ガブリエル・ガルシア・マルケス「エレンディラ」「百年の孤独」

こんにちは、信州ライフ&ハウスWebマガジン編集長のふくだです。
読んでおきたい名作文学シリーズ。
今回は南米はコロンビアのノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスです。

ガルシア・マルケスは文学好きなら絶対に外さない方が良い作家だと思います。そんなに文学が好きじゃないという人は外しても良いと思います。でも、ちらっと知っといても良いかもしれません。
というのも、とにかく特殊で、かなり文学作品を読み慣れていないと全く意味が分からないかもしれません。
別に哲学的な難解な表現が出て来たりするわけじゃないのですが、文学作品の中でもかなりぶっ飛んだ方の部類に入ります。

癖になる南米マジックリアリズム

文学の世界ではマジックリアリズムと呼ばれるジャンルを創り上げた南米の作家です。
日本の作家にはちょっといないですね。南米特有の不思議さです。呪術、幻想と言いますか。

それでも、あえて日本の作家で似ている作家を挙げるとしたら、宮沢賢治、内田百閒でしょう。
漫画家になりますが、つげ義春、水木しげるも雰囲気は似ていますね。つげ義春と水木しげるをまぜて、南米バージョンにしたと言うのが一番分かりやすいかもしれません。
逆に分かりにくいかもしれませんが。

とにかく異色、独特です。
それゆえに世界的に人気があります。

短編で読みやすい「エレンディラ」しっかり長編の「百年の孤独」

ガルシア・マルケスですと、まずはちくま文庫から出ている「エレンディラ」です。
短編なので読みやすいです。
エレンディラは「大人のための残酷な童話」という説明がまさにピッタリですね。

あと、「エレンディラ」は文庫本なので安いです。南米文学は他にもパルガス・リョサなど面白い作家もいるのですが、総じて日本国内で安く手に入る文庫本で出ている本が少ないというのはネックですね。

文庫で手軽に手に入るという意味では「予告された殺人の記録」もありますが、「エレンディラ」の方が個人的には好きです。

そして、頑張りたい人には「百年の孤独」ですね。百年の孤独が厄介なのは文庫が出ていないので、結構良いお値段すること。
そして、ものすごく読みにくい。
読んでも、はっきり言ってよく覚えていないです。誇張じゃなくて本当に。昔読んだからとかじゃなく、読んだ後からどんどん忘れていく(笑)

「それ、ちゃんと読めてないじゃん!」
と突っ込まれるかもしれないですが、僕の中ではそういう小説ってあるんですよ。理解しようとしちゃいけない小説。
(もちろん、間違った読み方かもしれませんが笑)

無理に理解して読もうとすると難しい

例えば有名なところだとカフカの「城」でしょう。あの小説は理解しようとして読んじゃいけないと僕は思っています。
もちろん、学術論文書いたりしようっていうなら話は別ですが、単純に頭の中を通り過ぎる時の感触を楽しむっていう、言うなればビールみたいな文学ってあると思うんですよ。喉ごしを楽しむ、みたいな。強いて言うなら、ウイスキーみたいに、後に残る香りも楽しめちゃう。でも、どういう味かと言うと、よく覚えていない、分からない

カフカの「城」なんかは、単純に理不尽さを楽しむものだと思っています。
何でしょうね、あの理不尽さ。読んでいてすごく理不尽で何だか悔しくなるような。

ガルシア・マルケスの百年の孤独の場合は、あの不思議さですよね。マコンドっていう町の百年の話なんですけど、百年なのに一族が何人出て来るんだ、しかも、アウレリャノばっかり、名前覚えにくい、事件も奇妙奇天烈なことばかりだし。アウレリャノ・ブエンディア大佐、助けてー!
理解しようと思って読まずに、頭の中を流れる世界観を楽しむで良いんじゃないかな、と。

もしかすると、もっとしっかり理解して読む方法もあるのかもしれませんが。
ひとまず、空気を楽しむで良いんじゃないでしょうか。

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ちょっと余談ですが、ガルシア・マルケスは僕にとっては非常に思い出のある作家で、若い頃、僕はガルシア・マルケスを読んで、南米を旅しに出掛けたんです。
と言っても、僕が行ったのは、ガルシア・マルケスの国コロンビアではなく、アルゼンチンだったのですが。

とにかく若かりし僕には、異国の小説、不思議な文体、不思議な世界観、もちろん、実際には南米にそういう世界が実在するわけじゃないんですが。
ただ、そういう世界観の作品が出来上がる大陸を見に行きたかったんですね。

ガルシア・マルケス以外にも、アルゼンチンのタンゴや、美しい風景のパタゴニア、僕を南米に呼ぶものはたくさんありました。

実際に行ってみると、南米って人がものすごく独特なんですよ。
オラ、アミーゴ!
すぐにアミーゴです。
人と人との心の距離感みたいなものが全く違うんです。

アルゼンチンとコロンビアではかなり違うのでしょうが。
それでも、南米大陸、文学のマジックリアリズムを生み出す大陸って、ものすごく不思議で楽しかったです。

正直最初はかなり読みにくいけれど、読んでみたいノーベル賞作家ガルシア・マルケス

ノーベル文学賞作家ガルシア・マルケス。
南米のマジックリアリズム。
他の国の小説にはなかなかない独特な世界が楽しめますよ。
人生で読んでおきたい名作文学の一つですね。