今回は住宅の断熱性能について、エルハウスの現場監督奥寺にインタビューしてみました。
昨今、住宅の断熱性能が大事だと言われることが多いですけど、
実際に現場監督をしていて断熱性能についてどう思いますか?
エルハウス現場監督 奥寺(以下省略して奥)
「冬暖かく夏涼しい住宅を実現するために非常に重要だと考えています。
やっぱり、快適に住む上で温度って大事ですよ。」
グラスウールと発泡ウレタンのメリットデメリット
グラスウールと発泡ウレタンってよく聞きますけど、どっちが良いんですか?
奥
「グラスウールやウレタンどちらにもメリットとデメリットがあるんですよ。それぞれ、住宅会社によってメリットとデメリットを考慮して、選んでいます。茅野に本社のあるエルハウスではグラスウールを採用しています」
どうしてエルハウスではグラスウールを採用しているんですか?
奥
「理由はいくつかあるのですが、まず燃えにくいっていうことですね。グラスウールは主にガラスを主原料にしているので、燃えにくいんです。
あとはホルムアルデヒドといった化学物質の発散が少ないので人の体に優しいということもあります。
また、発泡ウレタンと比較して、グラスの方が材料代が安い上に、現場で取扱いやすいので、コスパよく断熱性能を上げられるからです
松本、諏訪地域は寒いですから、断熱をしっかりするということが重要です。なおかつコストも重要になります。
断熱の性能をしっかりしながら、コストを抑えるにはグラスウールが最適です」
グラスウールの内部結露の問題。松本など寒い地域こそ。
グラスウールは濡れるとダメになるっていうデメリットを聞いたことがあるんですけど。大丈夫ですか?
奥
「はい、グラスウールは正しい施工方法でしないと、隙間が出来てしまい、結果として内部結露を起こします。なので、きちんとした腕の大工さんが正しく施工しないといけません。
特に松本、諏訪地域のように寒い地域ではなおさらです。
逆に正しく施工できれば、内部結露は起こりませんよ」
内部結露とは何ですか?
奥
「簡単にいうと、壁の中で結露して水がたまってしまうことです。内部結露を起こすと、グラスウールが濡れて断熱性能がなくなってしまったり、柱が腐ってしまう原因になります。
エルハウスでは大工さんは全員、グラスウールの施工講習を受けてもらっていますので、内部結露が起こらないよう徹底しています」
どうして発泡ウレタンは使わないか?
逆に発泡ウレタンを使っていない理由は何ですか?
奥
「木って冬と夏の温度差や乾燥によって伸縮するんですけど、その時に、発泡ウレタンだと隙間ができやすいんですよ。そこから断熱が悪くなるというデメリットがあるからです。
また、施工する人によって吹き付けの厚みや仕上げが変わるので、完成した時の精度にばらつきがでやすいというのも理由の一つですね。
火事の時に一気に燃えてしまいますし、有毒ガスが出るというのも理由ですね。
もちろん、発泡ウレタンにもメリットはあって、木材に密着するので気密性が良いです。ただ、さっきも言ったように、木の伸縮が起きるので、密着している部分がはがれて隙間になることもあります。
何より、発泡ウレタンのメリットは同じ厚みならウレタンの方が断熱性能が高いです。また湿気に強いです」
エルハウスの家で、他の会社より断熱を良くするための工夫などありますか?
奥
「先ほどもちょっと出ましたけど、講習を受けた信頼できる大工さんに作業してもらっています。
また、エコ住宅という高断熱高気密のラインナップでは断熱材専門の職人さんをお願いしています。
なので、グラスウールを隙間なく施工する、気密を出す施工方法を熟知しています。
また、JIOという第三者機関の検査を受けることで、より確実にミス、見落としがない施工をしています。」
寒い松本だからこそ、基礎断熱と床暖、別張り防湿シート
エルハウスでは高気密高断熱住宅と普通の住宅とありますけど、何が違うんですか?
奥
「はい、高気密高断熱の家はエコ住宅、普通の家をコミコミ住宅という名前で呼んでいます。
エコ住宅の場合、一番の違いは、基礎断熱にしているということです。
基礎から完全に違いますので、基礎から家が暖かく、足の裏がひんやりしません。
やはり松本、諏訪地域のように寒い地域ですと、床が冷たいのはつらいですので、
基礎断熱は有効です」
床暖房より暖かいですか?
奥
「率直に言うと、床暖房の方が暖かいですね。
床暖はポカポカ暖かいですけど、基礎断熱の床の暖かさはひんやりしないというイメージです。
床暖は確かに暖かいですけど、電気代がかかったり、修理などのコストなどいろいろ金額が掛かるなど、床暖は長い目で考えるとデメリットも多いんです。
なので、床暖無しでも十分快適に過ごせる温かさということを重視しています。
そういう意味で基礎断熱の暖かさっていうのは、ポカポカまではません。でも、壊れることもないですし、電気代もかからないので良いんですよ。
そうは言っても、やはり床暖の暖かさが欲しいというお客様もいるので、メリットとデメリットを伝えた上で希望があれば床暖をオプションで入れる人もいますよ。
でも、僕らの家を作るエリアで原村っていう寒い地域もあるのですが、床暖なしの基礎断熱でも十分暖かいと言ってもらえていますので、床暖は本当に希望する人のオプションというイメージで良いと思います」
長野県の寒さは、基礎断熱だけじゃなく、壁、窓、天井までトータルで
基礎断熱以外は何が違うんですか?
「壁も天井も違いますし、窓も違いますね。換気もダクト式の換気になります。長野県の寒さは、基礎断熱だけじゃなく、家全体で対策しないと寒いですからね」
壁はどうちがうんですか?
「壁の中のグラスウールが違います。普通の家は防湿フィルム付きグラスウールで、エコ住宅は高性能グラスウールで、別張り気密シートです。
グラスウールは密度が高いものの方が断熱性能が高いです。
また、防湿シートが別張りの方が、隙間をより減らしやすいので気密性能を取ることができ、より高気密にできます。気密は断熱と同じくらい重要です。
もちろん、別張りの方が手間はかかりますが、高断熱高気密になるのでとても重要です。」
天井は何が違うんです?
「また天井はエコ住宅ではブローイング(吹き込み)で30㎝行います。
イメージ的には鳥の羽みたいな形状のグラスウールを天井裏に敷き詰めるイメージです。
天井の断熱についてはブローイングの方が暖かいです」
窓はどうでしょう?
「窓については断熱を考える上でとても大事なんですよ。
家の熱の半分近くが窓から逃げると言われています。
エルハウスのエコ住宅ではリクシルの二重ガラスの樹脂サッシ(エルスターS)を標準で使っています。
樹脂の方が熱を通しにくいので、アルミのサッシより断熱性能はぐっと上がります。
ガラスが二重でも、サッシの桟の部分(周囲の部分)がアルミだと、効果が半減してしまうんです。」
やっぱり現場だとエコ住宅の方が大変ですか?
そうですね、施工の手間などは、やはりエコ住宅の方が大変です。
断熱材の施工を断熱専門の業者に依頼する必要があるので、施工費も多くかかってしまいます。
材料代が高いのと合わせて、そういった金額の差が、通常の家と高断熱住宅の差ですね。
寒い松本、諏訪地域だからこそ高断熱は価値がある
それだけ高くても価値はありますか?(笑)
もちろんです(笑)
人によって価値観もありますけど、値段するだけあって暖かいのは間違いないです。
実際に、現場でも職人さんたちが、エコ住宅だと休憩のときに暖かいから良いねって言っていますね。
こういうことを聞くのは問題かもしれませんが、断熱性能では人気のある一条工務店より暖かいですか?(笑)
残念ながら標準のままだと一条工務店さんの方が暖かいです。(笑)
でも、基礎断熱と床暖の話と似ていますが、エルハウスの家はランニングコストや費用対効果を大事にしています。
断熱性能を上げて行く上で、ある程度以上になると上がる値段の割に、体感できる暖かさにつながりにくくなるんです。世にいうオーバースペックというやつですね。
エルハウスの家は、コスパよく暖かいということを目指しています。
これに対して一条工務店さんは、コスパというより、「家は性能」というキャッチフレーズを掲げているように、とにかく最高の性能を、という考えなのでしょう。
値段のことを考えなければ、一条工務店の家は本当に暖かくて良い家だと思いますが、エルハウスの考え方とは違います。
なので、一条工務店さんほどの断熱性能は標準仕様では目指していません。値段が高くなりすぎてしまいますから。
あと、僕らエルハウスは長野県の茅野市の会社ですので、松本、諏訪地域の人たちのための家を作っています。
これに対して、一条工務店さんは日本全国、北海道と同じで寒さ対策をしている家を作っています。
会社の考え方の違いだと思います。
ただ、お客様によっては、オプションでトリプルガラスのサッシを入れたり、ダブル断熱にしたり、意図的に大きい窓を減らして設計するなどをして、一条工務店さんと同等の暖かさの家も作ることもありますよ。
松本、諏訪地域で断熱の良い家を作ろうという方へ
これから家を建てる人に、断熱性能で家を選ぶ時のポイントや基準などありますか?
断熱材の種類や施工方法によって、それぞれメリットデメリットがあります。それらをしっかり理解した上で選んで欲しいです。
可能であれば是非現場を一度見に行ってみて下さい。
松本市、諏訪市、岡谷市、茅野市、伊那市など、各地域で建築現場があります。お施主様(お客様)の意向でご案内できない現場もありますが、見られる現場を調整してご案内させて頂きます。
現場監督の僕が直接ご案内しますので、お気軽にご相談下さい。
ありがとうございました。