基礎断熱のメリットとデメリット

住宅

こんにちは、松本、諏訪地域の工務店エルハウスのふくだです。
今回はちょっとマニアックな話になりますが、基礎断熱の話です。
基礎断熱とは何なのか? 普通の基礎と違うのか? メリットとデメリットは?といったことを書いて行きます。

そもそも基礎断熱とは?

そもそもに基礎断熱とは何か?というところからですね。

基礎断熱は一般的には寒冷地で使われることが多い工法です。
ざっくり言うと、床下部分を基礎からぐるりと断熱を取るのが基礎断熱です。
対義語としては床下断熱(床断熱)でしょう。床下断熱は床の部分で断熱を取るので、床下は外と同じなので寒いです。床断熱は昔からある工法で、床下には空気を入れて通気を取りますので、床下は家の外の空気がそのまま入って来ます。

家は外の寒さ、暑さが入ってこないように断熱をします。
昔の家では、断熱があまりきちんとされていなかったので、冬になると暖房を付けて暖かくなっても、暖房を切るとすぐに寒くなってしまいました。
断熱の良い家は、暖かさが逃げにくいんですね。

基礎断熱のメリット①床が冷たくない

基礎断熱の一番のメリット床が冷たくないということでしょう。
床下に冷たい空気が入りませんので、床がひんやりしないんですね。

また、ポイントとしては床暖房のように不自然な暖かさにならないということです。
床暖房は足がぽかぽかして気持ち良いのも事実ですが、床が周囲よりも極端に暖かいということは自然の中ではあまりない状況です。いうなれば、ちょっと不自然な状態です。

基礎断熱の場合、室温と同程度に自然な暖かさになります。
そして、床暖房と違い、床の下に特殊な機械を入れないので、故障やメンテナンスなどのリスクが少なくて済むということも嬉しいポイントです。

基礎断熱のメリット②凍結防止帯を動かさなくて良い

寒冷地では床下の水道管などが凍らないように凍結防止帯を作動させます。寒い間動かすので、そこそこ良い電気代になります。
基礎断熱の場合、床下も暖かいので凍結防止帯を作動させる必要がありません

床下断熱の場合でも、凍結防止帯なしでも大丈夫なこともありますが、万が一のために凍結防止帯は付けておかないと、水道管などが破裂すると大変ですからね。

基礎断熱のメリット③家全体が暖まる

床下は家のすべての部屋につながっています
一般的に基礎断熱の場合、床下に暖かい空気を入れるためのガラリ(通気口みたいなもの)というものが各部屋の床に設置されています。
床下が暖まると、別の部屋にも暖かい空気が巡ります。

いうなれば全館空調のように、暖かい空気を家全体に巡らせることが可能です。
全ての部屋が均一な温度になると、急に寒いところに行くことで起きる心筋梗塞などの病気(ヒートショック)を防げます。

これを強化するための方法として、床下エアコンなどもあります。床下にエアコンを入れて早く床下を温めるという方法です。
ただ、床下エアコンにはデメリットもありますので、注意が必要です。

基礎断熱のメリット④気密性を取りやすい

少しマニアックな話になってしまいますが、基礎断熱の方が気密性を取りやすいです。気密性というと、隙間の少なさですね。隙間が多いと、断熱性をあげても隙間風で熱が逃げるので、気密性と断熱性はどちらも大事なのです。
床下断熱でも気密を取ることは可能ですが、配管など、どうしても気密を取りにくいところがあります。
基礎断熱は基礎の外周を完全に囲って、密閉を狙うので気密性を取りやすいです。

基礎断熱のデメリット①シロアリ問題

基礎断熱デメリットとしてよく挙げられるのがシロアリ問題ですね。
基礎断熱は基礎の部分に断熱材を貼るのですが、この断熱材を伝ってシロアリが侵入してくるリスクがあるという問題です。

対策としては、3つあります。
シロアリ対策した防蟻剤入りの断熱材を使うこと。ステンレスメッシュのシロアリ侵入対策を取ること。断熱材自体をシロアリに食べられないものを使うこと。

以前は基礎断熱が出始めたばかりの頃は、シロアリ問題も大変でしたが、今は基礎断熱の家も増え、シロアリ対策もかなり確立されて来ました。

基礎断熱のデメリット②暖房で暖める空間が増える

基礎断熱ですと床下まで家の内部として暖めますので、暖める空間が増えることになります。
メリットで床下を通じて家全体を温められるということをあげましたが、逆を言えば、暖房する空間が広くなるので、暖めるまでに時間はかかります
また、暖房する空間が広くなるので、同じ断熱性の家と比較すると暖房費はかかります。

ただ、メリットのところでも書いたように家全体を温めることはヒートショックの予防にもなりますので、快適な空間を作るための必要経費とも考えられます。

基礎断熱のデメリット③最初の数年は湿気

基礎断熱のデメリットとして最初の数年については、基礎のコンクリートから水蒸気が出るので、床下の湿気の問題が出てきます。

しかし、これもシロアリ問題同様昨今は対策が取られています。
空気がうまく流れるよう、ガラリの位置を正しく取るというのが一番重要ですね。
また、基礎断熱の場合、エアコンを主暖房として使うことが多いですので、きちんと床下に空気が動いていれば乾燥した空気が床下に入ってくれます。

基礎断熱のデメリット④値段

基礎断熱のデメリットとして、値段が高くなりやすいということがあります。
正確には基礎断熱のせいで値段が高いというよりは、基礎断熱の家は、高断熱高気密住宅で使われるため、他の壁や天井などの断熱の性能も上げる場合が多いですので、トータルの金額がどうしても上がるんですね。

まとめ。寒冷地で暖かい家を作るなら

基礎断熱のメリット、デメリットのお話でした。
基礎断熱は比較的新しい工法ですので、デメリットを気にする方も多いのですが、やはり基礎断熱の家は暖かいです。もちろん、基礎断熱だけじゃなく、すべての断熱がトータルで良い家だから暖かいのですが。
床暖房も流行りですが、床暖房は設置の費用も修理のコストもかかります。やけどしにくいなどのメリットもありますが、家や設備はいずれは必ず修理、メンテナンスが必要になるものですので、床暖房は長い目で考えた時大変とも言えます。
これに対して基礎断熱は主暖房をエアコンのみに出来ますので、設置もメンテナンスも安いのがうれしいポイントです。
冷たい床が嫌だという人は基礎断熱はとても良いと思います。