こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
「最近はアパートでもペアガラスが入っているから結露しなくて良いですよね」という具合でペアガラスっていう言葉はなじみのあるものになってきました。
さて、もう一つあるのが二重サッシ。二重サッシとペアガラスを同じものと思っている人がいますが、二重サッシというと二重窓ですね。
窓が二つついているものです。ペアガラスは一枚の窓に二重でガラスが入っているものです。
今回はペアガラスと二重サッシの違い、メリットデメリット、「金額面はどっちがお得なの?」「どっちの方が結露防止の効果は高いの?」などを書いてみようと思います。
ペアガラスと二重サッシの性能的な違いとメリット①
ペアガラスと二重サッシの一番の違いはガラスとガラスの間の距離と、フレーム部分が二つあるかどうかです。
先にフレーム部分が二つあるというお話からいきましょう。
ペアガラスは、一枚のフレームにガラスが二枚はまっています。
なので、ガラス部分については断熱、防音効果を期待できますが、サッシのフレーム部分については、普通の一枚の窓と同じです。
これに対して二重窓、二重サッシはもちろん、フレームが二枚あります。
サッシは開け閉めをするために、窓枠との間に隙間があります。
もちろん、出来るだけ隙間をなくすようにゴムなどのパッキンで密閉性を上げますが、どうしても限界があります。
そこから空気が入ってきてしまうんですね。ですので、特に防音性などについてはペアガラスよりも二重サッシの方が有利と言われています。
また、フレーム部分の材質がアルミの場合には、アルミはよく熱を通してしまいます。外の気温が入ってきてしまいます。
二重サッシの場合は外側はアルミのフレームにして、内側は室内環境ですので木の枠でも何でも使えます。
窓はとにかく外側が雨にも太陽の光にも当たるのでダメージが入ります。
しかし、昨今はペアガラスでも耐候性の樹脂製フレームのサッシもあります。
アルミサッシと樹脂サッシですと、かなり大きな差ができます。また、外側だけアルミで内側は樹脂という複合のものもありますね。昨今は完全にフルアルミのサッシはもう少なくなってきています。
サッシの性能値は熱貫流率という数値でもきちんと表されています。リクシルやYKKなどのサッシメーカーのカタログに数値が書かれていますので、気になる人はチェックしてみて下さい。
一応参考までにリクシルのサッシですと、樹脂サッシのペアガラスのエルスターSが1.30で、アルミと樹脂の複合サッシのサーモスⅡHで2.33という表示になっています。実際には窓の大きさや、種類などによっても性能差はあるでしょうが、目安の数字としてみても、かなりの性能差がありますね。
ちなみにリクシルの最高級サッシのレガリスは0.55、トリプルガラス樹脂サッシエルスターXで0.79という数値です。
レガリスなどになると、窓だけでびっくりするような値段しますが、0.55という数値はすごいですね。
光をたくさん取り入れたいから大きい窓が欲しい、でも、大きい窓は外の熱がいっぱい入ってくる、どうしよう。
そんな人にはレガリスも良いかもしれません。ものすごくお高いですが、熱貫流率0.55はすごいです。
ペアガラスと二重サッシの性能的な違いとメリット②
また窓と窓の間の距離というのも大事になります。ざっくりとイメージしてもらいたいのですが、細長い狭い部屋と広い部屋を考えてみて下さい。その奥に部屋があるとします。どっちの方が奥の部屋まで熱が届かなさそうでしょうか?
はい、熱を食い止める空間が広い、空気の量が多い方が、外の熱を吸収してくれるクッションのような働きが期待できますね。
(ただし、ここで難しいのが対流やコールドドラフトの問題です。窓側の空気が冷やされると、冷たい空気は下に動いて、冷たさを伝えてしまいます。理想的なのは細かい部屋に分かれた空気です。壁の中の断熱材はそういう働きをします。難しい話なので、いったんここでは考慮せずにいきましょう)
特に防音効果については、窓と窓の間の空間が広い二重窓、二重サッシの方が有利な場合が多いです。
窓と窓の間の距離が近いペアガラスの場合、代わりに間に入れる気体にアルゴンなどを入れることで、断熱性を持たせています。
二重サッシはそういう性能の高いガラスを入れなくても、窓と窓の空間自体が大きく断熱性、防音性を期待出来ます。
二重サッシはシンプルではあるものの断熱効果も高いので、ペアガラスなどの高性能なサッシがなかった時代から北海道などの寒冷地では二重サッシが使われていたんですね。
ペアガラス、二重サッシのデメリット
断熱性、防音性では二重サッシが有利な面が多いですが二重サッシにはデメリットがあります。
単純に2回開けるのが面倒くさいんですね。当たり前といえば当たり前ですが、やっぱり面倒くさいですよね。
「なんだ、そんなことか」
と思うかもしれませんが、実際に使ってみると、結構面倒くさいんです。
単純に普段の開け閉めが面倒なのはもちろんですが、お掃除も面倒です。
特に外側の窓は普通に外に接しているので結露もします。内側の窓を片方ずつ開けて掃除するのは結構手間です。
また、普通の引き違いの窓、昔からある左右に開くタイプの窓の場合、二重サッシは問題なく取り付けられるのですが、最近の縦すべりや横すべりの窓の場合、開閉のためのレバー部分が干渉して二重窓が設置出来ない場合も多いです。
また、窓枠のサイズ、形状によっては二重窓を取り付けられるスペースがないこともありますね。
ペアガラスの場合、普通の一枚の窓ですので、そういった問題がほとんどありません。
ペアガラスのデメリットは防音性でしょうか。昨今は断熱性については、間に入れるガスなどのおかげでかなり良くなってきましたが、防音性については、やはり間に空間を作る二重窓が有利です。
使い勝手の問題を考えるとペアガラスが断然便利ですので、北海道などの超寒冷地じゃない限りはペアガラスの方が主流ですね。
ペアガラスと二重サッシの値段の違い
ペアガラスと二重サッシの値段の違いですが、ペアガラスは単体として高いです。しかし、二重サッシはガラス自体は安くても、フレームがもう一つ必要になります。
新築の場合は、どちらでもそんなに大きく値段は変わらないんじゃないでしょうか。ただ、使う窓のサイズや会社によって違います。北海道などのように二重窓が一般的な地域であれば二重窓ってそんなに高くもないです。しかし、二重窓をあまりしない地域ですと、意外と良い値段設定になっていることもありますね。
あとは二重窓の取り付けができるスペースを作る必要があります。
リフォームの場合は特に窓枠の方にもレールを取り付けるなどの工事作業が必要になりますので、その作業費用、工賃もかかります。
リフォームの場合は、今使っているサッシのフレームのまま、新しいペアガラスが入るなら、ガラス部分だけ交換するのが一番リーズナブルな方法です。一般的にはペアガラスは普通のガラスとは厚みが違うのですが、普通のガラスのフレームでも取り付けられるアダプターなどが用意されていることが多いです。
金額は窓のサイズや工事する会社によっても違うので、一概には言えませんが、5万円以下でできる場合もあります。
ただ、アルミのフレームの場合は、フレーム部分がものすごく結露します。
昔のペアガラスじゃない普通のガラスが入っている窓の場合、ほぼ間違いなくアルミのフレームでしょう。ペアガラスにしてもフレーム部分がアルミでは効果が減ってしまいます。
そういう意味ではフレームごとの交換がお勧めです。
フレームごと交換すると、5万円よりはかかってしまう場合が多いですね。
あくまでイメージですが、二重窓を取り付けるのと同じくらいの値段のイメージで良いと思います。会社によって違うので、実際には見積もりをお願いするのをおすすめします。
問題はフレームだけじゃなくて、枠側の方も交換が必要になる場合です。これは結構かかります。
ただ、防寒のためにトリプルガラスなどを考えている人は、二重窓にした方が、値段が安くて、なおかつ性能もそれなりに期待出来るという場合もあります。
トリプルガラスはすごく高いですからね。
ペアガラスで十分という人の場合は、ペアガラスが開け閉めも楽だと思います。ただ、防音などの性能的には二重窓の方が有利な場合が多いですね。
まとめ。防寒、防音の性能ならペアガラスより二重サッシ
ペアガラスと二重サッシ(二重窓)のお話でした。
二重窓、二重サッシというと、昔の寒い地域の家というイメージもあるかもしれませんが、二重窓は性能的には今でも優秀ですね。二回窓を開けるのは大変ですが。
もちろん、ペアガラスも優秀です。特に昨今は樹脂製のフレームも出て、かなり防寒性は上がりました。それでも、防音性については今でも二重サッシの方が優秀という場合が多いですね。
ただ、二重サッシでもトリプルガラスでも、窓枠自体が真っ直ぐついていなかったりすると効果は半減しますので注意が必要です。