
建築士が徹底解説!「能登半島地震」建物の被害状況や倒壊の原因を分析してみた結果
諏訪地域、松本地域、伊那地域の工務店の池原です
現在の建築基準法の構造であれば 倒壊は・・。人命は守れます
震災の被害状況はここにあげ切れないほどです。輪島で有名な朝市の街は、悲惨というかきっと戦後はこんな状況だったのかと想像ができるほどです
建築士が徹底解説!「能登半島地震」建物の被害状況や倒壊の原因を分析してみた結果
今回は建築士として、建物の状況について私の見立てから報告いたします。あくまでも、私の見立てに基づいた解説です。
既に建築物の調査は終わり、張り紙の色によって倒壊、危険、半壊など分けられています
木造住宅には「筋違」という、建物の変形を抑えるための木材が使われていますが、この筋違が座屈をしています。(折れる)これは上の階、3階建の家の重量に堪えられない、もしくは、筋違の位置(バランス)が悪く、一方向の揺れにしか堪えられない。
また、片筋と呼ぶ、タスキではない状況、つまり筋違が不足していることを伺えます。
写真からはわかりませんが、実際に壁の内部に手を入れ、筋違がタスキに配置されているのかを確認しました。片方しかない、方筋っていうことです。これでは揺れに対して、一方向しか支えることができません
筋違、柱、土台の緊結が ほぞ 釘締めでしかないことがわかります。これは1981年以前の旧耐震基準です。現在の基準法では必ず、金物、ボルトで土台、筋違、柱の固定を行っています。
典型的ですが、3階建てとした時に下の階、真ん中の階、最上階と外部の壁の位置があっていないことから、家自体のバランスが悪く押し潰されています。
もちろん3階という重量に対して、1階部分の壁が不足しているという可能性もあります。
直下率=柱から柱へと力が伝わるようにすることで、倒壊を防ぐことも可能です。
実際に真四角の形状の建物は、3階、2階建てであっても、倒壊までには至っていません。
幸いというか、狭小地のため家を真四角にしか設計することができなかったために、倒壊は逃れています。とはいえ、倒壊の危険はあります。住める状況ではありません。
ただ、倒壊しないことで人命は助かると考えます。
1階分を倉庫、駐車場として空間設けているような住宅は、半壊以上の被害を受けています。
支えている柱が細い。基礎部分があったのかどうか?
おそらく安易な増築をされたのでしょうか。この部分は水周りのキッチンですね。
増築された家であると推測されます(外壁の材質が異なることから)。揺れによって増築部分がもげ落ち、潰れているようです。増築部分の1階部分が車庫なのか倉庫なのか、または空間だったのかは不明ですが、新しく増築すると家全体のバランスが崩れ、倒壊に繋がったと考えられます。
基礎部分も、開口部が弱いことがわかります。揺れを受けると弱い部分から崩壊します。
地窓の種類から想定すると昭和40、50年代に作られた基礎だと推測をします。外壁だけリフォームをされています。
設備機器も油断は禁物です。
エコキュートも、足元へのボルトの固定しか行われていません。
本来ならそれに加えて、壁にL字型の金物で固定も必要です。固定をしないとまともに倒れることがわかっています。
松本地震の時に、家の損傷はなくともエコキュートだけが倒れてしまったという事例があります。
輪島市から少し離れた内灘町です。海の埋め立て?から干拓地です。
液状化の被害が酷いです。道路は問題ないですが、わずかに傾いている。ですが宅地内の隆起というか
液状化から地形が変わってしまい、とても家に入ることもできません。
ここから数十メートル離れている、高台の土地は全く問題がない状態でした。