こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
家を建てようと思って勉強していくと、「大手ハウスメーカーは高くて、テレビCMなど宣伝費をかけない地域の工務店の方が安い」という情報が見つかりますよね。
「でも、本当なの?地域工務店の人が自分たちに有利になるように書いているんじゃないの?大手は大量仕入れするから安いんじゃないの?」
そう思う人もいますよね。
筆者の所属するエルハウスは地域工務店なので、そこの人間が書くと胡散臭いと思われるかもしれませんので、今回はハウスメーカーのメリットにも注目しながら、大手ハウスメーカーは本当に高いの? その理由は? 大手ハウスメーカーでメリットはないの? というお話をしていこうと思います。
大手ハウスメーカーが高いのは事実
まず、本当に大手ハウスメーカーが高いかということですが、やっぱり高いと思います。
「でも、高いから良いもの使ってるんでしょ?」
と思う人もいるかもしれません。
実際、標準装備についてはいくらか良いものを使っているところも多いです。
特に一条工務店などが顕著ですね。標準で全館床暖房などがあります。(ちなみに一条工務店は工務店という名前ですが、大手ハウスメーカーです)
逆に地域工務店などの安いところは、標準仕様については、あまり高価なものを選んでいません。お客様の必要に応じて、欲しいところだけアップグレードするという形にしているところが多いです。
(ただし、地域工務店でも自然素材を大事にして、最初から高価な材料を使うところもあります)
それでも、地域工務店でハウスメーカーの標準仕様と同等品を使うと、ハウスメーカーと同じくらいの値段になるかと言えば、そこまでの金額にはなりません。
そもそも、ハウスメーカーの標準仕様がいくらか良いものを使っているとは言っても、ほんの少し程度のものです。(全館床暖房などの例外はありますが)柱などの構造材については基本的に同じです。
大手ハウスメーカーが高い理由
大手ハウスメーカーが高い理由は単純にブランドです。
全国規模で知名度があって、テレビでもCMを見たことがあって、何となく安心、分かりやすいというのが大手ハウスメーカーの良いところです。しかし、逆をいえば、それこそがハウスメーカーの売る家が高い理由でもあります。
展示場とテレビCM
住宅展示場にモデルハウスがあるので分かりやすいというのは良いことなのですが、テレビCMってすごくお金がかかりますし、ハウスメーカーの作るモデルハウスは普通に購入すると一億円以上するものが普通です。さらに、そのモデルハウスを案内する人も雇います。全国転勤させたり、出張代など、大きな会社は会社を維持するだけでも、コストがかかります。
ユニクロとかみたいに大量生産しても
住宅じゃない業界の場合、そういった大きな会社を維持するコストよりも、大量生産、大量仕入れなどのメリットがあるので、大きい会社の方が利益を作れる構造になっています。
ユニクロやメガネのJINSなんかが分かりやすいですよね。
しかし、住宅業界は少し特殊です。
ものが大きいですので、運搬のコストもありますし、材料を大量生産すると言っても、結局最後は地元の大工さんに工事を依頼して建てることになるので、人件費って大量発注で安く出来る限度があります。なので、たくさん売ってもそこまでのコストダウンって難しいんですね。
もちろん、大量に仕入れる方がいくらかは安くなります。
ただ、服とかみたいにコンテナで海外から仕入れて、トラックいっぱいに同じ製品を積んでくるといったことが出来ないので、意外と安くならないんですね。
仮に、家も大量仕入れなどで安く出来るんだったら、ユニクロみたいな安さの全国規模のハウスメーカーが出てきても不思議じゃないですが、現実にはそういうところって出て来ないですよね。
やっぱり全国展開しているハウスメーカーはどこもそれなりに良い値段します。
ハウスメーカーのメリット。立派な家が建つ?
ハウスメーカーのメリットですが、基本的には立派な家が建ちます。
もちろん、値段は高いです。
特に外壁については、大手ハウスメーカーの家はタイルが多いです。
タイルは耐久性が非常に高く、外見の高級感もあります。
しかし、タイルはサイディングなどと比較してすごく値段が高いです。
地域工務店やローコストの会社でも、同じくらい立派な家を建てることはできますし、ハウスメーカーよりも安く建てることは可能です。
タイル張りももちろん可能です。
しかし、現実問題として、地域工務店、ローコスト系の会社を探して来る人の多くは予算を節約したいという目的が大きいです。
節約できるところは節約したい。人生設計がしっかりしている
節約したい人=貧乏な人ではありません。
実際、私が働いているエルハウスは価格はリーズナブルな地域工務店です、中にはすごく豪華な家を建てる人もいますし、かなり年収の高い一流企業の方で予算を抑えて家を建てる方もいらっしゃいます。
同じものを建てるなら、出来るだけ安く建てたい。特に家は人生でも大きな買い物で、金額の桁が違う。
家を節約して建てるという人は、人生設計がしっかりしている人だと私は感じます。
仮に全く同じ料理を出すお店が二軒すぐ近くにあったとします。味も素材も調理方法も同じです。片方は町の定食屋といった雰囲気の店で700円で食べられます。片方はすごく高級そうな店構えで、デートで行くのにぴったりという店で、こちらは1200円です。
繰り返しますが、料理は全く同じです。
あなたは、デートで行くならどっちに行きますか?会社の同僚と普段の昼ごはんを食べに行くならどっちに行きますか?
きっとこの答えは人それぞれでしょう。
ご飯の場合は、毎日食べますから、たまには豪華な店でも良いかなっていう日もありますよね。
家はどうでしょう。
毎月買い換えるものでしょうか?
そうなんです、家は人生に一回、多い人でもせいぜい3回までくらいしか買わないものですし、すごく大きい金額の買い物です。
100万円あったら何しますか?
500万円あったらどうでしょう?
100万円貯金を貯めるって大変ですよね。
家って金額が大きくなりますし、人生一度きりの買い物なので、ついつい高いものを買ってしまう、100万円差が大したことがないように思えてしまうことがあります。
でも、100万円って当たり前のはなしですが、結構大きい金額です。
家以外にも子育てや、趣味、月に一度のちょっと素敵な外食、年に一度の旅行。
人生っていろいろお金がかかります。
ハウスメーカーの方が潰れる心配が少ない?
大手ハウスメーカーのメリットに、つぶれる心配が少ないということもよく言われます。
確かに、地域の小さい工務店だとつぶれる可能性っていうのはあります。
国内最大手の積水が潰れることはなかなかないでしょう。
そうは言っても、昨今は大企業も倒産、合併する時代です。全国規模のハウスメーカーだったエス・バイ・エルがヤマダ電機に吸収合併されてヤマダホームズになったりということもありました。
なので、大手だから絶対に潰れないという保証はありません。
ただ、確かに中小企業の方が潰れる可能性は高いのは事実です。
そして、会社自体が潰れる潰れないの問題もありますが、大きい会社の場合、その地域から撤退するというリスクも出てきます。
さらにいえば、家を建てる時に担当してくれた営業マンが数年で転勤してしまって、アフターメンテナンスの相談がしにくくなるということもよくある話です。
地域工務店が潰れる可能性と違い、大手ハウスメーカーの担当営業が転勤になる確率はものすごく高いです。
そういう点では、地域の工務店ですと、仮に営業さんが転職などの理由でいなくなったとしても、現場監督やコーディネイターなど、家づくりの時に関わったメンバーが誰かしら会社にいるはずです。実際、私の勤務するエルハウスでも社員は全員で10人ちょっとなので、お施主様の名前を言っただけでメンバーの多くが、「ああ、あの家を建てた〇〇さんですか」と分かります。もちろん、過去にさかのぼるとかなりの数のお客様がいるので、全員の顔と名前と家をすべて覚えているのは難しいですが、地域工務店のメリットは社員全員がチームとしてお客様の家を作っているという点でしょう。
大手ですと分業が明確なので、担当営業さん以外はお客様のことが全く分からないというのも普通です。
そういう問題を考えると、大手は潰れにくいから絶対に良いとも言い難いです。
潰れるかもしれないという心配については、未来のことなので断言はできませんが、もし仮に建築した会社がつぶれたとしても、住宅の保証である住宅瑕疵保険は有効ですし、図面と仕様書などさえ一式きちんと残っていれば、修理などは近所の工務店に頼むことも可能です。
給湯器などの住宅設備については、設備メーカーに問い合わせれば、近くのメンテナンスをしている業者を紹介してもらえますし、外壁の塗装などは別にどこの塗装屋さんでもしてもらえます。
逆に大手ハウスメーカーの自社オリジナル製品などは、会社が潰れたり吸収合併された時には修理の部品で問題になることもあります。
もちろん、潰れないのが一番ですが、大企業でも倒産するような時代です。この問題は難しい問題でしょう。
お客様目線で、「この会社は良い会社だ、いい仕事をしているから潰れることはないだろう」と思えるような会社を選ぶことは大事です。
ハウスメーカーで建てる家みたいに建てるコツ
「ローコスト住宅は外見なんかがローコストっぽい」
そう言われることもありますが、ローコストで建てても高級感ある雰囲気にする方法はいくつかあります。
まず、予算を節約したくてローコスト系の住宅会社にしたからと言って、全て標準装備だけにすると、やはり見た目が安っぽくなることもあります。いくらかはオプションでプラス出来る枠を自分たちであらかじめ決めておくと良いですね。
また、オプションなどをこだわっても、ポイントを押さえていないと、見た目が安っぽく見えることもあります。
外見の高級感は外構工事
外からの見た目を良くする一番の方法は、外構工事です。外溝とは庭や門、塀、駐車場のコンクリートなどですね。
外構がきちんとしていると、家は高そうに見えます。
外壁をタイルにするなども高級感は出ますが、タイルも値段が高いと分かっていれば高級感ですが、知らない人から見れば、アパートみたいな外見にも見えます。その他の外壁材についてもそうですね。人によって好みがあるので、値段の高いものを使えば、見た目の雰囲気が必ず良くなるとは限りません。
それに対して庭がきちんとしていると、家は高そうに見えます。
特に外溝は予算を削る時に一番に削られるポイントです。
何せ家の中の生活にはあまり関係ないですので。
ただ、一番外観に影響するポイントですので、外溝は少し頑張っても良いポイントでしょう。
部分的にエコカラットなどのアクセントタイルを使う
内装については、ワンポイントでリクシルのエコカラットのようなタイルなどをアクセントで使うと高級感が出ます。
例えばテレビを置くところの後ろだけ、アクセントタイルを使うといった具合ですね。
玄関から入って最初の壁に使うのも効果的です。
アイランドキッチンと吹き抜けと天井の高さ
また、一番、高級感が出る内観としては、フルフラットのアイランドキッチンでしょうね。アイランドは広さが必要になるので、片側だけ壁に付けたペニンシュラなども良いでしょう。
キッチンの奥まで視界が届くので、奥行きのある空間が感じられ、とても高級感を感じられます。
ポイントは空間の奥行、広さを感じられるようにオプションを入れると、高級感が出るということです。
天井を板張りにするのも高級感が出るポイントです。自然素材を使うことで、温かみと高級感が演出できます。
ただ、板張りだけですと、天井の色が重くなって、空間を圧迫するように感じる人もいます。天井の高さを標準より少し上げて、空間が広く見えるようにするのも良いですね。
吹き抜けもそうですね。空間の広さを感じられると、高級感が出ます。
無垢フローリングについては、昨今の標準の集成フローリングでもかなり見た目がきれいになっているので、意外と値段の割に見た目は変わらないこともあります。ただ、木の香りと足の裏の感触の気持ちよさがあります。
壁紙を普通のビニールクロスではなく布や和紙などのクロスを使うのも良いですね。
ポイントとしては値段を抑えるため普通のビニールクロスのまま色を変えると、意外と安っぽくなることがあります。素材自体を変えると、随分雰囲気が変わります。
ポイントを絞ってオプションを入れる
ただ、全てやろうと思うと、非常にお金がかかります。
アイランドキッチンなどは、家自体を大きくしないといけなくなることもあります。
やはり外からの見た目は外溝が一番です。
あとはリビングの天井を板張りくらいまですると、お客さんが来た時に高級感のある家になるでしょう。ただ、外溝は結構お金がかかるポイントです。
オプションにかけても良い金額を先に伝えてから、家の広さを決めていくと、きちんと外溝までお金を残しておけます。
ハウスメーカーだと外溝などは当たり前のようにプラスになる
全てのハウスメーカーがそうではありませんが、大手ハウスメーカーですと、外構工事などは当たり前のようにプラスになります。
やっぱり外溝ってやった方が、家の雰囲気は良くなりますから、住宅を作るものとしてオススメしたいポイントでもあります。
それでも、後からやっても良いポイントです。
ハウスメーカーによっては、住宅本体の価格設定を高くすることで、外構工事も含ませるように金額設定をするところもあります。
(もちろん、全てのハウスメーカーがそうではありません。ただ、金額の内訳って、お客様からは見えないところです。「100万円値引きします」といってくれるような住宅会社もありますが、本当に値引きなのか、元々、値引きできるように金額を高めに設定しているかって分かりません)
外構工事をきちんとしているというのが、ハウスメーカーの家が高そうに見える理由の一つでもあるんですね。
まとめ。ハウスメーカーはブランドと安心感があるので高い。
地域工務店の人間がこうして書くと、ハウスメーカーの悪口のようになってしまいましたが。
服などと同じで、ブランド物が好きな人は好きです。途中でご飯の例も出しましたが、デートの時には良い店でご飯を食べたいですよね。
なので、最後は個人の好みです。
ただ、イメージとしては、大手ハウスメーカーはデートで使う高級レストラン、地域工務店は近所の美味しくて安い居酒屋さんといったイメージでしょうか。
ただ、料理屋さんと違うのは、コックさんの腕ですね。つまり大工さんについては同じ、あるいは地域工務店の方が、昔からの付き合いのある信頼できる大工さんという場合もあります。
実際には、大手ハウスメーカー、地域工務店、ローコスト系のパワービルダー、それぞれに見積をお願いしてみると良いですね。
価格と間取りなどをじっくり見比べて、100万円、いえ、50万円って本当に小さい金額なのか、じっくり考えて決めるのが良いですね。