住宅ローンとふるさと納税の併用は可能?ワンストップ特例制度を含む控除方法と注意点を解説 – 2023年版
所得税の年末調整が迫るこの時期、ふるさと納税で節税の対策を考えている方も多いのではないでしょうか。
エルハウスでも、先日、ふるさと納税についての勉強会を行いました。
ふるさと納税は、地方創生を支援するための制度であり、寄付と引き換えに税金を削減することができます。
税金から直接控除がもらえる制度なので、ふるさと納税による税金の節約効果は大きく、ぜひ利用していただきたい制度です。
しかし、仕組みが複雑で、税金の還付に失敗してしまうケースが多いのもこの制度のようです。
特に、ふるさと納税を行う年に転居を考えている方や、住宅ローン控除の申請初年の方には、注意点があります!
今回の記事では、「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」を上手に併用活用するべく、その仕組みを理解し、適切な手続きを行うための情報をお届けいたします。
目次
ふるさと納税とは?制度概要と計算例
ふるさと納税制度制定の背景
大都市圏に人口や経済活動が集中する一方で、地方の人口は減少し、経済活動も衰退。
この状況を改善するために、国は地方自治体への寄付を促進し、地方の活性化を図るためにふるさと納税制度を創設しました。
しかし、2008年の制定当初は、寄付金が思う様に集まらず、そこで、寄付者にはお礼の品を渡すという取り組みを開始してから、寄付金が集まり始めた、という経緯があります。
寄付先=「自分のふるさと」という想定で創設された制度でしたが、今では魅力的な返礼品によって寄付先を決める形になっています。
(画像:総務省HPより)
ふるさと納税の制度概要
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付を行い、その寄付金額を一定の範囲内で所得税や住民税から控除できる制度です。
寄付した自治体からは返礼品が送られてくることが多く、ふるさと納税に関する便利なポータルサイトから選ぶ形が増えています。
また、寄付したお金は、2000円の自己負担金を除いて、所得税や住民税から控除されるという、節税効果があります。
詳しくは総務省のふるさと納税サイトで確認いただけます。
ふるさと納税の節税効果
ふるさと納税制度は、「税額控除」といい、所得税と住民税から直接税金の額を減額してもらえる制度ですので、節税効果がとても大きいものになります。
「税額控除」とよく間違えられるワードに「所得控除」があります。
この所得控除は、税金計算される計算対象の金額を減額する制度です。
社会保険料控除をはじめ、配偶者控除、扶養控除などが「所得控除」に当たります。
(画像:総務省HP)
\ココがチェックポイント!/
ここで、ふるさと納税の節税効果の大きさをみてみましょう!
例えば、7万円分の節税を狙うために必要な所得控除金額は、ざっくり税額20%の方だと、7万円÷20%=35万円の「所得控除」が必要となるわけです。
35万円の「所得控除」といえば、扶養控除が38万円なので、家族の中に1人扶養控除対象者が増えたというくらいの節税効果になるわけです。
実際に扶養対象者がいれば、生活費も嵩むところですが、ふるさと納税には2000円しか実質負担がありませんので、相当の節税効果があるというイメージをしていただけるのではないでしょうか。
このように、ふるさと納税は「税額控除」ですので、直接税金を引けるため、とても大きな節税効果となります。
ふるさと納税額の計算方法
ふるさと納税では、実質2000円で返戻金を受け取れ、2000円を超えた金額については税金の還付が受けられるというメリットがありますが、人によっては寄付金額の上限があり、その計算を正しく行って寄付をしない場合、2000円を超えて自己負担額が発生してしまうケースがあります。
ふるさと納税の各ポータルサイトで上限額計算を行なってくれるシミュレーションシステムもありますが、税理士法人MMIのサイトが源泉徴収票や確定申告書の書式をそのまま入力すればよい形で、わかりやすかったのでご紹介します。
(参考:税理士法人MMIのふるさと納税シミュレーションページ)
計算例として、
年収約600万円、扶養配偶者なし、小学生扶養1人、の人の場合、ふるさと納税の寄付額上限額は8万円ほどになりました。
ちなみに、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)を1人増やすと、寄付上限額は7万円弱になりました。
このように、扶養家族の人数や年齢によっても金額がかわるので、条件は正確に入力しましょう。
注意することは、昨年の源泉徴収票や確定申告書を使う場合、昨年から大きく今年の年収が変わっていると想定される場合や、お子様の年齢によって扶養区分が変わる場合は、それを加味したものにするということです。
扶養区分は、こちらのサイトがわかりやすかったです。
ワンストップ特例制度とは?
特例制度の概要
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税を行った際に確定申告を省略できる制度です。
会社員など、確定申告に縁のない人が、ふるさと納税を利用しやすくするために設けられた制度で、ある条件を満たす方は確定申告をせずにふるさと納税による税金還付を受けることができます。
ワンストップ特例制度の利用条件
この制度を利用するためには下記の条件に当てはまる必要があります。
- 年間のふるさと納税の寄付総額が20万円以下であること
- 寄付を行った自治体へ翌年1月10日までに「ワンストップ特例申請書」を提出すること
- 寄付を行った年度中に所在地が変わらないこと
- 年間に寄付した自治体が5以下であること
- 年収2,000万円を超える所得者ではないこと
- 医療費控除など、他に確定申告が必要な場合ではないこと
ここで、新居づくりに関わる方への注意点が出てきました!
上記の赤文字のところです。
まず、新居への転居には住所変更(所在地変更)が必須ですよね。
そのため、新居へのお引越しをされる年に関してはワンストップ特例制度は利用できません。確定申告をする必要があります。
また、住宅ローンを組んだ方については、初年度のみ、確定申告にて住宅ローン控除の申請を行わないといけません。
したがって、上記の「他に確定申告が必要な場合ではないこと」に当てはまらなくなってしまいます。私も失敗してしまったことがあったのですが、給与以外の収入があった年に、確定申告をおこなったため、ワンストップ特例制度が適用されずに、ふるさと納税の税額控除が受けられなかった!という事がありました。
とても便利な制度ですが、正しく利用しないと、ただ寄付をして税還付を受けられずに失敗してしまう落とし穴がありますので、注意して利用してくださいね!
住宅ローン控除とは?
さて、上述した「住宅ローン控除」、ご存知かとは思いますが、とふるさと納税との関係を比較しつつ、制度の概要を見ていきましょう。
住宅ローン控除は正式名称を「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」といい、個人が住宅ローンを利用してマイホームの新築や取得、あるいは増改築などをしたときに、一定期間(最長13年間)にわたって、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を上限として所得税から控除する制度です。
所得税で引ききれなかった税金還付は、翌年の住民税から引くことができます。
ふるさと納税制度と同じく「税額控除」なので、支払うべき税金から直接控除ができる、節税効果の大きな控除制度です。
ただし、利用するための条件が2024年から変わりますので、詳しくは国土交通省のページなどで詳細を確認してください。
また、源泉徴収で納税している方でも、初年度のみ、確定申告が必要になります。
2年目以降は、会社の年末調整にて申告が可能になります。
住宅ローンとふるさと納税は併用できる?
結論、併用できます!
ただし、住宅ローン控除は上述の通り、所得税で引ききれなかった部分に関しては住民税で引くという制度ですので、そもそも納める税金が住宅ローン控除で全て控除されてしまった場合には、ふるさと納税をしても、寄附金控除をうけられる原資がなくなってしまいますので、そこは注意しなければいけません。
また、ふるさと納税は所得税からも一定額が控除されるため、現在、所得税額が住宅ローン控除で0円という場合には、ふるさと納税での節税効果はない?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、控除の順は「ふるさと納税」が優先され、その後に「住宅ローン控除」が所得税からの控除として適応されますので、心配は要りません。
税額控除されたかチェックしたい時は?
来年の春、住民税の通知書が来たら、摘要の欄に「寄附金税額控除額: 〇〇円」と書かれてありますので、その金額を確認します。
この金額が、【ふるさと納税で寄付した金額-2,000円】となっていれば、問題なく控除がおこなわれています。
まとめと注意点
ふるさと納税の概要から、住宅ローン控除との併用までを見てきましたが、いかがだったでしょうか?
最後に大事なことを箇条書きにしますね。
- ふるさと納税の上限金額をチェックすること
- ワンストップ特例制度の利用条件を確認すること
- 申請期限を守って申請を出すこと
ふみねぇお気に入り情報
最後に、私個人的におすすめな情報をシェアしますね!
各自治体が返礼品を登録している一般的なポータルサイトとは違い、産地の生産者が直接返礼品を登録している「ポケマルふるさと納税」。
生産者に直接繋がれることで、輸送費などの中間マージンが削れて、より品質の良いものが手に入ります。
また、クレジットカードで納税品のお支払いをするのもおすすめ!
私は楽天カード を使っていて、1%のポイント還元があります。
取り戻せる税金は賢く取り戻して、望む人生を生きるための資金にしていきましょう!
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