赤十字社災害救護研究所の栗栖茜先生と、災害時の避難所環境の改善について話をした結果
諏訪地域、松本地域、伊那地域の工務店の池原です
目次
真冬の体育館の避難は、低体温症のリスクが高まる!
災害時に多くの人が集まる避難所となる場所といえば、体育館や公民館などです。しかし、真冬の避難では体育館の底冷えが避難者にとってさらに過酷な状況を生み出し、低体温症のリスクが高まるといいます。山岳遭難でも、疲労困憊から低体温症で命を落とすケースが少なくありません。
通常の居住空間では、自身の体から発生する熱が壁などに囲まれた空間で保たれますが、広い体育館ではその効果が十分に得られないようです。
赤十字社災害救護研究所の栗栖茜先生から電話が入りました
そういった、避難者の避難先の環境などの改善に努める 赤十字社災害救護研究所の「栗栖 茜」先生から、「断熱・気密について調べている間に、エルハウスのホームページを見つけて話を聞かせて欲しい」と電話をもらい、お会いする機会をいただきました。
真冬の体育館での避難には改善が求められています
阪神淡路大震災や東日本大震災を経て、避難時の実情やプライバシー確保の教訓から、段ボールでの囲いを活用したことで避難所の環境は大きく改善されました。しかし、真冬の体育館では依然として低体温症のリスクが残り、さらなる改善が求められています。
災害時の避難所環境の改善に向けた取り組みが進められています
段ボールには空気層があり、床にそのまま寝るよりも段ボール1枚を敷くだけで寒さを和らげる効果があります。実際に阪神淡路大震災での災害救助時には、被災者だけでなく救助者も寝る場所がなく、直接床で寝ざるを得ない状況がありました。この経験から、災害時の避難所環境の改善に向けた取り組みが進められています。
80歳医師の趣味は「登山」!
私は住宅の断熱事情についてしかお話しできませんでしたが、それがお役に立てたのかどうか少し気がかりです。
ただ、栗栖先生は山登りがご趣味で、80歳になった今も奥様と一緒に登山を続けているそうです。とてもすごいことですよね。私もその年代になっても登れるのだと、勇気をいただきました。
『アコンカグア山頂の嵐』という本をプレゼントされました
訪れた時間の大半は、山登りの話で終わったように感じます(笑)。
八ヶ岳での遭難者の話など、医療従事者の視点から聞くお話はとても貴重でした。1時間ほど話をした後、帰り際に「山に登るなら君にこれを差し上げる」と一冊の本を手渡されました。それは『アコンカグア山頂の嵐』という題名の本でした。
アコンカグアというと、南米大陸の最高峰の山。先日も偶然この山への登頂動画をYouTubeで見たので、名前は知っていました。
「ウィキペデア 引用」
「先生が登った記録ですか?」と尋ねると、「いや、1944年の登頂記録だよ」とおっしゃいました。まだ2、3ページしか読んでいませんが、低体温症や高山病と闘いながらの登頂の記録が書かれています。なるほど、山での病と避難所で起きる病気には共通点があるから、先生はその研究をされているんだなと勝手に納得しました。
びっくり!先生は元外科医で医学博士であり、「海山社」という出版社も運営されていた
ふと本の表紙をよく見ると、この本は翻訳書であり、翻訳者は「栗栖 茜」と記載されています。スペイン語からの翻訳でしょうか。後で分かったことですが、先生は元外科医で医学博士でありながら、「海山社」という出版社もご自身で運営されている方でした。
今年の1月、スキーのバックカントリーで大怪我をし、現在もリハビリ治療中です。山に登り始めて3年目、建築の世界に入って27年目。何かを続けているからこそ、天から「こういう人に出会って学べ」という声がかかったように感じます。「今のお前に必要なことだよ」と言われたような気もします。
天の導きと、この出会いに感謝しつつ、いつか一緒に山に登れる日が来ると嬉しいです。