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さよならアフリカ、Someday Next Time!【福田のアフリカの思ひ出18】

こんにちは、エルハウス福田です。
福田のアフリカの思ひ出シリーズ。
とうとう最後の町ウィントフックに到着しました。
とうとうアフリカ編、最終回です。

過去のお話はこちらから

大都会ウィントフック。
ナミビアの首都ですね。
完全に普通の町です。
アフリカ感ゼロです。

自転車の旅をすると思いますが、まあ、こんな自転車一台で大陸っていうのは意外と横断できてしまうものなんだな、としみじみ思います。
出発前に地図を眺めている時にも、
飛行機でアフリカに到着して感動と絶望を感じている時にも、
走っている時にも、
そして、帰国して、普通の生活をしている今でも、
自転車一台で大陸を横断出来てしまうっていうのは、なんとも不思議で信じがたいものです。

でも、まあ、実際にはすごく簡単なことで、ペダルをこぐ、食べる、寝る、その繰り返しだけなんですけどね。

まあ、最後の町の到着というのは、実に不思議な感動があります。

ヒルトンホテルのラウンジでコーヒーを飲む。
アフリカとは思えない写真。

ウィントフックから南西のナミブ砂漠には、レンタカーで行くことに。
自転車もボロボロでしたし、僕もボロボロ、飛行機までの日数も微妙、
何より、砂漠を走るっていうのは本当に大変で、
僕の心はもう折れちゃってたんですね。

アフリカが終わって、最後の町、大都会の町にゴールして、
そこから砂漠に向かって走ることは出来なかったんですね。

2万円ほどでスカイダイビングができるということで、
ナミブ砂漠にスカイダイビングも。

人生最初で最後のスカイダイビングでしょうね。
スカイダイビングって、ものすごく乗り物酔いするんですよ。
私が自転車で旅した理由の一つに、他の乗り物だと乗り物酔いするからというのもあります。

でも、すごく感動しましたよ。
ナミブ砂漠のスカイダイビングおすすめです。

砂漠のレンタカーの旅は、宿で知り合った日本人のお二人と。
手前の青年は、浅草の超老舗つくだ煮屋さんの跡取り。
大学を卒業したら、つくだ煮屋を継ぐからということで、大学のうちに100以上の国を旅行しているすごい青年でした。
(ちなみに、今はつくだ煮屋の若旦那してます。すごく美味しいです。)
奥の女性は、生粋の旅好き。やっぱりいろんな国を旅していました。
写真真ん中で一番目立っているのはMr.ジェフリー。
レンタカーの運転手さん。気のいいおっちゃんでした。

砂漠の砂でごろごろ転がって遊んでいたら、一眼レフのレンズが傷付いて、さらに中に砂が入って壊れてしまいました。
砂漠で遊ぶ時は一眼レフは気をつけましょう。


さて、楽しいのは楽しいのですが。
心にぽっかりと穴が空いたようなところがありました。

旅の終わりっていうのは、旅をした人にしか分からないのですが、
とても寂しいものがあります。

旅しているときには、
「あー、こんなアフリカ、もう勘弁してくれ! ハンバーガー食いてぇぇええええ!!」
なんて叫びまくっていても。
(実際、ウィントフックに到着してハンバーガーショップには何回も行ったのですが。南アフリカのハングリーライオンっていう店、美味しかったなー)
「もう下痢は嫌だー!」
「謎の虫に噛まれて首がはれている!」
「朝から黒人にボコボコにされるなんてありえねぇぇえええ!」
まあ、いろいろあるんですけどね。

旅を住処にするというのは、とても快適なんですよ。
特に自転車の旅っていうのは、本当に最高で、自分の好きな時間に自分が好きなだけ進んで、テントをはって眠る。
これよりも、素晴らしいことはないと僕は今も思います。

生きるのに本当に必要なもの以外は持たない。
確かに便利じゃないです。
不便です。
でも、そのくらいが一番、過不足ない。

そんな旅の日々が終わるんです。

そして、僕はナミブ砂漠には自力では行けなかった。
レンタカーを使ってしまった。
あそこは、自転車で行ったら本当に素晴らしい孤独が待っていただろうな。
それがどこか心残りでした。

帰国の飛行機を待ちつつ、少々切ない気持ちを抱きつつビールを飲む日々でした。

そんなある日、白髪のおじいさんの自転車乗りが現れます。
名前はフランク。フランス人。
年齢は50代前半と、意外と見た目より若かったです。
とは言え、そこそこ良い年齢です。

話してみると、彼は砂漠を自転車で越えて来ていました。
南アフリカからスタートして、次はボツワナ、象地帯に行くということです。
すぐに打ち解けて仲良くなりました。

「象にはペッパースプレーが効くらしいんだ!」
「ペッパーってコショウのこと? 象にそんなもの効かないでしょ?!」
と二人で笑いながら町へペッパースプレーを探しに。

「ねえ、フランクは結構な良い年齢だけど、ずっと自転車で旅をしているの?」
「そうだね、年に数ヶ月ほど、毎年どこか走りたいところを旅しているよ」
「フランスにいる時は何の仕事をしているの?」
「この前までは印刷工場で働いていたよ。何かの仕事があれば、それをやって。そして旅に出るんだ」
「そうか、すごいな。僕は今回の旅が終わったらおしまいかな。そろそろ結婚もするだろうし」
「結婚はすごく良いことだよ」

フランクも結婚していた頃は10年ばかり走らない時期もあったようです。
でも、奥さんと死別して、また走るようになって今に至っているようです。

「でもね、もう旅が終わりで、もう旅には出られないのかなって思うと、すごく悲しいんだ。それなのに、僕は砂漠には自転車で行かずにレンタカーで行ってしまった。日本人は働くのが大好きだからね。自転車で海外を旅する=仕事をやめないといけないし、一回仕事をやめると、仕事を探すのがすごく大変なんだ。セカンドチャンスが少ない国なんだよ」
「大丈夫さ。本当に走りたいところには、またいつか必ず行くさ。Someday next timeさ!! 僕も妻がいた頃には旅はしなかった。でも、それも素敵な時間だった。家族と過ごせる時間って素敵だよ。そして、今はまた自転車で走っている、それも素敵さ。だから、大丈夫。本当に走りたいところには、またいつか次の時、行けるよ」
「サムデイ、ネクストタイムか。僕にもあるかな?」
「大丈夫、何歳になっても行けるよ」

日曜日でお店が空いていなかったので、ペッパースプレーは見つかりませんでした。


20代の僕にとって旅っていうのは、どこかガツガツしたもので。
危ないところに行く、いうなれば冒険的な要素の強いものでした。
自分自身が楽しいということもありました。
遠く離れていて、カルチャーが違うほどに、その土地に住む人々の考え方、暮らし、住まい、食べ物、全てが違って、その中で生き抜くこと、人の優しさに触れること。

そういった自分自身のための楽しみという要素も強かったんですが、どこか誰かに自慢したい部分っていうのもあったんだと思います。

でも、旅って、もっと根本的な部分で楽しむもので。

このフランク老人にしても、僕の自転車の師匠S老人にしても、純粋に自分自身のために走り続ける、
自分が行きたいところに、行きたいように行く。

別に競争じゃないんだから、本当に自分が行きたいと心に願い続ける場所には、Someday next timeなんだな、と思います。


最後の日。
予約していたタクシーは小さくて、自転車が積めませんでした。
「仕方ないから、後ろは明けたまま行こう! ミスター、手で抑えていてくれ!」
「オッケー!!」
アフリカのこんなやり取り、サイコーですね。
最後までアフリカはやっぱりアフリカでした。

さよなら、アフリカ。
Someday next time!

(アフリカ編 完)

最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回からはオマケ編で、もう少し若い頃に旅した南米パタゴニア編を書いてみようと思います。

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