自転車旅で本当に死にかける時って?【福田の南米の思ひ出6】
こんにちは、エルハウス福田です。
福田の若かりし日々の自転車の思い出をつづるシリーズ、
今回は南米編その6です。
今回は死にかけた時のお話です。
「海外を自転車で旅するなんて、実際のところ、危なくないの?」
と聞かれることは多いのですが。
案外、大抵の場所は安全です。
もちろん、日本と比較すると危険もありますが。
でもね、どんなところでも、人間が住んでいるところは人間が住んでいるんですよ。
赤ちゃんや子どもだって生きていってるんです。
まあ、何とかなりますよ。
怖いエリアはありますけどね。
それでも、本当に死にかけたこともあります。
僕が死にかけた前の夜。
トレリューという町から、コモドロリバダビアという町に向かう道中のことでした。
約400km。東京~大阪間が約600kmです。
400kmというと遠いと言えば遠いのですが、
まあ、パタゴニアなんかはまったく信号もないですし、緯度も高いのでお昼の時間が長いので、なんとかなる距離だと思いました。
さらに、地図を見ると、途中に町の名前があったんですね。
「1日じゃたどり着けないけど、せいぜい2日あればたどり着けるだろう」
なんて思って、トレリューを出発しました。
まあ、これがたどり着かないんですよ。
パタゴニアなのでとにかく風も強い。
自転車が進まない。
そして、途中の町だと思っていたところは、廃墟みたいになっていて、野良犬が走り回っている。
また、暴風の中を走ると、唇が乾いて喉がかわくんですよ。
そして、最初の写真が二日目の夜というわけです。
もう、水もないですし、食料もきちんとしたものが無い。
喉が渇く。
でも、眠るより他ないのです。
野宿でとにかく困るのが水です。
自転車を一日中走らせると喉も乾きます。
2リットルくらいは水を飲みます。
さらに、テントでパスタゆでたり、コーヒー沸かしたりしていると、あっという間に水は減ります。
1日+1泊+翌日走るとなると3リットルくらいは使うわけです。
そして、自転車の装備として、2リットルの水のボトルって、重いのもありますし、かさばるので。
せいぜい、多くても6リットルくらいまでにしときたいんです。
つまり、最初から2泊とわかっていれば、問題なくても、1泊の予定が2泊になって、途中で水を補給できない。
これ、詰んでしまうんですね。
乾いている私。
やばい。
困った。
結構深刻にこまっています。
なんで写真なんか撮っているのかというと、心折れて休みながらも、写真なんかを撮って気を紛らわせながら進んでいるわけです。
人間って、結構、ご飯は我慢できるんですけど、水は半日我慢するのでも結構厳しいです。
特に半砂漠の乾燥地域の暴風の中ですから、どんどん乾いていく。笑
でも、まあ、実は水だけでは死なないんです。
・水がなくてふらふらしていて、
・暴風が吹き荒れていて
・大型トラックが時速100kmで横を走り抜ける(日本レベルじゃない大型トラック)
この条件が重なると、真横をトラックが走り抜ける瞬間、風がやむんです、
そして、通り過ぎた後、暴風で体ごと道路の方にひっぱられます、
うしろからもう一台トラックがきます。
思い切って、道路の反対側に向かって走り抜けて、何とか死ななかったですが。
本当に死ぬかと思いました。
そして、のどが渇いて、もう、どうにもならなかったところと合わせて、心が折れて。
道路脇でうずくまって倒れて、動けなくなってしまったわけです。
「今回ばっかりはやってしまったなー、もう死んじゃうなー」
「ピューマに食われるとか、ギャングに襲われるとか、病気になるとかじゃなくて。水の計画ミスって、ダンプにひかれそうになって、それきり倒れちゃうなんて、これが現実かー」
「ドラマ性ゼロだなー」
「日本って平和だったなー」
「もう動けないけど、少し休んだら目を開けたら動けるようにならないかなー」
そんなことを思っていると、車がとまってくれました。
「おい、大丈夫か!!」
そして、その男の人は水筒の水とおかしをくれました。
その後も1台がとまって、水とおかしをくれました。
何だかね、水がなくなって動けなかったというのもありますし、
死にかけた恐怖もあって動けなかったこともありました。
水をもらえたから、動けるようになったのじゃなく。
助けてもらえた温かみ、見ず知らずの人間を、半砂漠の地平線の中でくたばっている小汚い異国の人間を助けてくれた暖かみで動けるようになったんだと思います。
トレリュー以降の本格的なパタゴニアでは、次の町まで数百キロがザラになります。
まあ、本当に何もない。
特に日本語どころか、英語を喋れる人もほとんど居ない国だから、寂しいものですよ。
でも、死にそうになっていたら、助けてくれて、何ていうか、人間の暖かみというか、何でしょうね。
人間ばんざいって。
人生に絶望していた僕は、パタゴニアで本当にいろんなことを学んだように思います。
次回は何を書きましょうか、まあ、また続きを書きます。
次回もお楽しみに。
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