考え方について分からないまま、雰囲気に流されて住宅を購入してしまうかたが多いのが実情です。
今回は、出来るだけ多くの方が、無理なく家を購入出来るよう、家の予算の正しい考え方について書いてみます。
重要なのは家を購入した後の支払い金額と貯金残高
まず、家の予算の正しい考え方の基本は、家の購入後の、貯金と、実際に毎月支払っていく金額を引いた生活費を考えることです。
最初の頭金を多く出しすぎてしまうと、貯金が少なくなり、家を購入した後の生活が不安になります。
また、借入額が大きくなりすぎると、月の支払額が大きくなり、やはり後の生活の不安が大きくなります。
購入時の金額をなんとなく考えるのではなく、購入後の生活の家計簿をイメージして、そこから無理のない資金計画を練っていくことが重要です。
「安ければ安い方が良い」
「せっかく家を建てるなら、CMやモデルハウスで見るような豪華でオシャレな家が良い」
どちらも事実ですが、漠然とではなく、具体的に安全な資金計画を練って、そこをベースに進めていくのが重要です。
「いくらくらいで建てられますか?」は聞いてはいけない!!
「僕たちと同じような年齢の家族の平均的な家だと、いくらくらいで建てられますか?」
モデルハウスでよくある会話ですが、この会話から家の金額を考え始めると、かなりの確率で予算組みに失敗します。
というのも、この会話だと、自分の希望の予算が分からないままに家づくりが何となく進んでしまうからです。
この会話の流れですと、
・本当にいろんな方がいますけど、収入などから銀行での借入可能な金額と合わせて考える方が多いですよ
・年収から銀行の借り入れ可能額を計算する(あるいは事前審査にいく)
・その借り入れ可能額をベースに、その住宅会社で建築可能な家の打ち合わせ、提案がある
・実際にいろんなことが進んでいったところで、月の支払い金額を教えてもらえて不安になる
「みなさん、このくらいの金額で建ててますよ」
「人生一度のものですから、妥協はしない方が良いですよ」
・せっかく打ち合わせも進めたし、かっこいい家だから、と少々無理をしてでも建てる
こう考えると分かるのですが、最初のやりとり、スタートが間違っているんですね。
そう、金額についてはお客様からは聞いてはいけないんですね。
金額、予算はお客様が指定するのが、成功する家の予算組みです。
一番、正しい聞き方は、
「月額○万円程度の支払いで土地、建物、その他のお金も含めて考えています。○人家族で、夫婦の寝室、子供部屋が二つが欲しいです。予算内でもし可能であれば、一階にフリーで使える部屋が一つあると助かります」
と、こちらの予算、希望の部屋数まで指定した上で打ち合わせをスタートすると失敗が少ないでしょう。
ですので、金額については、こちらであらかじめ決めておくというのがとても大事になります。
しかし、実際には、住宅の金額の適正な考え方、広さなどは一般の方が一人で考えるのは難しいですので、
安全な予算組を一緒にサポートしてくれる会社でアドバイスをもらいながら一緒に進めることが重要です。
月の返済額の目安の一つは25%?
まず、家にかけて良い金額の分かりやすい目安として、安全な返済額の目安は収入の25%以内だと言われています。
あくまで目安の数字ですので、手取りの20%以内の方が安心など諸説あります。
例えば、月の収入が30万円の人は25%ですと75,000円ですね。30万円の月給+ボーナス40万円で年収400万円と仮定しましょう。
月の支払い金額から逆算して、35年ローンの金額を算出します。
金利1%なら約2660万円ですね。
住宅ローンの月の支払額はインターネット上のローンシミュレーターや無料のスマホアプリなんかもありますので、簡単に計算できます。
シミュレーションするときの金利については、0.40%などの表示もありますが、実際には保証料などもかかりますので、最初の計算の段階では1.0%程度(記事執筆現在)で入力して目安にすると良いと思います。
※三井住友銀行以外の住宅ローンでも計算可能です
ボーナスはどう考える?25%より安いのはどうか?
さて、この借入額の計算の際に注意したいのがボーナスの金額です。ボーナスの金額も含めて計算するかどうかは、人によって考え方もありますが、ボーナスは不況の際に支払われなくなる可能性もあります。
原則としてボーナスは考慮せず、純粋な毎月の固定の収入で計算する方が安心しやすい金額になります。
またボーナス払いについても同様です。
ボーナスが出なくて払えなくなると困ります。
35年って本当に長いです。コロナのような大不況が来ることは誰にも予測できません。
安全ということを考えるのであれば、ボーナスは加味しない方が安全です。
ボーナスで支払って、返済を早く終わらせたい場合には、いつでも繰り上げ返済は出来ますので、最初の段階ではボーナス払いは設定しない方が安全でしょう。
借入額は収入の25%以内であれば安全と言う目安はありますが、25%より安いのはどうでしょう?
もちろん、安ければ安いほど安心です。
ただ、現実問題として、家は一生住むものですから、可能な限りは安過ぎるものには住みたくないと考える人の方が多いですので、25%程度という数字より遥かに安く購入する人は少ないのが実情です。
もちろん、安ければ安い方が助かるというのも事実ですので、オプションなどはまったく付けずにシンプルに作るのが良いという人もいます。
安ければ安い方が良い場合でも、実際に出しても問題ない最大の予算は自分の中できちんと把握しておくことが重要です。
25%より多くても銀行は貸してくれる?
どちらかというと悩む方が多いのは、25%をオーバーしてしまっても良いかということです。
25%をオーバーしていても、この後出てくるように今の家賃などと比較して無理がないと感じられる金額なら問題ない場合もあります。
また、年齢も考慮することが重要です。
特に20代などで、まだ収入がそんなに高くないものの、早く建てることで返済も早く終わらせられるメリットがあります。
逆に40代後半から家を建てる場合には、定年後もローンを払う可能性もあるので、単純に25%以内だから安心とは限りません。
老後にもローンの支払いの可能性がある場合は、退職金などと合わせて考える必要が出てきます。
「住宅ローンを借りると金利がかかるので、退職金が入るまで待ってから現金で買う」
という考え方もありますが、それまでのアパートの家賃などを考慮すると、住宅ローンを借りて建てておいて、退職金が入ったところで繰り上げ返済する方が金銭的には得な場合もあります。
実際には銀行の借入可能額は返済負担率30%ちょっとくらいまでは貸してくれる場合が多いです。
明確に返済負担率何割まで貸してくれるということは公表されていませんが、客観的に見ると、
「え、その金額のローンを組むのはまずいんじゃないか?」
というローンを組む人も中にはいるようです。
夫婦連帯債務、ペアローンは?
特に単独じゃ借入額が足りなくて、夫婦連帯債務(ペアローン)じゃないと借りられないほどの金額になる場合には注意が必要です。
子どもが産まれてしばらく子育てで奥さんは働けない期間もありますので、ペアローンの限界いっぱいまで借りるのは現実的じゃない場合もあります。
ただし、昔と違い、今は夫婦共働きの家庭の方が多く、将来的にも夫婦での収入が安定して見込める場合には問題ないこともあります。
家庭によってケースバイケースなので、慎重に検討することが重要です。
実際にペアローンを組んで家を購入する人は少なくありません。
ただ、ペアローンの買い入れ可能額の限界まで組むのはリスキーです。
イメージ的には、
これは最終的には人生全体の価値観になりますが、安全という意味では借り入れ可能額いっぱいまで借りるのはリスクを伴います。
人によってケースバイケースではありますが、無理をしてまでの住宅購入は本当に人生が悲惨になることがあります。
アパートの家賃をベースに考える
ここまで考えてきたように、25%という数字をベースに考えると、ボーナスを含めて良いか、夫婦の収入を合わせて考えて良いかといった問題が出て来ます。
さらに言えば、借入をする時の年齢などの問題も出て来ます。
これに対して、もっと簡単で分かりやすい安全な借入額の目安として、アパートの家賃をベースに考える方法もあります。
今のアパートの家賃以内であれば、実際にいま問題なく払えていますので、問題なく返していけるでしょう。
ただ、家を購入する前の人は、まだファミリーサイズじゃないアパートに住んでいる家庭も多いですので、その家賃で計算してしまうと、ファミリーサイズの家を建てられる金額にならない場合も多いです。
ですので、仮に子どもがもう少し大きくなって必要になるファミリーサイズのアパートの家賃も調べてみることをオススメします。
収入の25%の目安と合わせて、アパートの家賃を目安に考えていくと自分たちの安全な借入額が掴みやすいでしょう。
頭金、自己資金は多く出しすぎてはいけない
さて、借り入れする金額が分かったら、次は頭金、自己資金を考えます。
頭金、自己資金については、0円という方もいます。
特に昨今は住宅ローンの金利が安いですので、頭金を入れるメリットが少なくなっています。
ただ、現実問題として安全な借り入れ額の予算だけでは足りない場合には、頭金を出す場合もあります。
しかし、注意して欲しいのは、貯金を全て頭金で使ってはいけないということです。
では、いくらくらい残しておけば安全でしょう?
目安としては半年分の収入と言われています。例えばリストラなどにあっても半年あれば次の仕事を見付けられる可能性は高いです。
少なくても3ヶ月程度は確保しておきたいところです。
また、可能であれば、引越し費用、家具代なども取っておきたいところです。昨今は、引越しについては、自分たちでやって節約するという方も多いです。また家具については後から買えるので、最初は必要最低限にする方も多いですね。
ただ、カーテン、照明については最初から絶対に必要になりますし、意外と金額がかかります。
(エルハウスの場合、カーテン、照明についても標準装備で付いていますが、ほとんどの会社がカーテン、照明は別金額というところが多いと思いますので、きちんと予算取りしておくのが重要です)
きちんと必要なだけ手元の現金を残しておくということが大事です。
自己資金、頭金0円は危ない?
頭金をいくら払うかは土地の金額によるところが大きいです。
東京や大阪など都市部の場合ですと、土地の価格が高いので、残念ながら頭金0円は現実的ではありません。不可能ではありませんが、借入額が大きくなり、月の支払い金額がしんどくなってしまいます。
ただ、長野県の場合ですと、土地の価格はそんなに高くない地域も多いので、総額もそこまで大きい金額にならない場合も多いですので、自己資金、頭金0円という方も珍しくありません。
特に今は住宅ローンの金利も少なく、住宅ローン減税などもありますので、全額住宅ローンを組む方も今の時代では珍しくありません。
一昔前までは、住宅ローンの金利も高かったことと、銀行も貸し付け条件として家を建てるなら1割くらいは自己資金をお願いしますということも多かったです。
頭金に関しては出来るだけ払わず、手元の現金を残しておくという方法も、今のコロナの不景気の時代を安心して生きて行く方法の一つでしょう。
借り入れ額、手元のお金、どちらも重要ですので、じっくり考えて決めていくのが大事です。
まとめ。月の返済額、残りの貯金。家を建てた後のお金から逆算していく
家づくりの予算の考え方でした。
まとめますと、
・「いくらで建てられますか?」は聞いてはいけない。
・予算は自分たちの方から提示して、その金額の中で土地なども含めた必要な総額で家が建てられるように家づくりを計画していく
・借入額は月の支払い金額から逆算して出す
・頭金は残る預貯金額を考えて決める
というのが大事なポイントです。
そう、家づくりの予算は残りの人生を安心して生きていけるよう引き算して考えていくのがとても重要です。
こうして知ってしまえば、非常に当たり前のことのようですが、知らないとほとんどの人が、「いくらで建てられますか?」という間違えたスタートから家づくりを始めてしまいます。
借入額、手元に残すべき預貯金などについては、自分たちだけで考えるのが不安な場合には専門のFPさんに相談するのも一つの方法です。
借り入れ可能額基準で考えず、安心できる資金計画をしっかり作っていくことが重要でうs。