家の換気システム!ダクトレス?熱交換?1種?3種?寒い長野県では?

住宅

こんにちは、松本、諏訪地域の工務店エルハウスの福田です。
家を建てる時に、「我が社は第一種換気熱交換機があるダクト式ですから、冬でも暖かいんですよ!」とかって謎の呪文のような説明を受けて頭にはてなマークが浮かんだという経験はありませんか?
これ、家の空気を入れ替える換気のシステムのことなんです。第一種、二種、三種という違いと、ダクトがあるかないかでダクトレスかダクト式かという意味になります。さらに熱交換式というのも昨今の流行りですね。
今回はそんな謎の呪文のような家の換気システムのお話です。

建築基準法で決まっている家の24時間換気

そもそもにどうして換気をそんなに考えないといけないの?

そこから話していきましょう。

まず、家の換気をすると、せっかく冷暖房で暖かくしたり涼しくした空気が外に逃げていってしまいますよね。
「じゃあ、換気なんて面倒だからしなかったら良いんじゃないの?」
はい、そこで問題になるのが、建築基準法です。今の建築基準法では必ず24時間換気システムを付けるように法律で決まっているんですね。平成15年からシックハウス症候群、ハウスダストなどの埃やアレルギー物質対策として、住宅では必ず24時間換気しましょうとなったんです。

そこから、換気に伴う熱の寒さの問題っていうのが話題になってきたわけです。

住宅の第1種換気、2種換気、3種換気

換気にともなう室内の温度の問題ですが、換気の方法で解決もできるんです。
まず、家の換気の種類は大きくわけて3種類あります。それぞれの特徴を簡単に見て行きましょう。

ポイントは、家の中に取り入れる空気を吸気外に出す空気を排気と言うのですが、これを機械でやっているか、機械じゃなく自然な空気の流れでやっているかというのがポイントになります。
それぞれにメリットデメリットがあるので、そこを理解するのが重要です。

第1種換気システムのメリットデメリット

第一種吸気も排気もどっちも機械でやります。

なので、メリットとしては空気の流れなんかを管理しやすいんですね。
さらに、排気する空気から、吸気する空気に熱を移動させる熱交換機を使うことも出来ますので、冷暖房がもったいない問題を解決できるんです。
(熱交換器にも全熱交換型、顕熱交換型などがありますが、ここでは省略いたします。簡単にいうと、温度だけじゃなく湿度も交換するかどうかということです)

ただ、デメリットとしては、コストが高いということです。
まず最初の設置にもコストがかかります。
さらに、機械ですので、いずれ壊れるので修理、交換が必要になります。
特に吸気側の換気システムの方をしっかり掃除しないと、せっかく取り入れた空気が汚れているという状態になってしまいます。

後からのメンテナンスなどの費用、手間というのが一番のデメリットでしょう。

寒い長野県だと第一種換気の方が良い?

長野県は非常に寒い地域ですので、
「暖かい第一種換気の方が良いですか?」
と聞かれることもあるのですが。
重要なのは第一種換気にするためにプラスでかかるお金と、第一種換気にすることで節約できる冷暖房費
どっちがが得になるかというのが、重要です。

だいたいの目安ですが、一種換気にするのに40~50万円程度かかりますが、一種換気で冷暖房費が年間1万円安くなったとしても、元がとれるのは40~50年後。これだと、ちょっと無理がありますね。さらに一種換気ではメンテナンス費用も忘れてはいけません。

また、デメリットではないですが、一種換気は家の気密性がしっかりしていないと効果が半減します。気密性とは隙間が少ないということですね。
気密性が低いと、別の部分から空気が出入りしまうので一種換気になっていても意味がないんですね。
家の気密性を出すのは、職人さんの腕や手間が大きく影響するところなので、住宅会社によって差が出るポイントです。

断熱、気密と合わせて、長期的なコストを考えるのが重要です。良ければこちらの記事も参考にして下さい。

住宅の断熱性、気密性と価格のコスパのバランスは?

また、そこまで大したデメリットではないですが、電気代もちょこっとだけかかります。ちょこっとだけなので、そんなに気にしなくても良いとは思いますが。システムによっては結構かかるものもありますので、確認はしておいた方が良いです。

ちなみにエルハウスでは第一種換気はオプションです。
後からかかるメンテナンスなどの金額的なデメリットも理解した上で、花粉などの埃の対策、暖かさや涼しさを追求したいという方にはオススメしています。

第二種換気システムとは?

第二種換気吸気、入ってくる方だけ機械で換気するというものです。
第二種換気については、基本的には住宅では使いません。手術室のクリーンルームなどで使われるのが一般的です。
パナソニックホームだけ第二種換気を使っていますが、珍しいですね。

一般住宅ではあまり使われないシステムなのでここでは省略します。

第三種換気システムのメリットデメリット

第三種換気システムとは、排気、外に出す空気の方だけ機械で換気するというものです。
なので、デメリットとしては、最初の問題、冷暖房の空気が逃げてしまう問題については弱いです。

ただ、第三種換気はシステムがシンプルですので、コストが抑えられるという点で安いということです。
最初の費用だけじゃなく後のメンテナンスについても、自然の空気をゴミを取るフィルターを通して吸気するだけなので、フィルター部分を洗ったり交換するだけと、メンテナンスも圧倒的に楽です。

ダクト式換気かダクトレス換気か?メリットは?

また、ダクト式かダクトレスかというのも論点になりやすいところです。
ダクトと言いますと、天井裏などにダクト、ジャバラみたいな空気の通り道を引っ張ってあげるわけです。
逆にダクトレス、つまりダクトを使わないものについては、壁に昔ながらの換気扇みたいな感じで取り付けるものですね。

ダクトを使うメリットは、空気の流れをコントロールしやすくなるということです。
家を設計するうえで空気の流れをコントロールするというのも大事なんですね。
空気がよどみなくきちんと換気されるように設計したいんですね。

一方、ダクトを使うデメリットは特に第一種換気(吸気も排気も機械)の場合、特に重要なのですが、ダクトの汚れをどうするかということです。
ダクトは天井裏に配線などと一緒に入っていますが、全て交換するとなると天井を外さないといけないなどかなり大掛かりなことになってしまいます。
第三種換気の場合は、排気、捨てる空気なので、ダクトの汚れはさほど問題にはならないのですが、第一種換気では吸気、中に入ってくる空気もダクトを通りますので、これは問題になって来ます。

なので第一種換気の場合、ダクトレスにするという選択肢もアリなんですね。
ただ、ダクトレスはやはり換気経路を計画しにくいというデメリットがあります。
あと、ダクト式のように天井の中に装置を入れることができないので、どうしても熱交換器やフィルターなどの大きさが限られて来るので、どこまで性能が期待できるかが難しいポイントではあります。

ダクトレス一種換気の例。三菱のロスナイ。三菱HP

商業施設などの場合は、メンテナンスの費用も前もって施設管理費として計算しますが、一般住宅の場合、そういうメンテナンス費用が分からないまま使う方もいるので、注意が必要です。
一般住宅で一種換気を付けるならダクトレスが今のところ無難でしょう。

特にダクト式の一種換気で注意してほしいのが、
「電気代がかかるから使わない時は切っている」
という状態。
吸気側のダクトにカビが生えたりする原因になります。
一種換気にする場合は、正しい使い方で、定期的なメンテナンスが必要です。

まとめ。第一種換気はデメリットも理解して

はい、呪文のような第一種や第三種にダクトレスに熱交換器なんかの換気システムのお話でした。
住宅の場合、第一種(吸気も排気も機械)第三種(排気だけ機械)が主流です。
「第一種は暖かいんですよ!良いんですよ!」
とメリットばかりを強調されることもあるでしょうが、第一種換気には最初の費用が高くなるだけでなく、後のメンテナンスというデメリットもありますので、注意が必要です。
メリット、デメリットを理解して、自分が納得した家を建てるということが大事ですね。

考え方にもよりますが、筆者の考えとしては、
優先順位的には気密≧断熱>>>>>>一種換気、というイメージでしょうか。
(断熱より気密の方が重要性は高いと考えています)
断熱気密を完璧にして、お金が余っていたら一種換気も良いかもしれませんが、メンテナンスなどのことも考えると普通は三種換気がオススメしやすいというのが本音です。