こんにちは、長野県の工務店エルハウスのふくだです。
今回はちょっとマニアックな話で、家の構造で2×4(ツーバイフォー)と軸組在来工法ってどっちが良いの?っていう質問について考えてみようと思います。
メリットについては、それぞれの工法を取り入れている会社がアピールしているところも多いので、今回はデメリットを中心に考えてみましょう。
そもそもツーバイフォーと在来工法とは?
まずはツーバイフォー(2×4)とか軸組在来工法って何?って話からです。
どちらも木造住宅を作るための工法の名称です。
軸組在来工法とは、日本で昔からある家の作り方ですね。
軸、つまり家の骨である柱と、柱と柱を渡る梁(ハリ)、横の木ですね。これで骨組みを作って家を支えるという作り方です。
昔からある作り方ですね。
これに対してツーバイフォーは正式名称、枠組壁工法と言います。
軸ではなく枠で家を組みます。枠というと壁ですね。壁の面、板で構造を作っていきます。もうちょっと正確にいうと、板に2×4インチの角材を打ち付けた構造面材で家を支えます。
ツーバイフォーはアメリカで生まれた工法です。
昨今はツーバイシックス(2×6)材を使って作ることもありますが、ツーバイフォーという響きの方が日本では定着していますね。
日本でも近年、増えてきている工法です。
価格面でのデメリットはツーバイフォー?
まずは価格面からデメリットを考えてみます。
まず単純な材料費を考えていきますと、ツーバイフォーの方が高い場合が多いです。というのも、面材で構造を取るのですが、面材って結構お高いのです。
しかし、ツーバイフォーの方が熟練の大工さんを雇わなくても、比較的簡単に家が作れるので、人件費削減という意味ではツーバイフォーの方が費用を抑えられるとも考えられます。
ツーバイフォーはとても細かくビスの間隔などが決まっているので、そのルールさえ守っていれば、あとはインパクトドライバーで決まったところにビスを打てば家が建っていきます。
とは言っても、やはりツーバイフォーでも内装などは現場で職人さんがやるので、極端に大きく人件費削減ということにはなりませんし、やはり職人さんの腕が良い方が精度の出た良い家が建てられますね。
これに対して、軸組在来工法の方が大工さんの腕が問われます。
昔と違って、昨今は木材は工場ですでにカットされてから現場に届くものの、細かい修正なども含めてやはり現場の大工さんの腕に掛かっています。それでも、工場でプレカットされて木材が届くようになったので、昔よりは大工さんの腕に左右されにくくなったというのも事実です。
それでも、比較すると良い家を作るには在来工法の方が熟練の職人さんが求められると言われます。
ですので、どちらの工法にも金額的なメリット、デメリットはあるのですが、実際には工法による金額差よりも、住宅会社の宣伝広告費や人件費などでの金額の違いの方が影響は大きいです。
ツーバイフォーのデメリット、雨に弱い?
ツーバイフォーのデメリットとして、工事の手順として、最後に屋根が付きます。床、壁、屋根という順番で家が出来ていきます。
なので工事期間中に雨が降るとツーバイフォーは床が濡れてしまいます。
これに対して軸組在来工法では上棟は1日で屋根まで付きます。床→柱→屋根→壁という順番ですね。
在来工法の場合、上棟は晴れの日に1日でやるのでそういうリスクはありません。
ツーバイフォーは元々アメリカで生まれた工法なので、雨の多い日本、特に梅雨の時期ではそういう面では不向きと言われることもあります。
実際の現場では雨に対しての養生をすることで対策をします。
在来工法のデメリット?地震に弱い?
ツーバイフォーは壁の面で構造を取るので、地震に強いとよく言われます。
これに対して在来工法は阪神大震災の時などにも多く倒壊したことから地震に弱いと言われることもあります。
ただ、実際には、阪神大震災の時と今では建築基準法が変わっていて、地震に対しての基準も変わっているので、今の新築の家は在来工法でも地震にはかなり強くなっています。
もっと厳密に言うと、ツーバイフォーは日本に入って来た最初の頃からかなり細かくルールが決まっていたのですが、在来工法は職人さんの感覚でやっていたので、昔はツーバイフォーの方が確実に地震に強い家が建っていたというイメージですね。
今はそれが改善されて、在来工法でも耐震強度の規定などが随分細かく規定されるようになりました。
また、在来工法でも最高クラスの耐震等級3も可能ですので、在来工法なので地震に弱いということはありません。
それでも、近年でも熊本地震の際には在来工法の家で筋交が折れて家が倒壊するという事例もありました。
在来工法はきちんと耐震や構造について正しい知識で設計、建築すれば大丈夫ですが、ツーバイフォーの方がルールが細かく決まっているという意味では住宅会社によって性能、品質が左右されにくいとも考えられます。ツーバイフォーの方が会社、職人によるバラツキが出にくいという面では有利と考えられます。
在来工法のデメリット、気密性が低い?
ツーバイフォーは板で囲っているので気密性が高くて、比較すると在来工法は気密性が低いと言われることもありますが、これは施工方法次第です。
確かに気密性の対策を全くしない状態で在来工法で建てると隙間風が吹く家になります。
ただ、昨今は気密性については各メーカーで工夫しているポイントなので、気密を取るためのシートを使ったり、基礎断熱を採用するなどして、気密性を高めています。
また、断熱性気密性を上げるために在来工法でも全面に板を張るというやり方を使う住宅会社もありますね。筆者の働くエルハウスでも高断熱のラインナップでは外側すべてに板を貼って気密、断熱を上げています。
在来工法でも気密性を上げる方法はありますので、在来工法=ダメというわけじゃないです。
ツーバイフォーのデメリット、自由度が低い?
ツーバイフォーのデメリットとして上がるのが、間取りなどの自由度が低くなるということです。ツーバイフォーはルールが厳密に決まっている上に、工場で部品を作ってから出荷するという作り方が多いので、作りに制限があるということがあります。
一番、よく言われるのが大きい窓が付けにくいということです。面で構造を取りますので、大きい窓=面が欠けてしまうので構造として出来ないんですね。
契約して間取りを詰めて行く段階で意外と制限があるということでガッカリする人もいるようです。
とは言っても、普通の一般住宅を建てる上で困るような制約はないので、そこまで困るということは少ないでしょう。
また、似たようなことで、あとからリフォームしにくいということも言われます。
比較すれば在来工法の方がリフォームは楽です。ツーバイフォーはビスでがっちり止めてしまっていますし、壁で構造を取っているので外しても大丈夫な壁の判断が難しいです。それに対して在来工法は柱や筋交は目で見て分かるので分かりやすいです。
また、一般的にほとんどの大工さんは在来工法は慣れていますが、ツーバイフォーについては不慣れという大工さんもいます。特にツーバイフォーの構造に関して詳しい大工さんはあまり多くないんじゃないでしょうか。やはり日本だと在来工法が多数派です。
とは言っても、ツーバイフォーだから絶対にリフォーム出来ないということはないです。
比較すれば在来工法の方が昔から日本にある工法なので、大工さんたちも構造が分かっているので、リフォームがしやすいというイメージですね。
まとめ。どちらの工法も
ツーバイフォー(2×4)と在来工法のデメリットを考えてみました。
どっちの工法が優れているかというのはなく、それぞれにデメリットがあります。
ただ、そのデメリットを抑える方法もそれぞれありますし、メリットもあります。
ですので、どちらの工法だから絶対に良いということはありません。
どちらかというと好みの差でしょう。インパクトドライバーとネジで組み立てるプラモデルみたいなツーバイフォーの家は嫌だと感じる人もいますし、逆に海外から輸入された新しい工法、規格化された安定感のある工法だからツーバイフォーは良いなと感じる人もいるでしょう。
実際には工法で比較するより、自分がどういう家を建てたいか、また、お願いする住宅会社の方針や得意なことで比較する方が現実的でしょう。