こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
「中古住宅ってすごく安いし、住んでみて自分たちでDIYで修理しながら、どうしても駄目ならリフォームすれば、お得に家が手に入るんじゃないの?!」
友人からそんな質問をもらいました。
確かに、昨今は空き家問題もありますし、自由にDIYできる家って楽しいですよね。
私も個人的に遊び用にそんな家があると良いなとは思います。
でも、実際のところ、中古住宅を買ってリフォームをする価格相場ってどのくらいなの?っていうところが問題ですよね。
新築を買うより高くなってしまうと悲しいですからね。
今回は中古住宅を買ってリフォームする価格相場なんかの話をしていこうと思います。
中古住宅の価格相場ってどのくらい?
まずは気になる中古住宅の価格相場ですよね。
そうは言っても、地域によっても、築年数によっても随分と価格相場が違います。
ただ、あくまで目安ではありますが、築10年で半額、15年で2割、20を越えるとほぼゼロ、30年を越えると土地のみの価格、あるいはそこから取り壊し費用を差し引いた金額(つまり建物は取り壊し前提のマイナス要素)と、ものすごく下がっていきます。
そうは言っても、新築時の価格というのが、当時3000万円という相場でも、現在はローコストで建てられる住宅会社も増えましたので、何を基準に半額かというのが難しいところではあります。
例えばですが、大手ハウスメーカーの新築時3000万円の家が中古で2000万円か、ローコスト系の新築で2000万円で建てるかとなると、これは新築の方が良いかもしれませんね。
また、今の家ってすごく性能が良くなっています。冬でも暖かいのに電気代もかからないなど、本当に進化していますので、中古の住宅の場合はそういうデメリットは理解しとかないといけません。
また、外壁の塗り替えなどをしているか、給湯器やエアコンなどの設備を交換しているかどうかの問題もありますので、一概には言えません。
ただ、10年建てば半額程度というのは知っていると目安になると思います。
ただし、あくまで目安です。
中古住宅の寿命はどのくらい?
さて、いかに安く買えたと言っても、問題は寿命です。築25年の家を土地代だけで買えたとしても、3年後には住めなくなってしまったら勿体無いです。
後ほど、リフォームの相場についても書いていきますが、住めなくなったというほど傷んでいる家のリフォームは新築より高くかかる場合も多いですので、すぐにダメになってしまうと逆に損です。
木造住宅の寿命は30年〜80年と言われています。
随分と幅がありますが、30年というのは本当に家の構造的な寿命というわけじゃなく、早く建て替える人もいるので、それも含めての数字でしょう。
逆に80年というのはかなり丁寧にメンテナンスしていないと難しいですね。
メンテナンスさえすれば木造住宅もかなり長く住めるということでもあります。
実際、世界遺産の白川郷の家は築300年とも言われています。
合掌造りの特徴である茅葺き屋根は30年周期で葺き替えます。2000万円近くかかるそうです。
昔は、毎年、茅を刈って屋根裏に溜め込み、葺き替えの時にはそれを使って村人同士で協力してやるという形だったので、実質ゼロ円で出来たと言われています。
また、家の中で囲炉裏で火を起こすことで、屋根裏や梁に煤が付き、それが木を保護していたとも言われます。なので、昔は葺き替えの周期はもっと長かったそうです。
昔の人は、自然を上手く利用して、本当に合理的に賢く生きていたなと感心させられます。
中古住宅のリフォームの価格相場
白川郷の話で茅葺の屋根を葺き替えるには、ちょっとした新築を建てるのと同じくらいの費用がかかってしまうという話も出ましたが。
中古住宅を買ってリフォームしようにも、新築よりかかってしまうということも多いです。
仮に25坪程度の家の場合ですと、リフォームの価格相場はこんな感じです。
・築10年程度ですと、水回りの設備の一部を修理、交換するということで100万円前後くらいです。まだまだ全体的にはきれいで、リフォームの必要性はない場合もありますね。
・20年経つと水まわりがかなり老朽化してきて、全面的に交換しないといけない場合もあります。また、壁紙もくたびれているのが目立ってきますね。屋根や外壁の塗り替えも必要になります。全部やろうと思うと500万円ほどかかります。
・30年経ちますと、給水や排水の管が老朽化してきて交換が必要になります。内装もボロボロという感じになってきますね。こうなると、内側を全てはがしてのスケルトンリフォームが必要になることも。こうなると1000万円コースですね。
・40年になりますと、内側だけじゃなく、外の外壁もはがしてのスケルトンリフォームになりますので、1500万円を越えてくるわけです。こうなると、建て替えの方が得かもしれません。
ただ、実際には何を交換するかなど、実にケースバイケースですので、あくまで目安にして下さい。
スケルトンリフォームって何?
スケルトンリフォームという言葉が出てきて、「何それ?」と思った人もいるでしょう。
言葉で想像出来るかもしれませんが、骨組みにまでしてリフォームするというイメージですね。
内部のみのスケルトンリフォームの場合は、外壁ははがさないで内側だけ全てはがしてリフォームしていきます。
外側をはがさなくても、配管の交換などはもちろん、柱の補強での耐震工事、断熱材を壁の中に入れることで暖かい家にしたりも出来ます。また、壁の位置を変えて間取りを変えることも可能です。
また、外壁を塗り替えれば、一見、本当に新築みたいに見えます。某住宅会社の商品名じゃないですが、本当に新築そっくりになります。
内部も外部も全てスケルトンリフォームと言いますと、外壁も外します。これぞスケルトンリフォームっていう感じですね。新築の家を建てるよりも作業的には大変になりますので、価格も新築を建てるのに近いか、それより高くなることもあります。
中古住宅をスケルトンリフォームすると新築になる?デメリットは?
「じゃあ、中古住宅を土地代だけで買って、いざとなればスケルトンリフォームすれば良いんじゃない?」
と思う人もいますよね。
残念ながらスケルトンリフォームにはデメリットもあります。
まず、金銭的なデメリットです。
スケルトンリフォームで、柱や土台などを全て新品に変えようと思うと、新築より高くなります。
というのも、家を壊さずに柱を交換するって、ものすごく大変なんですね。
土台の交換なんか、特にそうですね。
また、今の大工さんには出来ないような昔の技術というのもあります。特に昨今は木材のカットなどは工場である程度してから出荷してしまいますし、今は耐震のために金具を使いますが、昔は本当に木と木の組み合わせだけで家を作っていましたので、難しい技術があるんですね。
また、地震対策のためにとても重要な地盤改良が出来ないということも大きなデメリットです。
今の住宅は必ず地盤調査をして、必要であれば地盤改良を行うのですが、昔の家はそうではありません。さすがに地盤改良は上に家がある状態では出来ません。
中古住宅を買ってリフォーム、建て替えするメリット
なので、中古住宅の購入で得するにはテクニックが必要です。
漠然と買うと、リフォーム、修理費用ばかりかかって損するリスクがあります。メリット、デメリットを理解している必要があります。
狙い目はいくつかあります。
築3〜5年、つまり、まだ全くリフォームする必要がないくらい新しい家を買うという方法です。
とにかく住宅は最初がどんどん値段が落ちます。築3年以内の住宅の場合、実質、ほぼ新築状態なのに、価格は何割も落ちている状態になります。
さらに数年前ですから、性能的には今の時代の家です。
これは美味しいです。
ただ、築3年以内で売りに出ている理由というのをきちんと確認してから買うのが大事ですね。
築20年はほぼゼロ円に近い、ほぼ土地代だけで買えるというところなので美味しいようにも見えますが、様々なところのリフォームが必要になる時期ですので、あまり美味しくはないですね。
ただ、それを理解した上で、自分たちでDIYしながら住んでいくのを楽しむというのはアリでしょう。
思い切ってぼろぼろの古民家を買って建て替えるというのは、良い木材が残っている家なら意外とアリです。
まず安く買えます。取り壊し費用300万円程度を考慮して買いましょう。
そして、昔の家は良い木材を使っている家もあります。建て替えの際に使える良い木材があれば良いですね。一枚板のカウンターとして使えそうな木や、使い込まれて味のでた木材などは嬉しいですね。
まとめ。中古住宅を買うときは、リフォームする相場を知っておく
中古住宅を安く買ってリフォームするのはお得かというお話でした。
とにかく中古住宅はものの見極めが難しいというのが一番難しいポイントですね。
それでも、新築を買うよりは安いです。
あとは買う人の年齢次第じゃないでしょうか。20代の人が買うなら、十年ほど住んだら建て替える前提といった具合で買うと良いでしょう。あるいは、数年住んだらすぐ建て替える、土地だけを買うつもりで買うというのもアリかもしれません。
なので、建て替えが可能な土地かどうかというのもきちんと確かめてから買うのが大事です。
40代で買うなら何とか死ぬまでは暮らせそうな家、あるいは子どもが家を出るであろう時期までは寿命のある家を選ぶと良いですね。老後になったら売却して、二人で暮らせるだけのコンパクトな住まいに移るというのも方法です。
60歳になった時に建て替えが必要となると大変です。例えば安いからと言って築30年の家を買うと、20年後、60歳になった時には築50年です。築50年となると、かなり厳しい状況です。
そうは言っても、実質土地代だけで買えて、リフォームしながらでも20年間住めれば、まあ悪い話ではありません。
購入後、必要になるかもしれないリフォームの金額を理解して買うのが大事ですね。