ハウスメーカーと工務店の違いって何?

住宅

こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
住宅会社って、ハウスメーカーとか工務店とかいろんな呼び方があるみたいだけど、何が違うの?」と感じる人も多いですよね。
呼び方が違うだけかと思いきや、値段なんかも全然違うのでびっくりしますよね。
今回は、ハウスメーカーと工務店の違いについて書いていこうと思います。

ハウスメーカーと工務店の違いって何?

ハウスメーカーと工務店の1番の違いは値段?

工務店とハウスメーカーの違いについてですが、
あくまでザックリしたイメージではありますが、
ハウスメーカー=大手=全国展開していて、モデルハウスなんかもあるし、テレビCMなんかもしていて、中間マージンは高い
工務店=地域の小さいところ=宣伝とかをあまりしていないので分かりにくいけれど、中間マージンなんかは少ない
というイメージです。

実のところ、ハウスメーカーと工務店の違いって明確には決まってはいません。
例えば一条工務店などは工務店とは言いますが、実際には金額やシステムなどは工務店というよりはハウスメーカーに近いですね。
そして、紛らわしいのですが、最近はある程度大手だけど経費削減して低価格で家を建てるパワービルダーなどと呼ばれるタイプの会社も出てきました。

昨今、よく聞くローコスト住宅というのは、ハウスメーカーと比較して非常に低価格で建てられる工務店やパワービルダーなんかのことを言う言葉ですね。
筆者の所属するエルハウスも地域の工務店、大手ハウスメーカーよりも安く家を建てられるタイプの住宅会社です。

ハウスメーカーの家と工務店の家の違い

さて、工務店などで建てるローコストと呼ばれる住宅ハウスメーカーで建てる家は金額がそんなに違うのに、一体何がそんなに違うのでしょうか。

これ、住宅業界の不思議なところなのですが、値段は何百万円という単位で違うのに、製品はあまり違いがないんです。

まず、実際に作業する大工さんなどの職人さんたちですが、基本的にはハウスメーカーでも地域の工務店でも、実際に家を建てる地域にいる大工さんにお願いします。
大工さんによって、「あそこの会社からよく仕事をもらう」などはありますが、仕事の受注のタイミングや縁によっては普段とは違う会社から仕事をもらうということもありますので、普段は地域工務店で作業してくれている職人さんが、大手ハウスメーカーの仕事をすることもあります。
基本的には大手だから腕が良い大工さんっていうことはないです。

ただ、逆にあまりに安くて大工さんの給料をケチる住宅会社は、大工さんのヤル気も低いですし、腕が良くないけど安く仕事してくれる大工さんを使うということもありますので、注意が必要です。
ここは、分かりにくいポイントですが、「実際に工事している現場を見せて下さい」と頼んでみると良いでしょう。
大工さんに自信のある会社は「是非、見て下さい」と言うでしょうし、大工さんに自信がない会社はアレコレ理由を付けて隠そうとするかもしれません。

使っている材料なんかは違うの?

大手ハウスメーカーと地域工務店で、使っている材料がそんなに差があるかと言うと、やはりこれも同じようなものです。

ただし、工法については、工務店は軸組在来工法という日本の昔ながらの作り方です。ハウスメーカーも軸組在来工法で建てるところもありますが、枠組壁工法2×4ツーバイフォーなどが有名ですね)を使うところも多いです。
ざっくり言うと、柱と梁という骨組みで家の構造を支えるのが軸組、耐力壁という板で家の構造を支えるのが枠組ですね。
性能などについては、どちらが良いという明確な基準はないです。それぞれに特徴があり、一長一短あります。
ただ、大工さんの技術が求められるのは軸組在来工法ですね。
ツーバイフォーは工場で家の壁、パネルをある程度作った状態で出荷して、現地では本当に組み立てだけという形なので、品質が安定しやすいというメリットはあります。
ツーバイフォーは工場である程度まで作るという性質上、大量生産をかけると有利な工法ですので、大手メーカーの方が得意で、地域の工務店が使うには不向きなんですね。

ハウスメーカー以外の家の価格の相場を知っているかどうか

ハウスメーカーで建てる人は、
「へー、家の相場ってそんなもんなんだ」
と言って、ハウスメーカーのオススメされるままに材料なども選んでいく人が多いです。またハウスメーカーの場合、選べる仕様が限られていることもありますので、外壁はタイル貼りなど、高額なものを高額だと知らないまま、オススメされるままに使っていく人も多いですね。
(タイルは外壁としては高額なんですね。耐久性が強いなどメリットもありますが、高級な部類に入る外壁材です)

ローコスト系の工務店で家を建てたいというお客様は予算を絞りたいという要望でいらっしゃる方が多いです。一般的にローコスト系の会社は標準仕様ではコストパフォーマンスの良い、一番、オススメしやすいものになっていますので、外壁でタイル貼りなど高額なものを選ぶ方は多くはないですね。
そうは言っても、昨今は、ローコスト系の家でもタイルを選ぶ人もいます。
インターネットの普及でただ安く建てたいではなく、「同じ値段を出すなら、工務店で建てた方が立派で豪華な家が建てられる!!」ということを知っている人も多いんですね。

それでも、やはりローコスト系の会社では、予算を抑えて建てたいという方が多数派です。

実際、私の勤める工務店では建物価格が2000万円を超えると、
「結構こだわってるな」
「大きめの家だな」
という感覚です。
多くのお客様が2000万円以内で家を建てていますね。

ハウスメーカーだと3000万円オーバーも普通です。
先ほど出てきたように外壁をタイルにしたり、価格の高い材料を使う場合が多いです。また延べ床面積も大きいですね。
ハウスメーカーの営業さんが上手に売り込むということもありますが、単純に家の相場を知らないままに買うという人が多いんですね。

YouTubeで見られる家づくり勉強会

もちろん、工務店でも、ハイグレードのオプションも選べますし、大きな家を建てることも出来ます。
そして、中間マージン広告費が安い分、ハウスメーカーより安く建てられる場合が多いです。
会社によって価格も違うので、明確な金額を出すのも難しいですが、全く同じグレードで家を建てても500万円以上の差が付く場合が多いですね。場合によっては1000万円近く安くなることもありますね。

ハウスメーカーは分かりやすいけど

どうして1000万円以上高い金額を出してしまうのでしょうか。
地域の工務店を見付けるのって難しいんですね。
実際、私の弟が家を買った時は、何も分からないまま大手メーカーの建て売り物件を買いました。買った後になってから話を聞いたので、後の祭りではありましたが。後で弟にはこっそり弟の住んでいる町の工務店を調べてみたのですが、住宅ライターなのに、正直、すぐには分かりませんでした。(笑)
もちろん、私自身が住んでいる長野県のハウスメーカー、工務店についてはだいたい分かるのですが、別の県となると、なかなか分からないものです。
もちろん、もう少しインターネットで調べて、直接電話をすれば分かるのですが、ちょっとインターネットだけで調べるくらいでは、なかなか分からないんですね。

それに対して、ハウスメーカーはモデルハウスを持っています。
例えば長野県の諏訪地域なら諏訪インターの近くの諏訪ステーションパークの中にある住宅公園があります。誰でもすぐ分かるような場所で大手メーカーのモデルハウスが軒を並べています。松本、長野にも似たような住宅公園がありますね。
場所も分かりやすいですし、予約なしで行っても大丈夫です。十社以上の有名メーカーの家が一度に見られます。
実際には、一軒入ると30分以上、中で接客してもらえるので、1日で全部回るのは大変です。

そうなんです。5軒も入ると、こんな会話になるんです。
「いっぱい回ったな。どこも2500万円〜4000万円か」
「あそこのメーカーは木がいっぱい使ってたわね」
「でも、あそこは高かったね。でも、確かにあの家は雰囲気が良かったね」
「あそこは安かったわね3000万円かからずに建てられそうね」
特にお子様の面倒を見ながら5軒もまわるとクタクタですね。
「地域の工務店って安いらしいわよ。探してみる?」
「いや、安かろう、悪かろうだろ。今日まわったところで、そんなに安いところもなかったし、やっぱり安過ぎる家は心配だよ」
という話の流れになるんですね。

でも、冷静に考えると分かるのですが、日本全国にある住宅公園などの立派なモデルハウスの建設費、維持費というのは、家を買う人のお金から出ているんですね。
分かりやすいのは良いのですが、ハウスメーカーのデメリットはそこですね。

地域の工務店の探し方

さて、地域の工務店がうまく見付けられたら、安く良い家が建てられることはわかりましたが、どう探せば良いのでしょうか。
基本はインターネットで検索して、電話してみると良いですね。
「4人家族で35坪くらいの家を建てたいのですが、諸費用込みで2000万円以内で建てられますか?」
と聞いてみると良いでしょう。
「お問い合わせありがとうございます。どういったオプションになるか次第ですけど、2000万円以内で建てている方が多いですよ。時々、こだわり次第では2000万円を越える方もいらっしゃいますが、良ければ一度、お話伺わせてもらえませんか?」
となれば、安く良い家を建てられる工務店の可能性があります。
何だったら、
「土地込みで2000万円以内で四人家族で住む家は建てられますか?」
と質問してみても良いですね。土地の金額次第ですが、地域の工務店の場合、決して不可能ではありません。

工務店探しの難しさは、小さい下請け専門の会社もあるということです。ただ、昨今はインターネットを見れば、そこまで小さい会社じゃないということは分かりますね。
どちらかというと昨今は一条工務店のようにハウスメーカーの規模なのに『工務店』という名前なので、さらに分かりにくくなっているんですね。一条ハウスなどと名前を変えてくれると工務店としては助かるんですけどね(笑)
とにかく工務店という言葉のくくりが広すぎて分かりにくいんですね。

また住宅業界の分かりにくいポイントとして、金額をはっきり書かないということがあります。
特に注文住宅はオプションや建てる土地などで金額が随分と変わりますので分かりにくいんです。
また、金額というのが、家の本体費用というのが電気やカーテンまで標準仕様で入る会社もあれば、そうじゃない会社もあるなど、非常に分かりにくいんですね。

地域の工務店とパワービルダーの違い

さて、工務店、ハウスメーカーの違いについてはわかってもらえたと思います。
これに対して、パワービルダーはちょうど中間どころだと思ってもらって良いですね。

工務店の安さと、ハウスメーカーの分かりやすさの中間を取ったような形です。
工務店が安いのはとにかく中間マージンが少ないからです。
ハウスメーカーが分かりやすいのは、全国展開している知名度とモデルハウスの多さからです。

パワービルダーと一口に言っても、やはり言葉の定義が広いのですが。
一般的には工務店が2000万円以内、ハウスメーカーが2000万円台後半から。ここの中間の価格帯を埋めるようなところが多いですね。
ハウスメーカーほど派手にたくさんモデルハウスは展開しませんが、最低限はモデルハウスを持っているというところが多いですね。
また、完全なモデルハウスじゃなく、家の一部を再現しているショールームなどを持っている場合が多いです。
中間マージンを削減しながらも、ある程度の地域で展開して、最低限の広告をすることで、ハウスメーカーと工務店の良いとこ取りをしているというイメージですね。

地域の工務店は後の修理も相談しやすい

地域の工務店のメリットとして、全国転勤がないことです。
これ、働く側にももちろんメリットですが、お客さんとしても、家のメンテナンスで電話しても、
「すみません、担当営業だったふくだは、先月から北海道に転勤になってしまいましたので、私が引き継がせて頂きます」
ということが数年おきにあると困りますよね。

家の修理、リフォームについてはリフォーム専門店にお願いしたり、電話帳で近所の大工さんを探してお願いすることも出来ます。
図面があっても、会社によって施工方法が違うこともありますので、やはり作ったところで修理する方が間違いないです。
特に昨今は断熱が会社によって違います。
私の所属しているエルハウスでも高気密高断熱のエコ住宅という上位ラインナップと、通常の断熱のノーマルグレードのコミコミ住宅というものがありますが、コンセント周りの配線一つでも、高気密の場合は必ず気密をしっかり取るようにしないといけません。実際はコンセント部分の配線一つだけで大きく断熱性が落ちることはないのですが、チリも積もればというものです。やはり、実際に設計して、建築したところにお願いするのが一番です。

まとめ。安く良い家を建てたい場合は、必ず地域の工務店に一度は相談してみる

ハウスメーカーと地域の工務店の違いについてでした。
地域の工務店は探しにくい、分かりにくいというのがネックでしたが、安く家を建てられます。
安く家を建てられるということは、逆を言えば、同じ値段を出せば、より良い材料を使って家を作れる可能性があります。
ハウスメーカーはとにかく知名度があって、何となく心理的に安心感はあります。安心感のためなら数百万円なら安いと感じる人もいますし、実際に建つ家はそんなに変わらないなら安い方が良いに決まっているという人もいます。
また、ハウスメーカーも工務店も最後は担当の営業さんとウマが合うかって大事です。
自分の要望をきちんと聞いてくれて、理想の家を建てられるそうだと感じる営業マンが理想的ですね。
どんなに安くても、営業マンと気が合わない時には別の会社にする、或いは営業担当を変えてもらうことも大事です。

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