こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
「ローコスト系の住宅会社ってあるけど、すごく安いけど本当に大丈夫なの?」
そんな心配を持っている人は多いでしょう。
答えは二つで、はっきり言ってダメな会社もありますし、大丈夫な会社もあります。
どういう方法で安くしているかによって大丈夫かどうか決まります。
ちなみにエルハウスは以前はローコストが強い会社でしたが、最近は比較的性能重視の、あまり安くない住宅も作っています。もちろん、今も手ごろな価格の住宅も作っています。エルハウスの手頃な価格の方の住宅はダメなの?という話と合わせて今回はローコスト住宅会社って本当に大丈夫?という話です。
ローコスト住宅はどうして安い?耐久性は?
まず、一口にローコスト住宅と言っても、どうして安く出来ているかというのが問題になります。
安い住宅会社はどうやって家の値段を安くしているかいくつかの方法をご紹介します。
本当に安物を使っている場合
建材や設備などを本当に安物を使っている場合は、当然ですが家の価格は安くなります。
当たり前ですね。
これは世に言う「安かろう、悪かろう」というものです。
ただ、「安かろう、悪かろう」でも家は家です。
ものすごく極端な話ではありますが、アパートの家賃よりも住宅ローンの方が安くて、アパートより広い家なら十分嬉しいですよね。さらに、土地は子供などに残せる財産にもなります。
ただ、本当にただ安いだけで、性能が極端に悪い家や、施工不良でトラブルになるというのでは、やっぱり問題ではあります。
人件費、事務所維持費などを削減している
大きい会社ですと、全国に何店舗もあって、それぞれに事務所の家賃も従業員の給料も必要ですし、転勤もありますので住宅手当や出張費用なども必要になります。
また、大手ですと、人も多く雇って余裕のある企業体制を作りたいので人件費もかさみます。
大手の会社はどうしても、会社を維持するだけで費用がかかります。
これに対して地域を絞った小さい会社ですと、そういった費用を抑えやすいです。
一番、極端な話だと、事務所一つで社長の建築士さんと現場監督さんと経理のおねえさんだけでやっているような会社は人件費はほとんどかかりません。
ただ、あまり小さすぎると、次に出てくる仕入れの問題も出てくるので、程よく大きくて、程よく小さいというのが大事になります。
キッチンなどのメーカーを絞ることで安くする
メインで使うキッチンやトイレなどの設備のメーカーを絞ることで、ある程度の数を年間購入する約束をメーカーと交わすことで安く仕入れることで家の価格を下げる方法です。
なので小さすぎる会社ですと、メーカーとの価格交渉ができるほどの売り上げが出来ないのでこれは難しいです。
大きい会社はこれがやりやすく、選べる設備のブランド数が増やせるというのがメリットです。
ただ、いくら大量注文すると言っても、ある一定の価格以上は安くなりませんので、規模が大きい会社だからと言って、ものすごく安く仕入れられるわけでもありません。
全国区の大手になると、一条工務店のように自社独自製品を生産してコストを下げるという方法もあります。
広告宣伝費をかけないことで安くする
家の場合、広告宣伝費ってかなり大きい金額をかける会社が多いです。
というのも、普通の商品よりも一つの売り上げが大きいので、広告をたくさんかけてでもお客様に買ってもらえる努力をします。
ただ、逆を言えば、住宅業界では普通とされるテレビCMや、豪華なモデルハウスを建てるなどをしなかったら、その分、住宅の値段を下げられるとも言えます。
職人さんの給料をたたいて安くする
一番問題になるのが、現場の職人さんの給料を安くすることで家を安くする会社です。
腕の良い職人は安い給料では働きません。
腕の良い職人、きちんと仕事をしてくれる職人というのは、無理して安い仕事をしなくても、親身にしている住宅会社、いつも仕事をしている会社と信頼関係があります。
逆に、すぐにケンカしてしまったり、適当な仕事をする職人というのは、次から仕事を任せられないので、安い仕事を受けなくてはいけなくなります。
時々、「今の大工さんは昔みたいに難しい技術を必要としないから、そんなに腕は関係ない」という人もいますが、今でも腕の良しあしはありますし、仕事に対する姿勢、人間性というのは、大工に限らずどんな仕事でも大事ですよね。
良い大工さんっていうのは、家を作る上でとても大事です。
職人さんと住宅会社は一蓮托生、持ちつ持たれつの関係です。
家はプラモデルじゃないので、適当に組み立てたら、せっかく良い部材を使っていても施工がダメでは完成する家もダメです。
ローコストの標準装備は大丈夫?
ローコスト系の住宅会社でよく言われるのが、
「やっぱり中も安っぽい部材ばかりだった」
というものです。
これについては、難しい問題ですが、たしかにローコスト系の会社は標準装備では、必要最低限のものを使っているところが多いです。
ただ、この必要最低限というのが会社によってラインが違うので判断が難しいんですね。
筆者のいるエルハウスの場合、不必要に高いものは入れてはいないものの、一番安いラインナップは使わないということが多いです。
高級ラインナップの「くらすの家」という商品は自然素材を重視している家なので、標準で無垢フローリング、和紙クロスなどの自然素材、通常より高額で良い物を使用しています。
しかし、エルハウスでは不必要に高額なものを売り付けない、お客様が本当に欲しいと感じた部分だけアップグレードする。なおかつ、安過ぎて、通常の使用、生活で問題になるような安物は使わないというスタンスです。
なので、オプションを付けず標準装備のままでも、十分に快適に住める家になっています。
標準装備の良し悪しについては、会社の考え方によって大きく変わります。
ローコスト住宅もアップグレードですごく豪華になる
標準装備が安いものを使っている会社は、逆を言えば、気になるところだけアップグレードすれば良いというスタンスです。
逆に規格住宅でアップグレードがあまりできないというところは注意が必要です。
また、大手ハウスメーカーに多いのですが、自社製品以外は使えないなど使える商品に制限があるというところも注意が必要ですね。
細かいところを指定しやすいという意味では地域の工務店は比較的小回りがききますね。
豪華な部材というのは一口にいうのも難しいですが、例えば、床を無垢フローリングにして、壁を珪藻土なんかの塗り壁や、和紙クロスや布系のクロスを使って、天井の高さを上げて、梁見せ天井で板張りなんかにすると、あっという間に豪華な家の出来上がりです。
リビングだけでも豪華にしたいという人はぜひ試してみて下さい。とても、高級感のある空間が出来ますよ。(内装だけじゃなく間取りの問題もありますが)
ただ、これを標準装備にしてしまうと、必要ない人には全くありがたくないですよね。
言うなれば、ローコスト住宅の標準装備はトッピングのないシンプルな状態というイメージです。
別に最初から標準装備を豪華にすることもできるのですが、それだと「セットでポテトとドリンクはいかがですか?」と同じで、単価は上がるのですが、リーズナブルに家を建てたいお客様の要望に応えられないんですね。
むしろ、商売としては標準で高額にしておいた方が儲かるのは儲かるのですが、それは昔のやり方ですね。
何も知らない素人相手に高いものを売っていた時代です。
今の時代は、一般の人でもインターネットで勉強できるので、自分たちの好み、予算に合わせて家をオプションまで自由に選べる時代です。
無垢の木じゃないと本物の家じゃない?
よく集成材のことを悪くいう人もいますが、全ての木材を無垢の木で作ると本当に良いのでしょうか。
確かに神社のようにすべて木で宮大工さんによって作られた木造建築はものすごく長く使えることも事実ですが、一般住宅の場合、そこまでのコストをかけることは現実的じゃありません。
また、鉄骨の家や鉄筋コンクリートの家はどうでしょう。
もはや木じゃありません。
フローリング(床)のように直接足の裏に当たるところには、天然の自然の木、無垢の木を使いたいというのはありますが、目に見えない構造的な柱などについては集成材で困ることはありませんし、むしろ、無垢材は木によって強度のバラツキがありますが、集成材は工業製品ですので強度の品質が一定の範囲内で保証されています。
使う用途によっては集成材の方がメリットがある場合もあるんですね。
もちろん、すべて無垢材にこだわりたいというのも価値観です。
集成材は安いから悪いというのは迷信と言ってしまっても良いでしょう。お客様の価値観とあわせて適材適所があります。
ローコストは地震に弱い?地震に対する耐久性がない?
ローコストは安いから地震に弱いといわれることもありますが、現在の家は建築基準法で最低限の耐震強度が保証されています。
特に昨今は地震への不安も多いので、いかにローコスト系のメーカーとは言っても、耐震などはほとんどのところが力を入れています。
耐震等級についての詳細は別の記事に譲りますが、最高である耐震等級3相当の強度でも、そこまでのコストをかけずに作れるため、今は多くの住宅会社が耐震等級3相当で家を設計しています。
心配な人は建てる住宅会社にきちんと確認を取りましょう。
木造の方が値段が安いから、鉄骨の方がものは良い?
木造と鉄骨、どちらが良いの? ローコストは木造しか出来ないけど、やっぱり木造はダメなの?という疑問に思う方も多いですが、基本的には鉄骨の方が値段は高くなります。
なので鉄骨の方が値段が高い分良いと考える人も多いのですが、これは間違いです。
鉄骨の方が大空間は作れる?
鉄骨の住宅のメリットは大空間を作りやすいということに尽きるでしょう。
木造住宅の場合、柱の間が4m以上になると工夫が必要になりますが、鉄骨なら4m以上の広さも可能です。なので、商業施設など大きい建物は鉄骨が多くなります。
広い間取りが作れるという意味での間取りの自由度は鉄骨の方が有利ですね。
鉄骨の方が地震に強い?
地震に強いかどうかについては、一概に言うのも難しいところですが、木造でも耐震等級3(最高クラス)は問題なく取得できます。
また、木の方が重量が軽いので、重量面だけ考えれば有利という考え方もできます。
木造か鉄骨かよりも、間取りの方が地震に対しての強度に影響します。あまりに広いLDKを取ったりして柱の数が少ないなどの間取りは地震については弱くなりやすいです。
また、制震ダンパーを使うなどで地震に強くする工夫は木造住宅でも可能です。
木造=地震に弱いというわけではないんですね。
木造は火事に弱い?
木造は木だから火事に弱いというのは半分は正解です。
もう少し正確にいうと、木造は骨組み部分が木なので、火事での倒壊のリスクがあるということです。
鉄骨でも骨組み以外の部分では木を使っている部分はたくさんあるので、火事になれば燃えます。
なので、木造は火事に弱くて、鉄骨は火事になっても燃えないというのは骨組み部分だけの話ということです。
ちなみに鉄筋コンクリート(RC造)については、火事に強いと言っても問題ないでしょう。
木造は木が腐るから耐久性、耐用年数が短い?
木造は湿気で木が腐ったり、シロアリ被害でダメになるから耐久性がないということもよく言われますが。
日本には世界最古の木造建築法隆寺もあります。
まあ、法隆寺の場合は断熱材などがなく風通しが良いので湿気などでダメにならないというのが大きいのですが。
確かに一昔前は断熱材の施工が悪くて、湿気で柱がくさるという家もありましたが、昨今は断熱、気密性も良くなり、現場の職人さんも慣れましたし、長期優良住宅というものも出てきたくらいですので、木造だから耐用年数が短いとは限りません。
ただ、そうは言っても、確かに鉄骨はそうそう腐ることはないので、骨組み部分の耐用年数という意味では鉄骨の方が間違いないとは言えます。
実際、固定資産としての価値、中古物件の価値は木造の方が早く落ちていきます。
まとめ。ローコストは安いけど大丈夫なところもある
ローコスト系の住宅は安いけど、大丈夫かという問題についてでした。
ローコスト系の住宅で問題になるのは、とにかく安い部品で、職人さんを安い給料で使う会社ですね。やっぱりこれは作りに問題が出てきます。これは大丈夫とは言えないでしょう。
逆に、純粋に会社の規模を程よいところで抑えることで人件費などの経費を抑えて、モデルルームなどの宣伝費もかけないことで値段を安くしている会社については、建物本体でコスト削減しているわけじゃないので大丈夫ということです。
どこで値段を安くしているかというのをよく見極めて選ぶのが大事ですね。