信州ライフ&ハウスWebマガジン編集長のふくだです。
人生で読んでおきたい名作文学シリーズ、今回は大江健三郎です。ノーベル文学賞作家ですね。
「万延元年のフットボール」「個人的な体験」が有名です。

「万延元年のフットボール」ノーベル文学賞の決め手になった作品

「万延元年のフットボール」は大江健三郎がノーベル文学賞を取るときに一番高評価で決め手になった作品と言われています。

文学作品のあらすじを書くのは野暮ったいので、省略します。
とりあえず、妻はアルコールに浸っていて、友人は頭を朱色に塗って肛門に胡瓜を突っ込んで自殺していたというところから始まり、四国の山奥の村に行き、そこでのアレコレの話です。

まず、大江健三郎の文章は最初、すごく読みにくいです。とても違和感があります。ただ、その違和感が段々とクセになるのが魅力でしょう。

万延元年のフットボールは入りがとにかくキャッチーで良いです。大江健三郎だなー、って感じの入りで。あらすじで書いた通り、友人が頭を朱色に塗って、肛門に胡瓜をさして自殺するところから入っていきます。
大江健三郎的で良い入りです。大江健三郎を初めて読む人でも、「何事だ?何が始まるんだ?!」ってなりますね。ここから何が始まるんだと心くすぐられる入りです。

「個人的な体験」読みやすい長さ、秀逸

ただ、この大江健三郎的良さは初めての人にはハードルが高い場合もあります。特に「万延元年のフットボール」は長編なので、大江健三郎に慣れていない人は「個人的な体験から入る方が読みやすいかもしれません。
僕個人としては「個人的な体験」って本当に秀逸な小説だと思っています。

個人的な体験は、主人公に初めての子どもが産まれるのですが、障害があることが分かり、主人公はその子どもを殺すべきく悩みます。昔の恋人と悪さしたりしつつ、アレコレ悩むという話です。
これも、大江健三郎的なタッチで綴られます。
この作品も入りが良いですね。主人公、バードがアフリカの地図を見ているところ。良いですよね。

特に若い頃、大人になるってどういうことだか分からない中で読むと、ビリビリっと来ます。

人間が大人になる瞬間、男が父親になるとはどういうことか。
大江健三郎独特のタッチで描いています。
とにかく綺麗事なしで、いくらかグロテスクなまでに書くのが大江健三郎的な良さですね。

なので、嫌いな人は嫌いでしょう。

YouTubeで見られる家づくり勉強会

「芽むしり仔撃ち」も手ごろな長さで楽しい

大江健三郎の読みやすい長さの小説としては「芽むしり仔撃ち」なんかも読みやすいですが、やっぱりこれも大江健三郎的で、好き嫌いが分かれる小説です。
僕は好きでした。大江健三郎っぽい感じが強くて良いです。

でも、大江健三郎で一冊選ぶとしたら「個人的な体験」じゃないでしょうか?
個人的な体験を読んでみて気に入らなければ、「大江健三郎はもう合わない」で良いかもしれません。

まとめ。ノーベル文学賞作家はやっぱり読んでおきたい?

こうしてあらすじを書いていくと、かなりヤバい小説ばかり書いている大江健三郎のようですが、まあ、ある意味では合っているのかもしれません。

大江健三郎が「個人的な体験」を書いて出した時には三島由紀夫なんかにも批判されたそうです。

ただ、「万延元年のフットボール」については、スケールが大きい
個人的な体験、芽むしり仔撃ちと比較すると、扱おうとするテーマ、世界が大きいんです。
それが必ずしも良いことではないのですが、小説家、文章家として、大きいテーマを扱うって難しいんですよね。

少し余談ですがドストエフスキーがなぜ世界的に見て他の有名な小説家よりもワンランク上の位置に評価されるのかというと、ここでしょう。扱っているテーマが大きい罪と罰人間の心の一番核心的な部分キリスト教という大きい共同幻想一個人の正しさを書いていますよね。扱うテーマが大きい。カラマーゾフの兄弟もそうですよね。
トルストイ戦争と平和は、実は僕は挫折してしまっていますが、やはりこちらもテーマのスケールが大きい。
いくらか歳を取ったし、そろそろ改めてのんびり読んでみても良いのかなと思ったりしつつです。

そういう点で考えると、大江健三郎で人生のうちに読んでおきたい名作と言うと、やはり「万延元年のフットボール」になるんでしょうか。
単純にノーベル文学賞の選考の際に高く評価された作品だから、というのもありますけど。

と言いつつ、僕は「個人的な体験」の方が好きです。
端的で鋭く書きたいことを描写している、まとまっているというのが理由です。単純に読みやすい、分かりやすい、おもしろい
実際、国内では、大江健三郎=個人的な体験じゃないでしょうか。万延元年のフットボールももちろん評価は高いですが、やはり長い作品って読んでいる人が少なくなるせいか、個人的な体験の方が実際に読んで好きだったっていう人は多いように思います。

まあ、お堅い文学論は無しにして、ノーベル文学賞作家の大江健三郎。
やはり人生の間に読んでおきたい作家のひとりです。

松本諏訪地域で良い家をコスパ良く建てるならエルハウス
タイトルとURLをコピーしました