こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
今回はZeh(ゼッチ)や太陽光の話です。Zehとはネットゼロエネルギーハウスのことですね。省エネ+太陽光発電などで、エネルギーがプラスマイナスゼロになるというものですね。
ただ、そんなZehですが、建てる時は高いです。
電気代で得する分とどっちが得なの? 損にならないの? そんなお話です。
Zeh(ゼッチ)って何?
まず、そもそもにZeh(ゼッチ)って何?って話からですね。
ゼッチとは簡単に言うと、最初にも書いたように、省エネ+太陽光などの発電で使うエネルギーがプラスマイナスゼロになるという住宅のことを言います。
Net Zero Energy houseですね。Netとはお菓子なんかの裏にも書いていますが、内容量とかトータルの量とかそういう意味です。使うエネルギーと作るエネルギーがトントンになれば良いわけです。
ゼッチに必要な断熱性。強化外皮基準。
Zeh(ゼッチ)に必要な性能で重要なのが断熱性能ですね。
家の外側のことを外皮などと言いますが、熱がどのくらい抜けるかを熱貫流率と言います。
要は魔法瓶のように熱が出入りしにくいように家を作りましょうということです。
住宅の断熱性能はUa値という数字を目安に見ます。Ua値は小さいほど断熱性が高いです。
ZehではUa値に基準があります。寒い地域の方が基準が厳しくなっています。地域ごとに基準値が決まっています。
私たちの住む長野県ではUa値のZeh基準は、4地域=0.6、3地域=0.5となっています。3地域は軽井沢や原村、茅野市など標高が高く寒い地域です。4地域は松本市など、長野県の一般的なエリアは4地域です。
日本全国でいうと3地域というと東北などかなり寒い地域ですので、やはり長野県の寒さは日本国内でもかなり寒い方だと言えます。北海道などは1地域、2地域になりますね。
ちなみに私の所属するエルハウスの家はノーマルのラインナップがUa値0.56、高断熱のエコ住宅というラインナップで0.43となっていますので、Ua値についてはZeh基準をクリアできるようになっています。
Ua値のクリアは結構難しく、各住宅メーカーが工夫をこらしているポイントですね。
ηA値は平均日射取得率。気密性も重要
その他にも家の暖かさで重要なのがηA値ですね。これは平均日射取得率というもので、太陽の光を取り入れられるかの数値です。
また、気密性(C値)も大事です。いかに断熱性が高い素材で家を作っても、隙間風が入ると寒いですからね。
消費エネルギーが基準値より20%以上省エネ
消費するエネルギーも減らさないとZehにはなりません。
主に給湯器が住宅のエネルギー消費の一番大きい部分を占めるものです。
これが基準値よりも20%以上省エネじゃないとZeh基準を通りません。
具体的に言えば、エコキュートですね。ヒートポンプにより少ない電力でお湯を作れる給湯器です。
他にもLED照明など、省エネな設備が求められます。
再生可能エネルギーを導入していること
Zeh基準として、再生可能エネルギーを導入していることも必要です。
一番分かりやすいものですと、太陽光発電ですね。
エネルギーの使用量と生産量が0以下
エネルギー消費量がトータルでゼロになるのがZeh(ゼッチ)ですので、これも基準になります。
Zeh(ゼッチ) のデメリット。初期費用が高い
Zeh(ゼッチ)のデメリットは最初の初期費用がかかるということです。
例えば、エルハウスの場合、ノーマルのラインナップと高断熱のエコ住宅ですと、約200〜300万円の差になります。結構な良い金額ですよね。
そのくらい断熱性能を高めるのは、材料代も、大工さんの作業も増えることなんです。
ちなみにエルハウスは現在、ゼッチは作っていません。というのも、Ua値はクリアしているので、あとは太陽光さえ乗せればZeh相当になります。Zehクラスのエコ性能を欲しいお客様はオプションでソーラーを乗せてもらえば、実質的にはZehと同等になると考えていますので、Zeh専用のラインナップは作っていません。(今後、需要が増えれば作るかもしれませんが)
太陽光発電は発電容量にもよりますが、100〜200万円程度です。
トータルすると300〜500万円の差額になります。
Zehや太陽光は得なの?損なの?
結論から言いますと、会社によって違います。何と比較して得するか、損するかという問題になります。
それでも、結論からいうと、高断熱住宅も太陽光も損にならないよう試算して作りますので、Zehは損にならないと考えて良いでしょう。
まず太陽光からですが、一般的に10〜15年程度で初期投資費用を回収できるように設置するのが一般的です。エルハウスでは9年で初期投資を回収出来るのを目指して提案しています。
太陽光については、これから先売電価格が下がって来ることが予測されますが、一般的には10〜15年でコスト回収できると考えて良いでしょう。
断熱性能についてですが、これは会社によって違います。
Ua値だけあげても気密性のC値が低いと効果が少ないです。
また、暖房器具を何を使うかにもよります。
一般的に暖房器具はエアコンが一番ランニングコストが安いとされています。薪ストーブなどは高いですね。意外と薪って高いですからね。
エルハウスでは高断熱のエコ住宅は年間10万円以上光熱費を削減できるように作っています。あくまで試算の上での数字ですので、どのように電気を使うか、家庭によっても違うのでばらつきはありますが、35年ローンが終わるまでには初期費用は回収出来るように作っています。
住宅会社によっても損か、得か分かれる
完全にZehにする場合、HEMSという電力管理システムも付ける場合が多いので、もう少しプラスになってきます。
また、エルハウスは地域工務店なので比較的コストを抑えて家を作るのが得意な会社ですので、高断熱、ソーラーを搭載しても得になるように作っていますが、他の住宅メーカーではどうかというところは断言できません。
特にソーラーを目一杯乗せることを勧めたり、蓄電池を無闇に勧めてくる会社はどうかなと思います。
ソーラーは日射条件によっても変わります。また、これから先、売電価格が下がることも予想されます。
蓄電池については、今の金額と、耐用年数では大きく黒字になるとは考えにくいです。
なので、あまりにもそういったオプションを勧める会社については、得か損かはよく見極めないといけません。
30年先の電気代は分からない
また、省エネ住宅を考える上で大事なことは、将来の電気代のことを考えることも重要です。
というのも、今の日本は原子力発電の問題を解決出来ていません。資源の少ない国ですので、原子力発電のエネルギーはかなり重要なものでしたが、福島の事故が起きてしまっては、日本が原子力発電に積極的になれる日は来ないでしょう。筆者個人としては原子力についてはやめていかないといけないと考えています。人によって意見は分かれるところでしょうが、安全に管理できる発電方法で作れる範囲の電気で生活していかないと地球が壊れてしまいます。
電気が貴重になれば、電気代は高くなっていきます。
そう考えると、省エネ住宅は長い目で見れば、今の試算以上に得できる可能性もあります。
実際、ヨーロッパでは、省エネ住宅はずっと進んでいますし、古い家を省エネ住宅にするリフォームも多いそうです。
日本でもいずれ省エネ住宅が普通になり、そうじゃない家を省エネ住宅にするためのリフォームっていうのは増えて来るかもしれません。
まとめ。金銭的メリットもだけど
Zehは得なのか? 損なのか?という話でした。
基本的には、長期的に考えれば損しないということで良いでしょう。
初期投資が増える分、月々の住宅ローンの支払いは増えますが、電気代がその分減るのでトントンくらいにはなると考えて良いと思います。
住宅会社によって違うので断言するのは難しいところですが。
大きく得するかは微妙なところですが、損しないのであれば、地球に優しい家に住む方が、地球に生きる生物として良いことじゃないでしょうか。
Zehなどの省エネ住宅については、金銭的メリットだけではなく、無理せず環境に優しいことが出来るというのが魅力ですね。