借景と窓とウッドデッキやフェンス

住宅

こんにちは、福田です。
家の間取りを考える上で難しいけれど、家が美しくなるかどうかの肝になるのが、借景の考え方です。
借りる景色。
言葉の通り、外の景色を借りて中で楽しむというものです。

借景がうまくいくと、家の中が非常に広く感じられます。
信州だと山の景色を狙いたいものです。
山じゃなくても、お隣さんが昔ながらの日本家屋で庭を綺麗にしていれば、そこの木が見えるように景色だけ借りさせてもらうのも一つの方法です。

肝になるのは、立地建物の向き窓の位置大きさ高さ
そして、ウッドデッキやフェンスなどの景色を切り取る要素です。

実例とともに考えていきましょう。

景色の良くない立地でも

借景については、立地で6割くらいは決まります。

極端な話ですが、外が畑でこういう景色の取れる立地だったり。

こういう山の中の土地などは何とでもなります。
まわりに何もない立地であれば、悩むことは少ないのです。

あるいは市街地のど真ん中でどう頑張っても景色が見えないような土地もさほど悩まなくて良いでしょう。

しかし、こういう立地は工夫次第で景色が取れます。
絶景の土地とまでは言いませんが、山がちらりとでも見えればチャンスはあります。

建物と窓の向き

信州の場合、基本的にはにはあまり大きな窓を持ってくるのは気が引けます。
冬が寒いですから。

それでも、北に絶景があれば、迷わず北でも大きな窓を狙うのが良いでしょう。寒さ問題も大事ですが、寒さ問題はトリプルガラスや二重窓、ハニカムスクリーンなどいくつか対策があります。

立地と合わせて、大きな窓をどちらの方向に持って来たいか考える必要があります。それに合わせてプランも変わります。
大原則としては南には大きな窓を持って来ても、昼間に太陽の熱を取れるので、寒くなりにくいです。
北は寒いです。
西は夏の夕方が暑いです。
東は朝がさわやかです。
そういう大原則はありますが、景色はプライスレスです。
景色を優先する方がうまくいく場合もあります。

とは言え、景色なんて興味がないという人もいます。
特に夫婦共働きですと、お昼、明るい時間にあまり家にいなくて、夜は景色なんて見れないという場合もあります。
この辺りは、住む人のライフスタイルなども重要です。

それでも、やはり眺望が良いと、家の中まで広く感じやすいです。
悪いことは言いません、眺望は可能な限り大事にした方が良いです。

窓は大きければ大きいほど良いではない

日本人は掃き出し窓が大好きです。
掃き出し窓というのは、背の高さの出入りできる大きな窓ですね。

そして、掃き出し窓をやめれば、住宅のプランの自由性は上がります
掃き出し窓にすると、家具が置けなくなります。
いろいろと困ります。
その辺りはまたいずれ。

景色がいいから大きな窓=掃き出し窓とは限りません

重要なのは一枚のガラスが大きいかどうか、特に横幅があるかどうかです。
横幅があればパノラマのように景色を切り取れます。

↑1階じゃなくて2階の写真ですみませんが。
こういう窓が理想です。
電柱と電線だけが惜しいポイントですが。信州の家にはこういう窓を作りたいものです。

掃き出しの背の高さじゃなくても、横幅があれば借景としては大丈夫です。
一枚のガラスが大きく取れれば景色は映えます。
(この写真の場合、真ん中のFIX窓が大きいので、借景としてうまく行っている)
普通の引き違いの窓で、真ん中でガラスが途切れると、景色の効果は落ちてしまいます。
理想は1枚の大きなFIX窓です。
とは言え、開閉したい場合が多いので、写真のような縦滑りとFIX窓の組み合わせのものが有効です。

いらない下側は切り取って、欲しい部分だけ借景する

借景で重要なのは景色を綺麗に切り取るということです。
特に下を切るのが大事です。
出来るだけ地面が入らない方が景色が映えます

YouTubeで見られる家づくり勉強会

さっきも出て来たこの立地。
普通に掃き出し窓をつけるとゴミゴミします。

だからこうします。
ウッドデッキのフェンスで、視線を下半分を隠します
道路などが出来るだけ見えないようにして、可能であれば遠くの山だったり、空だけが見えるようにすると、いい感じになります。

部屋の中から座る目線になると、ちょうど良い塩梅に道路が見えなくなります。
さらに家の床とウッドデッキの床がつながって見えるので、家の中が広く見えます。
ちょうど八ヶ岳の山のラインだけが見えるような形で絶妙です。

あとは理想は電線がなくなってくれれば景観としてはさらに良いのですが。
まあ、そこは仕方ないです。

先ほどの話のように、掃き出し窓にせずにFIX窓にした方が美しいです。
実際、この写真でもウッドデッキ用のサンダルが見えていますね。
しかし、お洗濯をウッドデッキで干す都合などがあって出入りできる方が良いということで、この窓です。

それでも、今回は借景の話ですから、借景という点ではFIX窓にしてしまった方がいいですね。
そうは言っても、実際の生活のしやすさの問題は重要です。

ウッドデッキの外から見るとこういう形になります。
外側から家の中が見えにくくなります。

ちなみに、工事中のウッドデッキができる前の写真はこうです。

これはこれで、レッドシダーの木目が美しいのですが。
道路から中が丸見えになってしまうので、このままだとよろしくないです。

あとはウッドデッキじゃない方法としては、道路と敷地の境界にフェンスを立てる方法もありますが、かなりの高さがないと目隠しとしての効果がないですし、あまり高いのも圧迫感になります。あとは、金額的にも、ウッドデッキの方にフェンスをつける方が安いです。

これが立地が最初に出て来た周辺に田んぼばかりで何もなかったり、森の中の立地でしたら、
ウッドデッキのフェンスはもう少し低くくても良いでしょう。
はたまた、フェンスなしで窓をFIXや腰窓にして、下側の地面は窓で切り取るような形でも良いですね。
もしくは、最初の写真くらいの立地なら掃き出し窓でも何でもうまく行きますね。

↑はたまた大きな窓だとどうしても周囲の家が入ってしまうという場合には、高い位置に横長の窓を入れて、景色を切り取るのも良いです。

景色の中でも肝心なのは下を切り取るという考え方です。下側の道路などが見えないように窓でうまく景色を切り取ってあげると、家に気品が増します。

まとめ。その土地で可能な限りの借景を

現実問題として、なかなか景色の美しい土地は多くありません。
そうは言っても、長野県は他の県と比べれば、圧倒的に良い景色の窓を作るチャンスがあります。

窓は難しいです。
大きければ大きいほど良いと思って付けると、外からの視線が気になって1日中レースカーテンの閉じている残念な窓になります。
特に掃き出し窓は厄介です。
悪いことは言いません。掃き出し窓は出来るだけ少ない方が家はいろいろ便利です。
庭がものすごい広ければいいのですが。
洗濯を干すのとゴミを外に出す以外で、窓から外に出ることなんて滅多にありません。
掃き出し窓は慎重に考えるべきだと私は思っています。
日本人なのでついつい掃き出し窓が欲しくなりますが。
昔のような広い庭のある日本家屋ならいいのですが、今の住宅事情だと掃き出し窓は難しい場合が多いです。

掃き出し窓で視線が気になりそうな場合には腰窓にするとうまく行きやすいです。
腰窓にしたっていくらかは外から見えるのも事実ですが、それでも掃き出し窓より見えにくいです。

外は見たいけれど、外からは見えないように。
景色の中でも見たくないものは切り捨てて、綺麗なところだけ上手く切り取って借景する。

窓で工夫する、ウッドデッキで工夫する、いろいろ方法はあります。

とにかくその土地に逆らわないように家を考えて、家と外をつなぐというのが重要です。

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