こんにちは、エルハウス住宅コンサルタントの福田です。
住宅のチラシとかホームページや住宅に関する保険で、耐震等級とか、免震構造とか、制震ダンパーって言葉を目にしますが、その区別ができますか?
全て地震力に対抗する構造の違いなのですが、いざ検索すると・・・難しい、細かい、専門的で難しいので、分かりやすいよう整理しました。
また、制震、免震だと、一般住宅では制震ダンパーが採用されることが多いですが、その理由をご存じでしょうか?
今回はそんな耐震、免震、制震の違い。そして、どうして一般住宅では制震ダンパーが人気があるのかについてのお話です。
耐震住宅とは?
耐震住宅とは、「揺れに耐える家」のことです。
構造用合板を外壁に貼り、面で支え、更にアンカーボルトや構造用金物で補強された住宅です。
また、外壁に構造用合板を貼らなくても、筋交いなどをしっかり入れた耐力壁や、構造用金物で建物の躯体を強固に作り、地震の揺れに対抗します。
耐震等級により家の堅固さが違います
耐震等級とは、住宅の耐震性能をランク付けした等級のことです。 住宅性能表示制度の「構造の安定に関すること」の項目で、等級1から等級3まで3段階で表示されています。
等級1は、建築基準法レベルの耐震性能を満たす水準とし、
等級2はその1.25倍、
等級3は1.5倍の強さがあることを示します。
耐震等級の意外な落とし穴
現在の建築基準法の「耐震」とは1回の本震に対して定められたものというのを、ご存じですか?
つまり、その後の余震については定められていません!
何故なのか?
答えは、1回の本震には耐えますので、その隙に逃げてください!
ということです、家が壊れるほどの地震ですから、避難してくださいという考えなのです。
一回目の本震で壊れてしまう?
あなたは、木箱を壊したことがありますか?
釘や、ビスを打ってあっても、何度もギコギコ前後左右に動かすことで、木材部分が割れたり、穴が大きくなって釘や、ビスが抜けてしまいませんか?
耐震住宅でも同じことが起きます。
地震エネルギーが大きいと堅固な金物やアンカーボルトが木材や基礎が割れたり破断することにより抜けたり、曲がってしまうのです。
地震力により割れた梁と筋交い、筋交い金物は捩られ、柱から引き剥がされています。(住友ゴム 制震ダンパー資料より引用)
地震エネルギーにより、柱から引き剥がされたアンカーボルト。(住友ゴム 制震ダンパー資料より引用)
耐震構造は堅固だけど、柔軟性がない
耐震構造は堅固ですが、柔軟性がないので、耐えることは得意ですが、何度も衝撃を受けると弱い部分から破断してしまいます。
でも、それでは困ってしまいます。
そこで考えられたのが、耐震住宅の構造を持つことを前提に、制震、免震効果を持つ住宅の開発です。
「実は安心できない新耐震基準?」
林野庁では、「新耐震基準の有効性が確認されたと考えられています、」という見解ですが、新聞の報道とは違いがあります。
画像:住友ゴム制震ダンパー資料より引用
以下、林野庁のホームページより抜粋
平成28年(2016)年4月に発生した熊本地震は、2回の最大震度7の地震を含め、震度6弱以上を観測する地震が計7回発生し、熊本県を中心に建築物に倒壊などの被害をもたらし、木造住宅等の木造建築物も被害を受けました。
「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会(国土交通省及び国立研究開発法人建築研究所で設置)」の報告によると、旧耐震基準の木造建築物については、新耐震基準導入以降に比べて、顕著に高い倒壊率でした。一方、必要壁量が強化された新耐震基準は、旧耐震基準と比較して、今回の熊本地震における倒壊・崩壊が少なく、その防止に有効であったと認められ、新耐震基準の有効性が確認されたと考えられています。
さらには、新耐震基準導入以降の木造建築物では、接合部の仕様等が明確化された平成12(2000)年以降の建築物の倒壊率が低くなっていました。また、住宅性能表示制度に基づく耐震等級が3の木造住宅には大きな損傷は見られず、その大部分が無被害でした。報告内容の詳細については、以下のリンクをご参照ください。図 木造の建築時期別の被害状況
免震住宅とは
免震住宅とは、「揺れを吸収、相殺する家」のことです。基礎と建物の間に特殊ゴムや鉛、複合素材、可動構造等の免震装置を設置することで揺れを吸収し、建物に伝わる揺れ自体を減らします。
例えるならば、昔のお蕎麦屋さんの出前用カブの後ろに取り付けられた、ゆらゆらと揺れる機械を見たことがありませんか?
それに、お蕎麦を積むと常に平行になっていて、汁がこぼれないのです、
今でいうと撮影用スタビライザーでしょうか、感覚的にはそれと同じです。
免震は地震の揺れを吸収、相殺して、家が揺れないようにします。
免震のメリットは効果が高いのでビル等には多く採用されていますが、デメリットは高額なので一般住宅には多く採用されていません。
また、欠点として免震装置の上に家を造り、可動する構造になっているので、台風の様な強雨風時に家が動いてしまう、設備配管やメンテナンス費用が高くなる、堅固な地盤が必要、構造上横揺れ向きなので、縦揺れに関しては効果が下がる等があり、一般住宅に対しては設置条件が厳しくなります。
制震住宅とは?
制震住宅とは、「揺れを制御する家」のことです。耐震性のある壁の中に、制震装置を設置することで、地震エネルギーの揺れを装置が熱エネルギーに変換して減衰させます。
エルハウスでは住友ゴムの制震ダンパーMIRAIEを使うことが多いです。
メリットとして、何度も繰り返し使えるので、本震の後に来る強い余震にも対応できます。
メンテナンスフリーのうえ設置費用も手ごろというメリットがあります。
二階の揺れを吸収するので、平屋ではあえて設置する必要はありません。
他のシステム同様、強い地盤、強い耐震構造を持つ住宅に設置して、十分な効果が発揮されます。
耐震、免震、制震のイメージを分かりやすく
真ん中の図(耐震構造の場合)
耐震構造のみの場合。
建物は耐震構造で堅固であっても、揺れは直に伝わるために、室内のものは破損します。丈夫な箱の中に豆腐を入れて強く振ったとき、箱は壊れなくても中の豆腐は崩れてしまうのと同じです。
また、建物自体も震度が強ければ構造体が破損します。
地震エネルギーに対して堅固な構造で耐えますが、地震エネルギーを減衰させたり、逃がす構造ではありません
右側の図(免震構造の場合)
免震構造の場合は、住宅の基礎の下に免震装置が取り付けられます、
図の矢印部分が可動することで建物の固有周期を伸ばし、建物が受ける地震力を抑制することによって構造物の破壊を防ぎます。大きな複合素材のバネ状のタイプや巨大な鉛の棒状の物、球体を架台で受けるタイプ等があり、その上に住宅を建築し建物全体が動くことにより地震エネルギーを逃します。
左側の図(制震構造の場合)
向かって左側の図制震構造の場合は、高減衰ゴムで地震の揺れ、運動エネルギーを熱エネルギーに換えて吸収、発散させます。
住友ゴム制震ダンパーMIRAIE(ミライエ)
エルハウスでは制震を導入する場合は、住友ゴムの制震ダンパーMIRAIEを使用しています。
住友ゴムというと有名なのはダンロップのタイヤ、ゴルフ、テニス用品等幅広いですね!
制震ダンパーミライエと耐震構造と組み合わせることにより、地震力を抑制します。
エルハウスでは暖かい家、耐震構造の家は当たり前です。
私は「諏訪・茅野地区に100歳まで生きる住環境を創る!」ことを目指しています。
お勧めするのは、更に制震ダンパーを装備した住宅です。
制震ダンパーの高効果を受けるために、知らないとヤバイこと。
制震ダンパーは地震に対して効果がありますが、正しい知識のもと設置しないと効果が落ちてしまいます。
- 制震ダンパーは耐震構造があって初めて効果を発揮できます、
弱い構造では構造体からダンパーが外れてしまいます。 - 二階の振れを制震するので平屋では必要ありません。
- 設置位置の解析が必要、どこにつけても効果がある訳ではありません。
- 地盤が緩い(弱い)とダンパーが活躍する前に構造体が壊れてしまう。
- 殆どの製品が実際の地震を経験していない、ノウハウ不足。(制震ダンパーミライエは熊本地震での実績があります)
- 殆どの製品が木材にビス止め、数回の地震でダンパーが構造体から外れてしまいます。
- 均等に壁が配置されていない間取り、壁の配置が悪いと効果が発揮できません。
制震ダンパーMIRAIE(ミライエ)はいくら?
住友ゴムの制震ダンパーミライエは、地震の揺れを吸収します。
ミライエは熊本地震での実績もありますし、大手メーカーの製品ですので安心感もあります。
「でも、前島さんそんなすごい物はお高いんでしょ?」
「100万円ですか?200万円ですか?」
とよく聞かれますが、制震ダンパーのメリットは価格が抑えられるという点もあるんですね。
実際、免震構造システムの価格相場は一般住宅1棟(30~40坪)で200~400万円程度と言われています。
対して制震ダンパーシステムの価格相場は高くても100万円程度と言われています。
(24~36坪2階建て、標準的な間取りの住宅で4基使用の場合)
仮に33坪の家なら坪単価約3万円のUPで、制震ダンパーシステムが設置できます。
また、エルハウスでは2020年現在、棟数限定で制震ダンパーを特別価格40万円というキャンペーンをしています。
(24~36坪2階建て、標準的な間取りの住宅で4基使用の場合)
先着で棟数限定ですが、興味がある方はお気軽にお問合せ下さい。
まとめ。制震がコスト、性能面で一般住宅と相性◎
制震、免震、耐震についてのお話でした。
耐震はガッチリ、免震は揺れ自体を打ち消す、制震は揺れを吸収するというイメージですね。
・耐震は今ほとんどの住宅で標準で強化されていますが、一回目の地震への耐久力という点で作っているので、二回目の余震などに不安があるというのがデメリットです。
・免震は地震に対しての効果は高いというメリットがあるものの、設置やメンテナンスのコストが高いというデメリットで一般住宅で採用されることは少ないです。
・制震はコストも手ごろで、効果も期待できるので、一般住宅とは一番相性が良いと言えるでしょう。
エルハウスのある諏訪地方にも糸魚川静岡構造線と呼ばれる活断層が走り、近い将来地震災害が予測されています。
これから家を建てる方は制震ダンパーを採用するのもおすすめです。