こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
一般的な住宅の階段と言いますと、扉を開いて階段だけの部屋というものが一般的ですが、昨今はリビングなどから見えるタイプの階段、オープン階段やスケルトン階段と呼ばれるものも人気になりつつあります。
オープン階段、スケルトン階段に吹き抜けを組み合わせると、ホテルのロビーのようなオシャレな空間があっという間に出来ますね。
オシャレなオープン階段+吹き抜けですが、デメリットは何?と思う方も多いでしょう。
今回はそんなお話です。
オープン階段、スケルトン階段のデメリット①価格
まずオープン階段って何? 普通の階段の壁がないだけじゃないの? という疑問から答えていきましょう。
普通の住宅の普通の階段には階段下収納がある場合が多いです。
普通の階段は階段が一つの箱のようになっているので、箱型階段と呼ばれることもあります。
階段下収納を見てみると分かりますが、普通の階段って、裏はベニヤ板みたいなもので、あまり見栄えはよくありません。
(階段下収納でも見栄えを良くするためにクロスを貼っている場合もありますが)
階段を支える木の構造にしても、通常の階段は構造として支えられれば良いので、裏側の見た目ってあまり気にして作られてはいません。
オープン階段の場合、スケルトン階段とも言われるくらいですから、裏側も丸見えです。
裏側も綺麗に作る必要があります。
また、階段の板を支えるための構造部分も見えてしまいますので、裏側までスタイリッシュに綺麗に作らないといけません。
また、階段の板だけですと落ちると危ないので、手すりを付けるのが一般的です。
やっぱり手すりも丸見えですので見栄えの良いものを付けることになります。
そんなわけでオープン階段は普通の階段より値段が高くなりやすいというのがデメリットの一つですね。
商品によっては普通の箱型階段の倍以上の金額になるものもあります。
オープン階段、スケルトン階段のデメリット②落下と収納
オープン階段、スケルトン階段では蹴込板(けこみいた)と呼ばれる、階段の縦の板の部分がありません。
ですので、小さい子どもなどが階段から落ちてしまう可能性がゼロではありません。子供って階段なんかで遊びたがりますからね。
また、子供じゃなくても、何かものを持って上がる時に落とすと下まで落下してしまいます。
なので、子どもがいる家庭でオープン階段を設置する場合は、落下防止のためのネットなどの対策をする場合もあります。
また、箱型階段の場合、階段下を収納に出来ますが、オープン階段の場合は置いているものが丸見えになってしまいます。
ただ、リビングにオープン階段をつける場合は、そのスペースにテレビを置くという人もいますね。
工夫次第ではありますが、箱型階段にすれば一つ収納庫が増えると言っても良いでしょう。
しかし、空間の有効活用という意味では、リビングの広さを演出するという役割を考えると、決してオープン階段は損というわけではありません。箱型階段の場合、階段の上側の部分がデッドスペースの空間になりやすいですが、オープン階段の場合、リビングの空間を広く感じさせる役割をする空間として見ることが出来ますね。
リビングの開放感を大事にするか、収納力を大事にするか次第でしょう。
オープン階段、スケルトン階段のデメリット③寒い?
オープン階段にすると、1階と2階の空間が仕切り無しでつながるので、暖かい空気が上にいってしまって、冷たい空気が一階に降りてくるという場合があります。
そうは言っても、昨今の家は高気密高断熱の住宅が多くなっているので、あまり寒さが問題になることは少なくなりました。
また、オープン階段はリビングに吹き抜けとセットで作られることが多いので、シーリングファン、天井に取り付ける大きい扇風機みたいな羽で空気が循環するようになっていますので、寒さで困るということは今は少ないでしょう。
むしろ、空気が大きい空間を循環してくれるようになるので、換気の面では良いですね。
そうは言っても、空間が広くなる分、冷暖房が効くまでは時間がかかるのは事実です。
箱型階段にして1階と2階の空間を独立させる方が冷暖房の効きは良いですね。
そうは言っても、冷暖房も昔と違って、かなり広い空間でも問題無く使えるものが増えていますので、あまり気にしなくても良いポイントかもしれません。
吹き抜けのデメリット、価格が高くなってしまう
吹き抜けを作ると開放感があって良いのですが、デメリットとしては価格があります。
吹き抜け部分って、2階には床はないのですが壁と天井はあります。また、工事の時には家の中に足場を組まなくてはいけない場合もあります。
なので、床がなくても金額としては床があるのと同じように見積もる場合が多いです。
部屋がない、床がないのに床面積としてカウントされるって変な気もしますが。
なので、実際には吹き抜けを作ると言っても、予算を抑えるためにさほど大きい空間にはしない場合が多いです。特にハウスメーカーのモデルハウスのようにリビングの大半を吹き抜けにするのは、とても贅沢です。
リビング一つですから10畳としたら5坪です。坪単価50万円としたら250万円です。床のない開放感の空間のために250万円。高いと感じるかどうかはその人の価値観次第ですが、決して安くはないです。
ですので、昨今の流行としては平家で勾配天井+梁見せにするという方法です。
2階建ほどの天井の高さは出ないとは言えど、かなり開放感のある空間を作ることが出来ます。
勾配天井にする場合も、天井裏の配管などの処理が通常とは違うため、オプションで金額がかかりますが、二階で吹き抜けを作るよりはリーズナブルな価格設定になっている場合がほとんどです。
また、先ほどの寒いかどうかという話にも出ましたが、空間が広くなる=冷暖房は多く使うことになります。
理想を言えば、薪ストーブなどの強い暖房器具と組み合わせると、非常に贅沢で暖かい空間が作れますね。
また、近年は、ヒートショック対策(部屋によっての温度差による心筋梗塞などの病気)として、高気密高断熱にすることで家全体を暖めるという考え方も広まっています。
そういう意味では家全体に冷暖房をまわせる吹き抜けは良いという考え方もあります。
リビング階段のデメリット。プライバシーのこと?
リビングに吹き抜けを付けて、そこにオープン階段を設置する。
非常にオシャレな感じがしますね。
また、リビングに階段がある場合、必ずリビングを通らないと2階の自分の部屋に行けないので、家族が顔を合わせる機会が増えます。
ただし、これはメリットでもありますが、デメリットでもあります。
特にお子さんが小さい家ではリビング階段にしたい、家族のコミュニケーションをとりやすいようにしたいという要望が多いです。
しかし、お子さんが成長して高校生くらいの年齢になった時はどうでしょう?
年頃のお子さんの心理は難しいものです。
響きは良いのですが、実際、自分たちが高校生くらいだった頃を思いだすと、自分の部屋は自分の城ですからね。
毎回、部屋に行くたびに親に見られるっていうのも少し考えものではあります。
そうは言っても、私の場合、学生の頃は自分の部屋はリビングの奥でしたが、決して嫌ではありませんでした。
私の実家はマンションだったのですが、その部屋とリビングだけベランダに直接出られたので、ベランダ大好きだった私はリビングの奥の部屋だったんですね。ちなみに、弟は玄関、廊下、自分の部屋という位置だったので、リビングを通らずに部屋に行けました。
ですので、私の場合、恋人を連れてきた時もリビングを通らないといけなかったです。
それに対して、弟は静かに恋人を家に連れて来れるわけですね。
「あんたも、弟みたいに彼女が出来ると良いのにねぇ」
などと母に言われた記憶があります。(弟は割としょっちゅう彼女がいたのですが、私はあまり彼女がいなかったので笑)
「ほっといてくれ、大きなお世話だ」
とは思いましたが、かと言って、
「リビングを通るのは嫌だ」
とは思ったことはありませんでした。
また、私の場合、両親は共働きであまり家にいなかったということもリビングを通るのに抵抗を感じなかった理由の一つかもしれません。
リビングを通らないといけない間取りでプライバシーが心配と言っても、実際は慣れの問題もあります。
リビングを必ず通る家で育てば、子どもも「リビングは通るのが普通」と感じるものです。
ただ、来客時にお風呂に入りに行くのに、リビングを通らないといけないなどの問題があるのは事実です。
家族のプライバシーをどう考えるかでリビング階段はデメリットになることもあります。
まとめ。リビングに開放感を求めるならオープン階段はおすすめ
リビングにオープン階段(スケルトン階段)を設置することについて考えてみました。
最後は価値観の問題になります。
リビングを団欒の空間と考えるか。
実際によく使うのは各自の部屋でリビングは食事をするのがメインの目的と考えるか。
昔の日本の場合、客間は客間としてありましたし、ダイニングテーブルとキッチンだけの空間、床の間など小さい部屋に区切る考え方が主流でした。
これは家の断熱や冷暖房の機能の違いもあります。昔の家で広い空間を作ると、冷暖房がなかなか効かないということがありました。
特に吹き抜け=寒いというのは致命的でした。客間にはソファとテーブルだけあって、普段は使わないという空間でした。
家の性能の進歩と、ライフスタイルの変化、リビングで家族が団欒する、海外のようにお客さんを招いてパーティーがしたい。
そういった変化から、リビングの役割も変わってきたんですね。
もちろん、リビングを広く、開放感を持たせると、その分、収納や他の部屋が狭くなってしまうのも事実です。
御自身のライフスタイル、家族の将来像と合わせて考えるのが良いですね。